みんなみ)” の例文
「そうおいでになったと、よろしい。薫風みんなみより来って、殿閣微涼びりょうを生ず。こう、ついでおけば大丈夫なものだ」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と一心不乱、さっと木の葉をいて風がみんなみへ吹いたが、たちまちしずまり返った、夫婦がねやもひッそりした。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三国の代の英雄の曹孟徳が、百万の大軍を率いて呉の国を呑滅どんめつしようとしつつ、「月明らかに星まれにして、烏鵲うじゃくみんなみに飛ぶ」とさくを馬上に横たえて詩を賦したのも丁度斯様いう夜であった。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
晴れし日をみんなみの縁に孫だきて陽を浴びをれば飛行機通る
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
みんなみの国はゆたけし朝あけて君を照らさむあまのいろ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
ああみんなみしほ黒く、呼べばこたへむ波の涯
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
遠近おちこちみんなみすべく北すべく
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
みんなみの、森をしたひて
ふるさと (新字旧仮名) / 漢那浪笛(著)
たりみんなみ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
みんなみかけり北にむこ
みんなみの花のかをり
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ちゝ無足婦人むそくふじん膝行軌ゐざりぐるませ、みづかしめぐらして京都けいとみんなみかたより長安ちやうあんみやこきたり、いちなかにて、うぞやをる。あつまるもの、數千人すうせんにんくだらず。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と一心不乱しんふらんさツいてかぜみんなみいたが、たちましづまかへつた、夫婦ふうふねやもひツそりした。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)