丁度てうど)” の例文
けれども其の埒外らちぐわいゐつすることの出來ないのが運命うんめいなのだから爲方しかたがない、性格悲劇せいかくひげきといふ戯曲ぎきよく一種いつしゆがあるが、僕等が丁度てうど其だ。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
やれもらへと無茶苦茶むちやくちやすゝめたてる五月蠅うるささ、うなりとれ、れ、勝手かつてれとてれをうちむかへたは丁度てうど貴孃あなた御懷妊ごくわいにんだときゝました時分じぶんこと
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
座敷からすぐ瓦屋根に続いて、縁側も欄干てすりもない。古い崩れがけた黒塀くろべいが隣とのしきりをしてはるが、隣の庭にある百日紅さるすべり丁度てうど此方こちらの庭木であるかのやうにあざやかにすぐ眼の前に咲いてる。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
嫁入よめいつて丁度てうど半年はんとしばかりのあいだせきせきやとしたへもかぬやうにしてくださつたけれど、あの出來できてからとものまる御人おひとかはりまして、おもしてもおそろしう御座ござります
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
丁度てうど墓門ぼもんにでもいそぐ人のやうな足取あしどりで、トボ/\と其の淋しいあゆみつゞけて行ツた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
伯父おぢさまよろんでくだされ、つとめにくゝも御座ござんせぬ、此巾着このきんちやく半襟はんゑりもみないたゞものゑり質素じみなれば伯母おばさまけてくだされ、巾着きんちやくすこなりへて三すけがお辨當べんたうふくろ丁度てうどいやら
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
れで丁度てうど加减かげんつかれて仕舞しまう、そんなにおまへ正直しようぢきつとまものかと嘲笑あざわらふやうにへば、おほきにさといふ、相手あいて茂助もすけがもとのやすらうがこゑなり、正直しようぢきといえば此處こゝ旦的だんつきが一けんもの
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)