凝視ぎようし)” の例文
卯平うへいかのぼんやりしたこゝろ其處そこつながれたやうに釣瓶つるべ凝視ぎようしした。かれしばらくしてからにはつた。かれそのくせしたらしながら釣瓶つるべけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
とき流行りうかうといへば、べつして婦人ふじん見得みえ憧憬しようけいまとにする……まととなれば、金銀きんぎんあひかゞやく。ゆみまなぶものの、三年さんねん凝視ぎようしひとみにはまとしらみおほきさ車輪しやりんである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
白い顏と、兩腕が暗闇くらやみ汚點しみのやうで、一さいが靜まり返つてゐる中で、恐怖の眼を光り動かして、私を凝視ぎようししてゐる、不思議な子供の姿が、本當の幽靈のやうに見えた。
だまつてをんな凝視ぎようししてゐたをとこは、まへとは全然ぜんぜんちがつたやさしさでいつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
玉虫がぢつと、来てとまつた、凄いほど美しい凝視ぎようし
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
花吉は黙つて篠田を凝視ぎようしせり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
怪我人等けがにんらたゞ凝然ぢつとして醫者いしや熟練じゆくれんしたもとを凝視ぎようしした。勘次かんじ他人ひとうしろから爪立つまだてをした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
神経のみわたる凝視ぎようしはつづく——
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
勘次かんじ自分じぶんそば牛鑵ぎうくわんにしてつた卯平うへいあらためてさら不快ふくわいもつ凝視ぎようししながら、かれこゝろうちにはしかつたといふ念慮ねんりよなんといふことはなしにたゞふいといたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
神経しんけいうたがひふかき凝視ぎようし……
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)