)” の例文
旧字:
それに、初めは何でもないように思われるもんじゃ。男の方でリボンだ、ショールだ、櫛だ、時計の鎖だと、いろんなものをれる。
麦畑 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
ただトルストイやゲイテとなると、峰が高く大きすぎてみしがたい感じだったが、今はそういうものも読んでみたいと思っていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
人情の真実に徹しない人たちは、このH氏の場合を見て「子の愛の浅い親よ」というでしょう。私はそれにみすることが出来ません。
婦人改造の基礎的考察 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
そもそも主人の統業にたいし、その情熱にみして来ながら、おりおり批判的な眼で主人を見たりなどしていたことがしからぬ。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どの派にもみせず偏しないといふ超然主義は、その画風の上にもはつきり現はれてゐるが、その人柄の上にも、態度の上にも現はれてゐる。
れ!」とかれはそのてのひらを学生の鼻頭はなさき突出つきいだせり。学生はただちにパイレットのはこを投付けたり。かれはその一本を抽出ぬきいだして、燐枝マッチたもとさぐりつつ
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
みじめなのは男で、いろんな宝石や織物でもまだれ足りないで、しまひには「名誉」や「霊魂たましひ」までも進物にしようとする。
松濤は藤本鉄石、松本奎堂らの義兵を挙げんとするにみしなかったので、開港論者と誤り認められ、そのまさに伊勢に帰らんとする前夜刺客に害せられたのである。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
将門が新皇と立てられるのをいさめて、帝王の業は智慧ちゑ力量の致すべきでは無い、蒼天さうてんもしみせずんば智力また何をかさん、と云つたとある。至言である。好人である。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
兄が薩藩にみして居るから弟も変だと云うのは、私がややもすれば幕府の攘夷論を冷評して、こんな政府はつぶすがなど云うから、おのずからそんな評判も立つのであろうが
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
秋「併し源兵衞、是までに話を致して、依頼者の姓名が云えんと云うのはおかしい、まだ手前は悪人へみ致してるように思われる、手前が云わんならわしの方で云おうか」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
己はこんな金で気楽に暮らすことなんざァ金輪際嫌えだ。こりゃァ残らず手めえッちょにれてやらァ。だがよ、後生だから真人間になってくれ、え、真人間に! こんなことを
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
それをあぶながり、または難癖なんくせをつけるような、老成人風の批判ならば、まだ幾らでも出てくることと思うが、私だけは国の学問の前途のために、そういう消極主義にみしたくない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
貝殻を敷いた細いきたない横町で、貧民窟とでもいいそうな家並だ。山本屋の門には火屋ほやなしのカンテラをとぼして、三十五六の棒手振ぼてふりらしい男が、荷籠を下ろして、売れ残りの野菜物に水をれていた。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
(此の要求の果して如何ばかり今の作家に対して効果あるべきか否かは問はず)要求の真意や可し、されど吾人は国民性を描けとの一語にみする能はず、何となればそはほとんど無意義に類すれば也。
国民性と文学 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
火山を継子扱いにして扉の外に突き出すことにも、みされない。
日本山岳景の特色 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
然う言ふ健の顔に、孝子は一寸薄目をれて
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
彼は「おれは銅貨一つだって親戚などにやりはしない。死んだあとで親戚のふところをこやすなんて馬鹿なことは厭だから、そっくりお前にれてやる」
無駄骨 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
みろ。奴らは、おれの叔父共と、んでいるのだ。どんな手段をもっても、おれを
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
児玉といふ作家は甚だみし易い人でまた無類の正直者だといふと、その雑誌の経営下にある記者は、いやどうして彼位に腹黒い男はないといふ、この意見の違ひといふものは甚だ面白い
「その口が憎いよ。何もその代りと言わんでも、れなられと。……」
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その位のけで、ドウしてもその上方勢にみすることは出来なかった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
彼は「女」の鑑定家としては最もみし易いやくざ者である。
源「何う致しまして、悪人へみ致しました罪で、わたくしはお手打になりましても宜しいくらいで、私は命さえ助かりますれば、御扶持は戴きませんでも宜しゅうございます、お出入りだけは相変らず願います」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と言つて、ちよつと校長に流盻よこめれた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
よしんば無断で来なくなろうと、何もれなかろうと、彼女の方から不足はいえないわけだ。まして男は最後まで彼女に好意をもって、大切だいじにしてくれたのである。
フェリシテ (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
ここにいたりて自然のいきおい、最早みしやすからぬやうにおぼゆると同時に、肩もすくみ、ひざもしまるばかり、はげしく恐怖の念が起つて、ひとえに頼むポネヒルの銃口に宿つた星の影も、消えたかとおくれが生じて
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
れなけりゃ、ふんだくるばかりだ」
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)