何時頃いつごろ)” の例文
町「藤原様え、明日みょうにち何時頃いつごろ出帆しゅっぱんいたすのでございましょう、たしか万年橋まんねんばしから船が出るとか承わりましたが左様でございますか」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
話けるに吉兵衞心におどろき夫は何時頃いつごろの事なるやと尋問たづねければ和尚は指折算ゆびをりかぞへ元祿二年九月の事なりと聞より吉兵衞は涙をうかべ其子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いづれ音の立ち、声の響くのは覚悟ぢやらう。何もも隠さずに言つてしまへ。何時いつの事か。一体、何時頃いつごろの事か。これ。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
電車でんしやなかでは、御米およね何時頃いつごろめたらう、めたあと心持こゝろもち大分だいぶくなつたろう、發作ほつさももうおこ氣遣きづかひなからうと、すべわるくない想像さうざうばかりおもうかべた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「びっくりしたのは、そっちの勝手じゃないか、武蔵様は、何時頃いつごろ、そしてどこへ帰ったのか、教えてくれ」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
Fossil に対しての化石の語は何時頃いつごろ出来た字面であろうかとこれを詮索して見ると
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
当夜慶蔵事地蔵尊の賽銭を盗み取りこれを隠し置かむと存じ、門内の榎に登り候処、何時頃いつごろ何者の隠し置き候もの、幹の穴には五拾両の大金差込み有之候を、慶蔵図らず見付出し
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
何時頃いつごろからの事か知らぬが、香以の家の客には必ずぜんが据えられ、さい塩辛しおからなど一二品に過ぎぬが、膳の一隅には必ず小い紙包が置いてあった。それには二分金がはいっていたそうである。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
写本で伝わり、江戸時代の木版の刊本もあるが、何時頃いつごろできたものかよく分らぬ。『為家千首』や『宝治百首』などをのぞいて、その他の歌を分類整理し、よくととのった集になっている。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
あなた方は何時頃いつごろこちらへいらっしゃいますか? 僕はほとんど毎日のようにあなたの別荘の前を通ります。通りすがりにちょっとお庭へはいってあちらこちらを歩きまわることもあります。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
また元の道へ引き返して、雷門の前通りを花川戸へ曲がるかどに「地蔵の燈籠とうろう」といって有名な燈籠があった。古代なものであったが、年号がってないので何時頃いつごろのものとも明瞭はっきりとは分らぬ。
半二と加作の『伊賀越道中双六いがごえどうちゅうすごろく』岡崎の段の初めに「世の中の、苦は色かゆる松風の、音も淋しき冬空や」などある。全体この神詠なるもの何時頃いつごろから文献に見え出したのか、読者諸君の教えを乞う。
何時頃いつごろかや。」
奉「左様であろう、して柳と申す女は何時頃いつごろ半右衛門方へ嫁にまいったものか、存じて居ろうな」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
侍女 何時頃いつごろとおつしやつて、あの、影法師の事でございませうか。其は唯今ただいま……
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
にらみ付猶何とか申たならば又私しをも手討てうちに致しさうないきほひなりしと云ば大岡殿夫は何時頃いつごろ手討てうちに成し樣子なるやと有に吉兵衞ハイ何時頃いつごろで御座りますか日も申きけられず大概おほかた海川へでも死骸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何時頃いつごろひになつたのですか」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しおのさしひきばかりで、流れるのではありません、どんより鼠色ねずみいろよどんだ岸に、浮きもせず、沈みもやらず、末始終すえしじゅうは砕けてこいふなにもなりそうに、何時頃いつごろのか五、六本、丸太がひたっているのを見ると
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
新「ヘエー、うでげすか、此方こちらの旦那様は何時頃いつごろ帰りましょうか」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ころされさぞ愁傷しうしやうならん併し屹度きつと傳吉が殺せし共言難いひがたからんして猿島河原より寶田村へ道程みちのりは何程あるやと申さるゝにお早は憑司がこたへを待たず四十町許是ありと申立れば越前守殿又其日子供は何時頃いつごろ宅を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其前そのまへつて、何時頃いつごろからですか」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
文「御亭主、それは何時頃いつごろの事ですか」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)