一列いちれつ)” の例文
にわかに空を羽音がして、かり一列いちれつが通りました時、須利耶すりやさまはまどからそれを見て、思わずどきっとなされました。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
たとへば現在げんざい活動中かつどうちゆう火山かざん南北なんぼくアメリカしゆうでは西にしほう太平洋沿岸たいへいようえんがんだけに一列いちれつならんでをり、中部ちゆうぶアメリカ地方ちほうでは二條にじようになつてみぎ南北線なんぼくせんにつながつてゐる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
そとには三味線のじめも投げやりに、町の娘たちは觀音さまの紅い提燈に結びたての髪を匂はしながら、華やかに肩肌脱ぎの一列いちれつになつてあの淫らな活惚かつぽれを踊つてゐた。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
こえおうじて、いへのこつてつた一團いちだん水兵すいへい一同みな部室へやからんでた。いづれも鬼神きじんひしがんばかりなるたくましきをとこが、いへ前面ぜんめん一列いちれつならんで、うやうやしく敬禮けいれいほどこした。
五月雨さみだれのしと/\とする時分じぶん家内かないあさあひだ掃除さうぢをするときえんのあかりでくと、たゝみのへりを横縱よこたてにすツと一列いちれつならんで、ちひさい雨垂あまだれあしえたやうなもののむらがたのを
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
晴れた日に砂町の岸から向を望むと、蒹葭けんか茫々たる浮洲うきすが、わにの尾のように長く水の上に横たわり、それを隔ててなお遥に、一列いちれつの老松が、いずれもその幹と茂りとを同じように一方に傾けている。
放水路 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
後ろから来る女の一列いちれつ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
一列いちれつこぞって
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
そのとき、すうっときりがはれかかりました。どこかへ行く街道かいどうらしく小さな電燈でんとう一列いちれつについた通りがありました。それはしばらく線路せんろ沿ってすすんでいました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
抜手を切り一列いちれつにゆく泳手およぎての帽子ましろに秋風の吹く
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
一列いちれつこぞって
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
その小さな列車れっしゃまど一列いちれつ小さく赤く見え、その中にはたくさんの旅人たびびとが、苹果りんごをむいたり、わらったり、いろいろなふうにしていると考えますと、ジョバンニは
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
はるかに一列いちれつつづられてゆく、千も万も、幽かに幽かに
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
なみがちょうどいたとこでしたからみがかれたきれいな石は一列いちれつにならんでいました。
サガレンと八月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)