善人ぜんにん)” の例文
そしてそれが人間の心境しんきょうに影響すれば、悪人あくにん善人ぜんにんになるであろう。すさんだ人もみやびな人となるであろう。罪人ざいにんもその過去を悔悟かいごするであろう。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
赤い衣服きもの善人ぜんにんだからせられるんだ。そんなケチなのとアちと違うんだが、おれが強盗になりゃてめえはどうする。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そればかりか、よわいところから、いっしょになって、善人ぜんにんをいじめるということになるのだ。むかしとかぎらず、それが、いままでのなかのありさまだった。
世の中のために (新字新仮名) / 小川未明(著)
(四二)あるひいはく、(四三)天道てんだうしんく、つね善人ぜんにんくみすと。伯夷はくい叔齊しゆくせいごときは、善人ぜんにんものか。じんおこなひいさぎようし、かくごとくにして餓死がしせり。
大悪人だいあくにんだと今の今まで思っていたが、落下傘をつけて放すようでは、善人ぜんにんである。
大空魔艦 (新字新仮名) / 海野十三(著)
此一家このいつかものすべて篤実とくじつなれば耕織かうしよく勤行よくつとめ小農夫こびやくしやうなれどもまづしからず、善男よきせがれをもち良娵よきよめをむかへ好孫よきまごをまうけたりとて一そんの人々つねうらやみけり。かゝる善人ぜんにんいへに天わざはひくだししは如何いかんぞや。
ほろゑひきげんの百姓男ひやくせうをとこいまはすつかり善人ぜんにんになつて、叱言こごとを一つひません。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
てんの・善人ぜんにん報施はうしする、如何いかん(四九)盜跖たうせき(五〇)不辜ふこころし、(五一)ひとにくかんにし、(五二)暴戻恣睢ばうれいしきたうあつむることすうにん天下てんか横行わうかうせしが、つひじゆもつをはれり。