如此かくのごとく)” の例文
見テ曰ク我ニシテ彼幼者ニ問フ羞ヅ可キノ至リナリト如此かくのごとくニ至テハ如何シテ其疑ヲ解クヲ得ルカ其疑タル死ニ至テ尚未ダ解ケザルナリ
五十石を不足と思い、他所へ立ち去る人は心次第たるべし。ただ、諸士の流浪を不憫に思し召して如此かくのごとくなし給わば、莫大のご仁政なるべし
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ぱん子女しぢよ境涯きやうがい如此かくのごとくにしてまれにはいたしかられることもあつてそのときのみはしをれても明日あすたちま以前いぜんかへつてその性情せいじやうまゝすゝんでかへりみぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
□二月十二日、家々にて浚井いどかえし女子は井の水を汲んで額を洗ふ、如此かくのごとくすれば疾病を免るゝとなり、この月や土筆つくし萌出、海棠・春菊・百合の花満開し蟋蟀こおろぎ鳴く。
過日御示おしめし被下くだされそうろう貴著瘠我慢中やせがまんちゅう事実じじつ相違之廉そういのかどならぴ小生之しょうせいの所見しょけんもあらば云々との御意ぎょい致拝承はいしょういたしそうろう。昨今別而べっして多忙たぼうつきいずれ其中そのうち愚見ぐけん可申述もうしのぶべくそうろうまず不取敢とりあえず回音かいおん如此かくのごとくに候也。
別紙御銘々様へは、乍憚はばかりながら御三君より御礼可然しかるべく御風語被成下度、此段貴答迄如此かくのごとくに御座候。頓首謹言。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
江戸ッ児の気分はただそれ如此かくのごとくである、ただそれ如此である、無邪気と、ザックバランと、人を嫌がらせねえのと、遠慮会釈がないのと、物事がテキパキしておるのと
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
緑雨が撰みたる材料の上には商標の如くにあらはるれば、之を罵倒するは鴉の黒きを笑ひ、鷺の白きを罵るが如く感ぜらるればなり、罵倒する材料すでに如此かくのごとくなれば、其痛罵も的をはづ
丸山作楽君が君主専制の東洋風に随喜の涙を流されし時代もありき、如此かくのごとくに我日本の学者、老人、慷慨家かうがいか、政治家、宗教家達は、我文明の余りに疾歩するを憂へて、幾たびか之をさゝへんとし
此節少々快方候、しかし他出致しかね候まゝ御無礼つかまつり候。此えり麁物そぶつながら呈上(○蘭の絵ハ御苑ニアル分ヲ写させ申候)。御笑留ごしょうりゅう被下度、外粗大なる冬瓜とうがん一つ御目にかけ申候。まづ過日之御礼迄如此かくのごとく候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
如此かくのごとくにして宮は唯継の妻となりぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
鳥渡ちよつと申上候昨日は御馳走ちそうあづかかたじけなく奉存候然者しからば先日御相談致し候穀物こくもつの儀江戸表へ相廻あひまはし申候明後日は關宿せきやど庄右衞門殿方へ穀代金こくだいきん勘定かんぢやうに參り申候粕壁かすかべの代金八十兩也大豆だいづ爲替かはせに仕つり候只今たゞいま御受取可被下候まづは右の段申上度如此かくのごとく御座候以上
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かれらの理想説は如此かくのごとくにしてものされ、かれらの自然観は如此にして説明さるるのである。
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
事件じけん如此かくのごとくにして一けんめうしかもつと普通ふつう方法はうはふんで終局しうきよくげられた。被害者ひがいしや損害そんがいたいする賠償ばいしやうわづかであるとはいひながら一主人しゆじんからてそれが被害者ひがいしやわたされた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さあれ如此かくのごとくにして江戸ッ児は祖先を敬し、如此にしてしかも決してその祖先を忘れぬ。
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)