小砂利こじゃり)” の例文
もとの砂にも、小砂利こじゃりにも、南豆ナンキン玉の青いのか、色硝子ガラスの欠けらの緑色のがこぼれているように、光っているものが交っている。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
その一と包みを念のためにき出すと、それは可なりの目方があって、なんだか小砂利こじゃりでも包んであるかのように感じられた。
半七捕物帳:28 雪達磨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
素敵すてききをかけられてよくみがかれた鋼鉄製こうてつせいの天の野原に銀河ぎんがの水は音なくながれ、鋼玉こうぎょく小砂利こじゃりも光りきしの砂も一つぶずつ数えられたのです。
インドラの網 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
しろくもみねがくずれたころ、このれつは、広々ひろびろとした病院びょういんもんはいって、小砂利こじゃりうえかろやかなくつおとをたてたのであります。
少女と老兵士 (新字新仮名) / 小川未明(著)
運動場に敷く小砂利こじゃりのことまで考えだし、頭はぐらぐらして気は遠くなり、それでいて神経は何処どこか焦焦じりじりした気味がある……
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ちょうどお月さまが、ひるのようにあかるく照っていて、うちの前にしいてある白い小砂利こじゃりが、それこそ銀貨ぎんかのように、きらきらしていました。
広びろした庭の小砂利こじゃりをふんで、セーラー服やつりスカートの少女たちが、三々五々つつましやかに歩き廻つてゐる。
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)
好い時に帰って来たよといってる中に、風が交って雨は小砂利こじゃりっつけるように恐ろしい勢いで降って来ました。
とんがった小砂利こじゃりをしきつめた往来おうらいが、一日十二マイル(約十九キロ)も歩いて来た旅行者の足をなやました。
いつの間に掃除をしたものか朝露に湿った小砂利こじゃりの上には、投捨てた汚い紙片かみきれもなく、朝早い境内はいつもの雑沓ざっとうに引かえて妙に広く神々こうごうしくしんとしている。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
けれども自分達は石屑いしくず小砂利こじゃりの混ってある麦焦むぎこがしの粉を少しばかりわんの中に入れて、それを茶で掻廻かきまわして喫べる位のもので、それも腹一ぱい喰べればいいけれども腹八分目とまではいかない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
結城邸をした私は、猟奇者の常として、何となく例の古井戸が気にかかるものだから、そこの空地を通って、存分井戸の側を眺め廻し、それからあの犬の足跡が消えていた小砂利こじゃりの多い道路に出て
何者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ほんとうはそのまに、れいの白い小砂利こじゃりをせっせとかくしから出しては、道におとしおとししていたのです。
小砂利こじゃりをいっぱいんだはこうえに、先刻さっきのどなった、元気げんき若者わかものっていました。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まあいちばんよく教えてもちったのは、休憩きゅうけいの時間で、木の根かたや、小砂利こじゃりの山の上や、または芝生しばふなり、道ばたの草の上が、みんなわたしの木ぎれをならべるつくえが代わりになった。
玄関わき小砂利こじゃりの上にはかたちのよい自動車が主人を送って来て控えている。
大橋須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
その行方ゆくえひかったくさなかぼっしていました。工事場こうじば付近ふきんには、いし破片はへんや、小砂利こじゃりや、材木ざいもくなどがんでありました。また、ほかの工夫こうふたちは、おも鉄槌てっついで、材木ざいもくかわなかんでいます。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「こりゃ、小砂利こじゃりよりずっとましだよ。」