大勢たいぜい)” の例文
十文字に攻めたりける、四郎左近太夫大勢たいぜいなりと雖も、一時に破られて散々ちりぢりに、鎌倉をさして引退ひきしりぞ
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
長陣ながじんに退屈させて、桂の遊女を陣中に召さするほどに致し置き、おのれ等ゆるゆると大勢たいぜいを組揃え、急にって四方より取囲み、其謀計合期ごうごしたれば、管領は御自害ある。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いずれも市井しせいの特色を描出えがきいだして興趣津々しん/\たるが中に鍬形蕙斎くわがたけいさいが祭礼の図に、若衆わかいしゅ大勢たいぜい夕立にあいて花車だしを路頭に捨て見物の男女もろともに狼狽疾走するさまを描きたるもの
夕立 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そしてみんななかよく、元氣げんきに、大勢たいぜいうたふことだ。——これを是非ぜひ約束やくそくしてもらひたい。
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
鹽原夫婦も見送り/\、泣く/\帰りかゝりますと、向うからわい/\という声で大勢たいぜい駈けて来る其の先へ、まっしぐらに駆けて来たのは青馬あおうまで、荒れに荒れてトッ/\と来ます。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
文久錢ぶんきうせんともふべきおあしんだのです、恰度てうどわたくし其節そのせつ其塲そのばりましたが、なに心得こゝろゑませんからたゞあわてるばかり、なに振舞ふるまいのあツたときですから、大勢たいぜいひとりましたが、いづれもあをくなり
見てヘイ然樣さやうでは御座れども大勢たいぜいの事故別段べつだんかはりし品は覺も御座りますが斯樣かやうな品は其日の買取人が參りましてすぐに引取ます故しかと見覺は御座りませんと申にさら賣帳うりちやうあらうといはれ十兵衞は帳面を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もしこの二人ふたりんでしまつても、おぢさんはまだ/\おとしはしまい。それは元氣げんききみたちが大勢たいぜいゐてくれるからだ。それほどおぢさんはきみたちを、自分じぶんのやうにおもつてゐる。
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
二人で十四五人を相手に切り結んだけれども、幾ら旦那が御手練ごしゅれんでもむこう大勢たいぜいでございますから、仕方なく、富五郎が旦那にお怪我をさしてはならぬとやっと切り抜け駈け付けて来ました
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
見られて此手紙このてがみは平兵衞の手跡しゆせき相違無さうゐなきまた斯樣かやうよき手掛りが有ながら何故なにゆゑ先に檢使のせつ差出さぬぞこれはなはだ不都合の次第しだいなりと尋らるゝに五兵衞はおくせずばにて候わか主人平吉儀は若年者ゆゑ血氣けつきつよく且又家内手代共の中には血氣の若者も大勢たいぜい之あり候により此手紙を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
突然いきなり竹槍をもって突いて来るから、私も刀を抜いて竹槍を切って落し、杉の木を小楯に取ってちょん/\/\/\暫く大勢たいぜいを相手に切合いました、すると旦那も黙っている気性でないから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
隣家となりの宮野邊源之進はこれを聞附きゝつけ思うよう、飯島のごとき手者てしゃところへ押入る狼藉ものだから、大勢たいぜい徒党ととうしたに相違ないから、成るたけ遅くなって、夜が明けてく方がいゝと思いず一同を呼起よびおこ