兩足りやうあし)” の例文
新字:両足
……なんと、兩足りやうあしから、下腹したばらけて、棕櫚しゆろのみが、うよ/\ぞろ/\……赤蟻あかありれつつくつてる……わたし立窘たちすくみました。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
イワン、デミトリチは昨日きのふおな位置ゐちに、兩手りやうてかしらかゝへて、兩足りやうあしちゞめたまゝよこつてゐて、かほえぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そこで、下人は、兩足りやうあしに力を入れて、いきなり、梯子はしごから上へ飛び上つた。さうして聖柄ひぢりづかの太刀に手をかけながら、大股おおまたに老婆の前へ歩みよつた。老婆が驚いたのは、云ふ迄もない。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ぢいやがはたけからつて茄子なすは、とうさんにへたれました。その茄子なすへた兩足りやうあし親指おやゆびあひだにはさみまして、爪先つまさきてゝあるきますと、丁度ちやうどちひさなくつをはいたやうで、うれしくおもひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
それ兄樣あにさまのおかへりとへば、いもとどもこわがりてもののやうにさわるものなく、何事なにごとふなりのとほるに一だんがまゝをつのらして、炬燵こたつ兩足りやうあしゑひざめのみづみづをと狼藉らうぜきはこれにとゞめをさしぬ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
醫學生いがくせい肌脱はだぬぎで、うつむけにて、踏返ふみかへした夜具やぐうへへ、兩足りやうあし投懸なげかけてねむつてる。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)