利根川とねがは)” の例文
しかし僕の小学時代に大川に浪を立てるものは「一銭蒸汽」のあるだけだつた。或はそのほか利根川とねがは通ひの外輪船ぐわいりんせんのあるだけだつた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
勘次かんじ利根川とねがは開鑿工事かいさくこうじつてた。あきころから土方どかた勸誘くわんいう大分だいぶうまはなしをされたので近村きんそんからも五六にん募集ぼしふおうじた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
利根川とねがはながれ汎濫はんらんして、に、はたけに、村里むらざとに、みづ引殘ひきのこつて、つきとしぎてもれないで、のまゝ溜水たまりみづつたのがあります。……
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
殺した時其方そつち利根川とねがはへ死骸を打込うちこまふといつたら三五郎が言には川へ流しては後日ごにち面倒めんだうだ幸ひ此彌十に頼んで火葬くわさうもらへば死骸しがいも殘さず三人の影もかたちも無なるゆゑ金兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それでかれとほ利根川とねがは工事こうじへもつたのであつた。かれ自分じぶん伎倆うでたのんでる。かれ以前いぜんからもすこしづつ開墾かいこん仕事しごとをした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
其方儀平生へいぜい身持みもちよろしからず博奕ばくえき喧嘩けんくわこのみ其後重四郎ならびに三五郎より頼まれ候とはいへども掃部茂助藤兵衞三人の死骸を燒棄やきすて其上みぎほね利根川とねがはへ流し候段重々ぢう/\不屆の所格別かくべつの御仁惠じんゑを以て遠島ゑんたう申付る
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かれふゆになつてまたおこりかけた僂痲質斯レウマチスおそれてきはめてそろ/\とはこんだ。利根川とねがはわたつてからは枯木かれきはやし索寞さくばくとして連續れんぞくしつゝかれんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)