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不貞腐
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ふてくさ
ふりがな文庫
“
不貞腐
(
ふてくさ
)” の例文
手錠を
嵌
(
はめ
)
られると、
不貞腐
(
ふてくさ
)
れてその場へベタンと坐り込み、まるで夢でも見たように、妙に浮かぬ顔をして眼をパチパチやり出した。
三狂人
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
美和子も、さすがに、姉の厳しい様子に、ちょっと目を
迯
(
そ
)
らすようにして、真面目な表情をしたが、すぐに
不貞腐
(
ふてくさ
)
れて、白々しく
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
度胸というのか、
不貞腐
(
ふてくさ
)
れというのか、処女のような恐怖の度をとおり越すと、いつも、お蝶は怖いものを知らないような女です。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが彼は頭を打たれて仰向けに倒れてからも
不貞腐
(
ふてくさ
)
れたように尚けらけらと笑い続け、李明植は傷害のかどで検挙されたことは既に御承知である。
天馬
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
すると、母親は、いつもに似ず私の剣幕が
凄
(
すさ
)
まじいのと、近処隣りへ気を兼ねるので、いつもの
不貞腐
(
ふてくさ
)
れをいい得ないで、私をそっと
宥
(
なだ
)
めるように
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
▼ もっと見る
かくて五月十四日に第一回公判が開かれたが、この時既に庄司、神戸両氏は証人として出廷していたが、支倉は冒頭に何を考えたか
不貞腐
(
ふてくさ
)
れて終った。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
少しは思ってみてくれてもよかろうが……疑うにもひがむにもほどがあっていいはずだ。おれはこれまでにどんな
不貞腐
(
ふてくさ
)
れをした。いえるならいってみろ
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それがある
点
(
とこ
)
がうき世をいつたものじやないの。そりや銀さんは、あたしを不人情者とも、
不貞腐
(
ふてくさ
)
れとも思つておいでだろう。もとよりあたしが
非
(
わる
)
いんさ。
もつれ糸
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
打
(
ぶ
)
たれたり叩かれたりして、口を割るあっしじゃねえが、笹野の旦那と銭形の親分が揃っちゃ、重忠様が二人だ。
不貞腐
(
ふてくさ
)
れるだけ野暮でしょうよ。——なにを
銭形平次捕物控:049 招く骸骨
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
少年は
不貞腐
(
ふてくさ
)
れたような
一瞥
(
いちべつ
)
を我々に投げてから、
其処
(
そこ
)
にあった木箱に腰を下し、海の方を向いてしまった。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そして、病気以来きゅうに短気になった神経をいらだたせて、その利かぬ左手をぱんぱん打ちなぐったりした。不随の片手は
不貞腐
(
ふてくさ
)
ったように動かなかった。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
妻たる身の
不貞腐
(
ふてくさ
)
れをいふて済むと思ふか、土方をせうが車を引かうが亭主は亭主の権がある、気に入らぬ奴を家には置かぬ、何処へなりとも出てゆけ、出てゆけ
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
こうして一方が
不貞腐
(
ふてくさ
)
れの
体
(
てい
)
で寝そべっているのに、一方が
庖厨
(
ほうちゅう
)
にいて神妙に勝手方をつとめているところを見れば——位取りの差はおのずから明らかであって、つまり、女が天下で
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「お前はいつの間にそんな
不貞腐
(
ふてくさ
)
れになったんだい? まるで毒婦だ、態度が」
或良人の惨敗
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
不貞腐
(
ふてくさ
)
ってこういいながら女はそっと男に近寄り、急にそのコンタスを引ったくった。そしてあわてて
袂
(
たもと
)
の中にそれをかくしながら「しっ!」と目で制してにらみ、何くわぬ顔ですました。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
今はどうだか知りませんが、昔はこんな悪い女が幾らもいたもので、こんな奴は奉行所の
白洲
(
しらす
)
へ出ても、さんざん
不貞腐
(
ふてくさ
)
って係り役人を手古摺らせる。どうにも斯うにも仕様がないのでした。
半七捕物帳:59 蟹のお角
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
身体疲労すれば、精神も共にやられる。もう、どうでもいいという、勇者に不似合いな
不貞腐
(
ふてくさ
)
れた根性が、心の隅に巣喰った。私は、これほど努力したのだ。約束を破る心は、みじんも無かった。
走れメロス
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
けらお (ひとり、
不貞腐
(
ふてくさ
)
れている)……おらだい。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
不貞腐
(
ふてくさ
)
れの横すわり——
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そういう時、最初の看護婦は、——その女は二日ほどいたが堪えられずに帰ってしまった——後を向いて泣出し、二度目の看護婦は
不貞腐
(
ふてくさ
)
れて
外
(
そ
)
っ
方
(
ぽ
)
を向いていた。
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
妻
(
つま
)
たる
身
(
み
)
の
不貞腐
(
ふてくさ
)
れをいふて
濟
(
す
)
むと
思
(
おも
)
ふか、
土方
(
どかた
)
をせうが
車
(
くるま
)
を
引
(
ひ
)
かうが
亭主
(
ていしゆ
)
は
亭主
(
ていしゆ
)
の
權
(
けん
)
がある、
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
らぬ
奴
(
やつ
)
を
家
(
うち
)
には
置
(
お
)
かぬ、
何處
(
どこ
)
へなりとも
出
(
で
)
てゆけ、
出
(
で
)
てゆけ
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
普通の応対では
敵
(
かな
)
わないと思ったらしく、たちまち
不貞腐
(
ふてくさ
)
れて、眉一つ動かさず、(それがどうしたの?)と云うような顔をして、新子の視線を受けかえしていた。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
加藤の二階に上って来てからもお宮は初めから
不貞腐
(
ふてくさ
)
れたように
懐手
(
ふところで
)
をしながら黙り込んでいた。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
そして
徐
(
おもむ
)
ろに懐から小さな煙管を取り出した。そうだ、
不貞腐
(
ふてくさ
)
れの婦が身を売ったために小作権がもとに返った時、いっそのこと婦を殺し自分も
諸共
(
もろとも
)
死ねばよかったのに。
土城廊
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
「この
不貞腐
(
ふてくさ
)
れめっ」振り上げたのは、彼の仕事道具である
磨
(
と
)
ぎ澄ました
大手斧
(
おおちょうな
)
だった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
權三 こん畜生があんまり
不貞腐
(
ふてくさ
)
るから、ぶち殺してしまはうと思ふのさ。
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
佐太郎でございます、——今のお話は
他所
(
よそ
)
ながら聞いてしまいました。有難うございます。親分さん方が、そんなお心持とは知らずに、
不貞腐
(
ふてくさ
)
れて知ってることも申上げず、親父が死んでも顔を
銭形平次捕物控:085 瓢箪供養
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
紺
(
こん
)
のあつしをセルの前垂れで合せて、
樫
(
かし
)
の
角火鉢
(
かくひばち
)
の
横座
(
よこざ
)
に坐った男が
眉
(
まゆ
)
をしかめながらこう
怒鳴
(
どな
)
った。人間の顔——
殊
(
こと
)
にどこか自分より
上手
(
うわて
)
な人間の顔を見ると彼れの心はすぐ
不貞腐
(
ふてくさ
)
れるのだった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
けらおは、ひとり、
不貞腐
(
ふてくさ
)
れて後からついてくる。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
「然ういう
不貞腐
(
ふてくさ
)
れだもの」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
仰向けになったまま尚も
不貞腐
(
ふてくさ
)
れたようにけらけらと笑うのを止めなかった。
天馬
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
不貞腐
(
ふてくさ
)
れたお鶴、歯を食い縛って、平次の顔を憎々しく見上げます。
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それで「この
不貞腐
(
ふてくさ
)
れの
売女
(
ばいた
)
め!」
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
清原 (
不貞腐
(
ふてくさ
)
れて聞いている)
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
いえないように
上手
(
じょうず
)
に
不貞腐
(
ふてくさ
)
れを
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
玉枝は、
不貞腐
(
ふてくさ
)
れ気味に
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
不貞腐
(
ふてくさ
)
れたお鶴、歯を食い縛って、平次の顔を憎々しく見上げます。
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
貞
常用漢字
中学
部首:⾙
9画
腐
常用漢字
中学
部首:⾁
14画
“不貞”で始まる語句
不貞
不貞不貞
不貞寝
不貞寐
不貞節
不貞返