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ふりがな文庫
“
心易
(
こころやす
)” の例文
お藤さんはずっと後まで御丈夫で、お
心易
(
こころやす
)
くしていました。お兄様の誕生日などに、団子坂の家へお出のことなどもありました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
わたくしが栄子と
心易
(
こころやす
)
くなったのは、昭和十三年の夏、作曲家S氏と共に、この劇場の演芸にたずさわった時からであった。
草紅葉
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
(藁椅子に腰を掛く。学士は
椅背
(
きはい
)
に寄りかからずに、背を
真直
(
ますぐ
)
にして腰を掛く。○間。)あなたマルリンク家とお
心易
(
こころやす
)
くしていらっしゃいますの。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
他
(
ひと
)
は
如何
(
いか
)
にとも
為
(
せ
)
よ、吾身は如何にとも成らば成れと互に咎めざる
心易
(
こころやす
)
さを
偸
(
ぬす
)
みて、
異
(
あやし
)
き
女夫
(
めをと
)
の契を
繋
(
つな
)
ぐにぞありける。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
殊
(
こと
)
にその最近の便りは、旅に来て岸本が彼女から受取ったかずかずの手紙の中でも一番
心易
(
こころやす
)
く読めるような、わだかまりの無い調子で書いてあった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
私が沼南と
心易
(
こころやす
)
くなったはその後であった。Yが私の家へ
出入
(
でいり
)
していたのを沼南は
能
(
よ
)
く知っていたが、私も沼南もYの名は一度でも
噯
(
おくび
)
にも出さなかった。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
雲というやつはまだおれ達と
心易
(
こころやす
)
いものなのだからな。雲を見るのはお
馴染
(
なじみ
)
のものを見るようなものだ。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
何事
(
なにごと
)
もすべてお
心易
(
こころやす
)
く、一
切
(
さい
)
の
遠慮
(
えんりょ
)
を
棄
(
す
)
てて、
訊
(
き
)
くべきことは
訊
(
き
)
き、
語
(
かた
)
るべきことは
語
(
かた
)
ってもらいます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「おい、大将」と呼びかけられて、
猫八
(
ねこはち
)
は今まで熱心に読み
耽
(
ふけ
)
ってた
講談倶楽部
(
こうだんクラブ
)
から目をその方に転じた。その声ですぐその人だとは分ってたので、
心易
(
こころやす
)
い気になって
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
とお多喜は、まるで
相識
(
しりあい
)
の人に話しかけるような
心易
(
こころやす
)
い言葉で、八幡様に向い、なおも口の中で
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
怪
(
あやし
)
い
可恐
(
おそろし
)
いものが
顕
(
あら
)
われようとも、それが、小母さんのお
夥間
(
なかま
)
の気がするために、何となく
心易
(
こころやす
)
くって、いつの間にか、
小児
(
こども
)
の癖に、場所柄を、さして
憚
(
はばか
)
らないでいたのである。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ソレカラ思イツイテ、
心易
(
こころやす
)
イ者ヘ高利ヲカシタガヨカッタ、浅草ノ奥山ノ茶屋ヘ金ヲカシタガ、是ハマダルカッタガ、ソノ代り山中ハハイハイトイイオッタ故親分ノヨウダッケ」
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
心易
(
こころやす
)
いものだからね。僕が引っぱりだしたんだよ。だが、この捕物は十分それだけの値打がある。相手が前例のない悪党だからね。実際世の中には想像も出来ない恐しい奴がいるものだね
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
瑠璃子は、ついそうした
心易
(
こころやす
)
い言葉を出すような心持ちになっていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
礼助は、こんなところで兄から何か云ひ出されては
堪
(
たま
)
らないと思つたので、遠路に
辟易
(
へきえき
)
した顔をして愚痴ばかりこぼしてゐた。円通寺に
辿
(
たど
)
りつくと、ほつとした。兄は式台に片足かけて
心易
(
こころやす
)
さうに
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
酒は自分では飲まないが、
心易
(
こころやす
)
い友達に飲ませるときは、
好
(
すき
)
な饂飩を買わせる。これも焼芋の釜の据えてある角から二三軒目で、色の
褪
(
さ
)
めた
紺暖簾
(
こんのれん
)
に、文六と染め抜いてある家へ買いに
遣
(
や
)
るのである。
独身
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「叔父さん、叔父さん」と頼みにして来て、足の裏を踏んでくれるとか、耳の
垢
(
あか
)
を取ってくれるとか、その
心易
(
こころやす
)
だてを彼はどうすることも出来なかったのである。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
母親は物を見るべき力もあらず
呆
(
あき
)
れ果てたる目をば
空
(
むなし
)
く
瞪
(
みは
)
りて、
少時
(
しばし
)
は石の如く動かず、宮は、あはれ生きてあらんより
忽
(
たちま
)
ち消えてこの土と
成了
(
なりをは
)
らんことの、せめて
心易
(
こころやす
)
さを思ひつつ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
当時の印刷局長
得能良介
(
とくのうりょうすけ
)
は鵜飼老人と
心易
(
こころやす
)
くしていたので、この
噂
(
うわさ
)
を聞くと真面目になって心配し、印刷局へ自由勤めとして老人を
聘
(
へい
)
して役目で縛りつけたので、結局この計画は中止となり
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
三人目の品川四郎が、品川四郎の声で、品川四郎の
心易
(
こころやす
)
さで話しかけた。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
又々、関川讃岐トイウ易者ト
心易
(
こころやす
)
イカラ、通リガカリニ寄ッタラ、アナタハ大変ダ、上レトイウ故、上ヘ通ッタラバ、女難ノコトヲ云イオッテ、今晩ハ剣難ガ有ルガ、人ガ大勢痛ムダロウトテ
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
荒波
(
あらなみ
)
山
(
やま
)
の
崩
(
くず
)
るるごとく、
心易
(
こころやす
)
かる航行は一年中半日も
有難
(
ありがた
)
きなり。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「岡君も有る時には有るが、無い時にはまた
莫迦
(
ばか
)
に無い人だねえ」と岸本は
心易
(
こころやす
)
い調子で言って笑った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
摩利支天
(
まりしてん
)
ノ神主ニ吉田兵庫トイウ者ガアッタガ、友達ガ大勢コノ弟子ニナッテ神道ヲシタ、オレニモ弟子ニナレトイウカラ、行ッテ
心易
(
こころやす
)
クナッタラ、兵庫ガイウニハ、勝様ハ世間ヲ広クナサルカラ
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
唯
(
ただ
)
、夕飯の
馳走
(
ちそう
)
にでも成るように、
心易
(
こころやす
)
い人達を相手にして、
談
(
はな
)
したり笑ったりした。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「ええ、あの方、異人の大将にごく
心易
(
こころやす
)
い方があるんですって。ですから、あの方に紹介していただけば、
間取間取
(
まどりまどり
)
もみんな見せてもらえるし、見晴し台へも上れるし、その遠眼鏡も、飽きるまで見せてもらえるんですとさ」
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
節子は高輪の方にある時とも違う
心易
(
こころやす
)
さから、二階を片付けながら岸本に話しかけに来ることもあったが、その
度
(
たび
)
に次郎が彼女に
随
(
つ
)
いて来た。一郎までがめずらしそうに二階へ上って来た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
心
常用漢字
小2
部首:⼼
4画
易
常用漢字
小5
部首:⽇
8画
“心易”で始まる語句
心易立