トップ
>
市人
>
いちびと
ふりがな文庫
“
市人
(
いちびと
)” の例文
小路を
行交
(
ゆきか
)
う
市人
(
いちびと
)
もすべてわが知れりしよりは著しく足早になりぬ。
活計
(
たつき
)
にせわしきにや、夜ごとに集う客の数も思い
較
(
くら
)
ぶればいと少し。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
銭と苦楽を一つにしているしがない一個の
市人
(
いちびと
)
とすれば、私兵の兵舎でゴロゴロしている彼ら以上にも真剣に言い争ッたのはむりではない。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日蓮宗
(
にちれんしゅう
)
の事だから、江戸の
市人
(
いちびと
)
の墓が多い。知名の学者では、
朝川善庵
(
あさかわぜんあん
)
の
一家
(
いっけ
)
の墓が、本堂の西にあるだけである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
餌差
(
えざし
)
は無論高尚な職業ではありませんが、そう穢多の様にも賤まれません。
主鷹司
(
たかづかさ
)
の餌取は昔は随分威張って、我儘をして、
市人
(
いちびと
)
を困らせた事がありました。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
その後美濃狐は、小川の市に来なくなったので、
市人
(
いちびと
)
達は
皆
(
みな
)
欣
(
よろこ
)
び合って、平かな交易がつづいた。
大力物語
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
父は米次郎といった人で、維新前までは、霊岸島に店を構えて、諸大名がたのお金
御用達
(
ごようたし
)
を勤めていた。
市人
(
いちびと
)
でも、
苗字
(
みょうじ
)
帯刀を許されていたほどの家がらだったそうである。
花を持てる女
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
ヱロナの
市人
(
いちびと
)
の
石榻
(
せきたふ
)
に坐せるさまは、猶
古
(
いにしへ
)
のごとくにて、演ずる所の曲をば、「ラ、ジエネレントオラ」と題せり。役者の群は、ヱネチアにて見しアヌンチヤタが組なりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
この
市人
(
いちびと
)
らは大抵インド部のヒマラヤ山中に住んで居る人であって一方の相手はチベット人、ここではよほど盛んに市が行われるものと見えて白いテントが百五、六十も張ってあるです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
かすかなる
市人
(
いちびと
)
のささやききこえ
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
風薫る
甘木
(
あまぎ
)
市人
(
いちびと
)
集
(
つど
)
ひ来て
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
市人
(
いちびと
)
たちよ、重ねたる
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
世の
市人
(
いちびと
)
の
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
六所明神
(
ろくしょみょうじん
)
に近い一旅亭の門に、ひと目で“釜のふた”と
市人
(
いちびと
)
にもわかる足利家の紋幕がそれである。主従二十余騎、今日で二日三晩の足ぶみだった。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何地
(
いずち
)
行
(
ゆ
)
きけむ。久しくその名聞えざりしが、この一座に交りて、再び
市人
(
いちびと
)
の眼に留りつ。かの時の
俤
(
おもかげ
)
は、露ばかりも残りおらで、色も蒼からず、
天窓
(
あたま
)
兀
(
は
)
げたり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
日蓮宗の事だから、江戸の
市人
(
いちびと
)
の墓が多い。……
三つの挿話
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
それに京都から志賀の坂本や大津へ通う近道でもあるので、どこへ降りても
市人
(
いちびと
)
の踏んだ足の
痕
(
あと
)
が必ずついている。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日蔽
(
ひおおい
)
の
葭簀
(
よしず
)
を払った、両側の組柱は、鉄橋の木賃に似て、男も
婦
(
おんな
)
も、折から
市人
(
いちびと
)
の
服装
(
なり
)
は皆黒いのに、一ツ
鮮麗
(
あざやか
)
に
行
(
ゆ
)
く美人の姿のために、さながら、市松障子の屋台した
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
だから今の世には、鎌倉のばさら執権の下に、ばさら御家人、ばさら
市人
(
いちびと
)
、ばさら大尽、ばさら尼、さては、ばさら商売の田楽役者までが無数にいるのはふしぎでなかった。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
麓
(
ふもと
)
に遠き
市人
(
いちびと
)
は
東雲
(
しののめ
)
よりするもあり。まだ夜明けざるに
来
(
きた
)
るあり。
芝茸
(
しばたけ
)
、松茸、しめじ、松露など、
小笹
(
おざさ
)
の蔭、芝の中、雑木の奥、
谷間
(
たにあい
)
に、いと多き山なれど、狩る人の数もまた多し。
清心庵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
といえば、
木樵
(
きこり
)
も、百姓も、
市人
(
いちびと
)
も、自分たちの慈父のようになつかしみ、彼のすがたは、地上の太陽のように、行く所にあたたかに、そして親しみと尊敬をもって迎えられた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
唱
(
とな
)
へ
出
(
いだ
)
す
節
(
ふし
)
は
泣
(
な
)
くがごとく、
怨
(
うら
)
むがごとく、いつも(
應
(
おう
)
)の
來
(
きた
)
りて
市街
(
しがい
)
を
横行
(
わうかう
)
するに
從
(
したが
)
うて、
件
(
くだん
)
の
童謠
(
どうえう
)
東西
(
とうざい
)
に
湧
(
わ
)
き、
南北
(
なんぼく
)
に
和
(
わ
)
し、
言語
(
ごんご
)
に
斷
(
た
)
えたる
不快
(
ふくわい
)
嫌惡
(
けんを
)
の
情
(
じやう
)
を
喚起
(
よびおこ
)
して、
市人
(
いちびと
)
の
耳
(
みゝ
)
を
掩
(
おほ
)
はざるなし。
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
裁許橋とは、
市人
(
いちびと
)
たちの俗称である。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
市
常用漢字
小2
部首:⼱
5画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“市人”で始まる語句
市人等