しよく)” の例文
それからしよく供物くもつ恰好かつかうよくして總代等そうだいられてつた注連繩しめなはもみからもみつて末社まつしやかざりをした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
で、今度の売立うりたてで、木瓜のしよくは六千円といふ値にせり上げられたが、無事に生残つた飛青磁は大分だいぶん見倒みたふされて二千三百八十九円といふ事になつた。
途で渇を覺えてとあるビイヤホオルに入ると、窓側の小さいしよくを圍んで語つてゐる三人連の紳士が有つた。私が入つて行くと三人は等しく口をつぐんで顏を上げた。見知らぬ人達で有る。
所謂今度の事:林中の鳥 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
いへの子はしよくにならべぬ。そのなかに柑子かうじにほひ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
平瀬家の入札に先代赤星家の主人は、この香炉としよくとを七千円でひ取つた。出入の骨董屋の値ぶみでしよくが千円、香炉が六千円といふ積りであつた。
神官しんくわんちひさな筑波蜜柑つくばみかんだの駄菓子だぐわしだのするめだのをすこしばかりづつそなへたしよくまへすわつて祝詞のつとげた。れはおほきなあつかみいたので、それをさらかみつゝんだのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しよくの上両手もろてを垂れて瞑目めつぶれば闇はにほひぬ。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その一つはこれに木瓜もくかう青貝あをがひ螺鈿らでんしよくが添はつてゐた事で、今一つはこの香炉が贋物いかものであるといふ事であつた。
神官しんくわんしよく横手よこてかへ一寸ちよつとしやく指圖さしづをすると氏子うぢこ總代等そうだいら順次じゆんじさかき小枝こえだ玉串たまくしつてしよくまへ玉串たまくしさゝげて拍手はくしゆした。彼等かれらたゞづ/\して拍手はくしゆらなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ただれぬ——あなや、血はしと、としよくしたたる。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)