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差図
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さしず
ふりがな文庫
“
差図
(
さしず
)” の例文
旧字:
差圖
白河戸郷の味方の者と思い、それで某お敵対をいたし、丹生川平の人々へも、宮川氏を討ち取るよう、
差図
(
さしず
)
をいたした次第でござる。
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「そう仰っしゃれば、いつかお屋敷へ見えたことのある京極家の指南番
大月玄蕃
(
おおつきげんば
)
が物蔭からしきりと
差図
(
さしず
)
致していたようでござりました」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中元の進物の
差図
(
さしず
)
をする。——その合間には、じれったそうな顔をして、帳場格子の上にある時計の針ばかり気にしていました。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今度は以前のように下絵などの面倒なこともありませんので、師匠の
差図
(
さしず
)
と自分の考案で、童女の方は十か十一位、
桃割
(
ももわれ
)
に結って三枚
襲
(
がさ
)
ね。
幕末維新懐古談:27 引き続き作に苦心したこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
番人に
差図
(
さしず
)
して之を開かせ其内に踏み入るに是が牢屋の入口なる可く左右に広き室ありて室には幾人の巡査集れるを見る
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
▼ もっと見る
最後に自分は俥の上で、こう駆けてばかりいては
肝心
(
かんじん
)
の話ができないと気がついて、車夫にどこかゆっくり
坐
(
すわ
)
って話のできる所へ連れて行けと
差図
(
さしず
)
した。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
壮士は、立ってその棒をさげて来た——これは力士小野川が水戸烈公の
差図
(
さしず
)
により、次第によらば
攘夷
(
じょうい
)
のさきがけのためとて、弟子どもに持たせた樫の角棒。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
奥様の御
差図
(
さしず
)
で、葡萄酒を
胡燵
(
おこた
)
の側に運びまして、
玻璃盞
(
コップ
)
がわりには京焼の茶呑
茶椀
(
ぢゃわん
)
を上げました。静な上に暖で、それは
欺
(
だま
)
されたような、夢心地のする陽気。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
是れから
物頭
(
ものがしら
)
がまいりまして、段々
下話
(
したばなし
)
をいたし、權六は着慣れもいたさん
麻上下
(
あさがみしも
)
を着て、紋附とは云え木綿もので、
差図
(
さしず
)
に任せお次まで
罷
(
まか
)
り
出
(
い
)
で控えて居ります。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
人の
差図
(
さしず
)
を受けようとも思わず、人間万事天運に在りと覚悟して、
勉
(
つと
)
めることは
飽
(
あ
)
くまでも根気
能
(
よ
)
く
勉
(
つと
)
めて、種々様々の方便を
運
(
めぐ
)
らし、交際を広くして愛憎の念を絶ち
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
横の板張に
親椀
(
おやわん
)
を並べて拭いていたオモヨさんに眼顔で、
差図
(
さしず
)
をしますと、オモヨさんは大勢に見られながら、恥かしそうに立上って、若旦那の後から鉄瓶を
提
(
さ
)
げて、離家の方へ行きました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
やはり伊勢殿のお
差図
(
さしず
)
で、いま西の陣一方の旗がしら、
左兵衛佐
(
さひょうえのすけ
)
殿(斯波
義廉
(
よしかど
)
)が渋川家より入って嗣がれましたが、右兵衛さまとしてみれば御家督に未練もあり意地もおありのことは理の当然
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
他人の
差図
(
さしず
)
やお世話にはなりたくないと思っていたらしかったのですね
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
広き都に置きかね
漂泊
(
ただよい
)
あるきの渡り大工、段々と
美濃路
(
みのじ
)
を
歴
(
へ
)
て
信濃
(
しなの
)
に
来
(
きた
)
り、折しも
須原
(
すはら
)
の長者何がしの隠居所作る手伝い柱を削れ羽目板を
付
(
つけ
)
ろと
棟梁
(
とうりょう
)
の
差図
(
さしず
)
には従えど、
墨縄
(
すみなわ
)
の
直
(
すぐ
)
なには
傚
(
なら
)
わぬ
横道
(
おうどう
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
皆きれいな公子たちであるが、その中にも源中将は最もすぐれた
美貌
(
びぼう
)
を持っていた。
気高
(
けだか
)
い貴人らしいところがことに目にたった。内大臣は若い
甥
(
おい
)
のために座敷の中の
差図
(
さしず
)
などをこまごまとしていた。
源氏物語:33 藤のうら葉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
まだ
歳
(
とし
)
も若し、気も
旺
(
さか
)
んであるから、高い足場へ上って、
差図
(
さしず
)
をしたり、竹と丸太を色々に用いて
頤
(
あご
)
などの丸味や、胸などのふくらみを拵えておりますと
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「もし台が狭かったら、
俺
(
おれ
)
だけは別に
膳
(
ぜん
)
にしても
可
(
い
)
いぜ」と主人役の岸本は
一寸
(
ちょっと
)
そこへ
差図
(
さしず
)
しに行った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
枕もとに独り坐っていた父は
顋
(
あご
)
で彼に
差図
(
さしず
)
をした。彼はその差図通り、すぐに母の鼻の先へ坐った。
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
万のは
差図
(
さしず
)
をするような言いぶりでありました。お玉は差図をされた通りに通り抜けて石燈籠の蔭から中庭の方へ参りますと、中からまた一人の仲居が木戸をあけてくれる。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
やはり伊勢殿のお
差図
(
さしず
)
で、いま西の陣一方の旗がしら、
左兵衛佐
(
さひょうえのすけ
)
殿(斯波
義廉
(
よしかど
)
)が渋川家より入つて嗣がれましたが、右兵衛さまとしてみれば御家督に未練もあり意地もおありのことは理の当然
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
勝麟太郎
(
かつりんたろう
)
と云う人は艦長木村の次に居て指揮官であるが、
至極
(
しごく
)
船に弱い人で、航海中は病人同様、自分の部屋の外に出ることは出来なかったが、着港になれば指揮官の職として
万端
(
ばんたん
)
差図
(
さしず
)
する中に
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
何卒
(
どうぞ
)
お前が
差図
(
さしず
)
して帰しておくんなさいましよ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
差図
(
さしず
)
のようなことやお手伝いのようなことをしていますと、お女中がお
膳部
(
ぜんぶ
)
を次の間まで持って行った時、そこの御主人が、まだ座敷へ出してはいかぬ、そこへ置けと女中たちに言いつけて
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と
差図
(
さしず
)
を致しますから
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「それはこの甲府のお城を預かって、勤番のお侍をお
差図
(
さしず
)
なさるお方」
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
腮
(
あご
)
で馬子に
差図
(
さしず
)
して静かに馬を打たせようとする。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「どこへ行きましょうとお
差図
(
さしず
)
は受けませぬ」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
差
常用漢字
小4
部首:⼯
10画
図
常用漢字
小2
部首:⼞
7画
“差”で始まる語句
差支
差
差覗
差向
差出
差俯向
差別
差当
差置
差配