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傴僂
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せむし
ふりがな文庫
“
傴僂
(
せむし
)” の例文
生まれや地位にごまかされることのないエリザベスの鋭い目も、この小さな
傴僂
(
せむし
)
が偉大な才能を持つことを見のがしはしなかった。
エリザベスとエセックス
(新字新仮名)
/
リットン・ストレイチー
(著)
やはり私の想像通りに
傴僂
(
せむし
)
の川村書記さんと、好男子殿宮視学さんに違いない事がわかりました時の私の喜びはどんなでしたろう。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「飛んだ
傴僂
(
せむし
)
さ。行つて聞いて見るがいゝ、
銀町
(
しろがねちやう
)
にはそんな者は一人もないに相違ないから、——町内の人はみんなスラリとして居るぜ」
銭形平次捕物控:020 朱塗りの筐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私達の仲間にピトンという
傴僂
(
せむし
)
の若者がありましたが、ムリオに買収されたと見えて、或晩町の料理屋へ私を誘って行きました。
西班牙の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし、その像には依然として変りはなく、扁平な大きな頭を持った
傴僂
(
せむし
)
が、細く下った眼尻に
狡
(
ずる
)
そうな笑を湛えているにすぎなかった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
▼ もっと見る
そして年か衰弱のせいのように
傴僂
(
せむし
)
になっていて、
頭巾
(
ずきん
)
附の大きな古びたぼろぼろの水夫マントを着ているので、実に
不恰好
(
ぶかっこう
)
な姿に見えた。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
傴僂
(
せむし
)
の料理女が
鱶
(
ふか
)
の臭をさして食卓の用意が整ったことを知らせた。彼女は昨夜からの涙の滲んだ絹のハンカチを香港の朝の風景に飜えして
地図に出てくる男女
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
人間性をそのように畸型な
傴僂
(
せむし
)
にした権力は、よしんば急に崩壊したとしても、けっしてそれと同じ急テンポで、人間性に加えられた抑圧の痕跡
現代の主題
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
傴僂
(
せむし
)
のように尖った老僧の
背
(
せな
)
は後ろを向けたままで、カチ、カチ、と土へ鍬を入れている調子に少しも変りはなかった。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
文字の精は、また、彼の
脊骨
(
せぼね
)
をも
蝕
(
むしば
)
み、彼は、
臍
(
へそ
)
に顎のくっつきそうな
傴僂
(
せむし
)
である。しかし、彼は、
恐
(
おそ
)
らく自分が傴僂であることを知らないであろう。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
八百助は彼らのひとり息子であるが、なんとしたことか生まれながらの
跛
(
ちんば
)
で、二つの年に片眼をつぶし、五歳の秋から
傴僂
(
せむし
)
になった。母親はつねに嘆いて
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
傴僂
(
せむし
)
の道化者
汪克児
(
オングル
)
は、葉のついた木の枝を剣に見立てて、身振りおかしく独りで
戯
(
ふざ
)
け廻っている。
若き日の成吉思汗:――市川猿之助氏のために――
(新字新仮名)
/
林不忘
、
牧逸馬
(著)
飛仙となつて、羽ばたきの音けたたましく大空を
翔
(
か
)
けめぐるべきはずだつた馬明生の体は、見る見るうちに
傴僂
(
せむし
)
のやうに折れ曲つて、やがて小さな地仙となつてしまつた。
春の賦
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その
中
(
うち
)
に、
傴僂
(
せむし
)
のやうな小使が朝の時間を知らせる鐘を振つて、大急ぎで玄関を通りすぎた。
あの頃の自分の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何程与えたらいいかと考えてると、闇の中から
傴僂
(
せむし
)
の乞食が出て来て、両方の膝頭に、掌のような形をした足枷を投げかけた。それが膝頭にぴったり吸いついて、歩けなくなった。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
ヂューヂャの二番目の息子は
傴僂
(
せむし
)
のアリョーシカで、親父の家に暮らしている。つい此の間、或る貧乏な家からヷルヷーラという嫁を貰った。これは若い器量好しで、健康でお
洒落
(
しゃれ
)
が好きである。
女房ども
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
傴僂
(
せむし
)
のように体を屈めてむやみにお辞儀をする者が家の中に一ぱいになった。参朝すると六卿がうやまいあわてて、
屣
(
はきもの
)
をあべこべに
穿
(
は
)
いて出て迎えた。
侍郎
(
じろう
)
の人達とはちょっと挨拶して話をした。
続黄梁
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
………ぶくぶくと綿の這入った汚れた木綿の
二子
(
ふたこ
)
の上に、ぼろぼろになった
藍微塵
(
あいみじん
)
のちゃんちゃんを着ているお母さんの背中は、一生懸命に火を吹いているせいか、
傴僂
(
せむし
)
のように円くなっている。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そして妻の眼をつぶっている間中落ち付かぬ気持で前に廻り背後に廻りつ、私は跛の足を引き摺りながら妻の返事を待って、ノートルダムの
傴僂
(
せむし
)
のように部屋の中じゅう
這
(
は
)
い廻っていたのであった。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
それは
傴僂
(
せむし
)
のマンドリン
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
風や水が何万年か経って岩石に巨人像を刻み込むように、この像にも鎖されていた三年のうちに、
傴僂
(
せむし
)
を
療
(
なお
)
してしまったものがあったのだ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「えい!」と云う
裂帛
(
れっぱく
)
の声、紋太夫の口から
※
(
ほとば
)
しると見るや、
傴僂
(
せむし
)
の老人の小さい体は、幾十丈幾百丈、底の知れない穴の中へもんどり打って蹴落とされた。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
マルクープと呼ばれた其の老人は幾分
傴僂
(
せむし
)
らしく、何時も前屈みになって乾いた
咳
(
せき
)
をしながら歩いていた。
南島譚:03 雞
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「十四歳から道場へ来ておるのだから十三年目の免許皆伝だ。十三年もやれば、
傴僂
(
せむし
)
だって、皆伝になる」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それ、親分だつて驚くでせう、あの右の足が二三寸短かい
大跛者
(
おほちんば
)
の、しみつ垂れの
傴僂
(
せむし
)
が——」
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
掃除に行きし小使に発見されて、一同を
狼狽
(
ろうばい
)
させおるうち、同じく開校準備のため出勤しおりし同校書記にして、森栖校長と共に三十年来、同校の名物となりおりし
傴僂
(
せむし
)
男
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「へえ。ようがすとも!——と言ったところで、なにしろとっさの出来事だったんで、どうもぼんやりしたお話で困りやすが、なんですよ親分さん、影はね、
傴僂
(
せむし
)
のようでしたよ。」
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
傴僂
(
せむし
)
でめっかちで
跛
(
ちんば
)
、一年まえこの村から煙のように消えた玉造の八百助である。
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「それだから君は、僕が
先刻
(
さっき
)
傴僂
(
せむし
)
が
療
(
なお
)
っていると云ったら、
嗤
(
わら
)
ったのだよ。自然がどうして、人間の眼に止まる所になんぞ、跡を残して置くもんか」
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「もう
妾
(
わたし
)
は歩けない! もう妾は一足も出ぬ! それにお前は
傴僂
(
せむし
)
で片輪! 硫黄ヶ滝まではまだ遠い!」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
傴僂
(
せむし
)
のやうに思ひますが、別に
不具
(
かたは
)
な樣子はなく、竹のやうに長くて武骨な手足、
白痴
(
はくち
)
のやうに陰氣で無表情な顏、油つ氣のない
髷
(
まげ
)
、何處から見ても、お舟と一緒に置いて
銭形平次捕物控:097 許婚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私が大切な
瞑想
(
めいそう
)
の道場としている事を夢にも御存じない校長先生と、
傴僂
(
せむし
)
の老人の川村書記さんとは、いつも学期末の近付いた放課後になると、職員便所の横のカンナの葉蔭から
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
大きな髷に結って、
傴僂
(
せむし
)
のようだったとも言っている。
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と、
傴僂
(
せむし
)
のような背中を見せて、挨拶していた。
魚紋
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すると遥かの奥の方から「オー」と
返辞
(
いら
)
える声がしたが、それから小刻みの足音がして、やがて一人の小男が手燭を捧げて現われた。小気味の悪い
傴僂
(
せむし
)
男である。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ね、親分。石井一家のうちから
傴僂
(
せむし
)
を探しアわけはねえ、行つて當つて見ませうか」
銭形平次捕物控:020 朱塗りの筐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
汪克児
(
オングル
)
傴僂
(
せむし
)
の道化役、
成吉思汗
(
ジンギスカン
)
の
愛玩
(
ペット
)
三十歳位
若き日の成吉思汗:――市川猿之助氏のために――
(新字新仮名)
/
林不忘
、
牧逸馬
(著)
傴僂
(
せむし
)
の
隠亡
(
おんぼう
)
が居る。
書けない探偵小説
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そこには
傴僂
(
せむし
)
の老人が、地面を
蜘蛛
(
くも
)
のように這いながら何か
独言
(
ひとりごと
)
を云っている。髪は乱れて肩に懸かり陽に焼けた顔は眼ばかり白く、手足は枝のように痩せ枯れている。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
なか/\のお世辭ですが、
眇目
(
めつかち
)
で、
跛足
(
びつこ
)
で少し
傴僂
(
せむし
)
で、まことに見る影もありません。
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一人の男は
跛者
(
びっこ
)
と見えて、ひどく左手へ傾いている。もう一人の男は
傴僂
(
せむし
)
と見え、顔が地面へ垂れ下がっている。距離がへだっているために、顔ははっきり解らなかった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
天保元年正月五日、場所は浅草、日は
午後
(
ひるさがり
)
、人の出盛る時刻であった。大道手品師の鬼小僧、
傴僂
(
せむし
)
で片眼で無類の
醜男
(
ぶおとこ
)
、一見すると五十歳ぐらい、その実年は
二十歳
(
はたち
)
なのであった。
柳営秘録かつえ蔵
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と、すぐ扉がひらかれて、つつましく姿を現わしたのは、醜い
傴僂
(
せむし
)
の小男であった。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「片眼で
傴僂
(
せむし
)
のこの俺を、馬鹿にしようって云うんだな。誰だと思う鬼小僧だ!」
柳営秘録かつえ蔵
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
近付くままによく見れば、肥えた
傴僂
(
せむし
)
の
老人
(
としより
)
が岩に一人腰掛けている。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“傴僂”の意味
《名詞》
せむし。
(出典:Wiktionary)
傴
漢検1級
部首:⼈
13画
僂
漢検1級
部首:⼈
13画
“傴”で始まる語句
傴
傴捬