“マッチ”のいろいろな漢字の書き方と例文
ひらがな:まっち
語句割合
燐寸81.4%
早附木2.5%
摺附木1.7%
火燧1.7%
燐枝1.7%
燧木1.7%
燧火1.7%
仕合0.8%
寸燐0.8%
憐寸0.8%
(他:6)5.2%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
陳は受話器を元の位置に戻すと、なぜか顔を曇らせながら、肥った指に燐寸マッチって、啣えていた葉巻を吸い始めた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そういいながら、紳士はポケットから紙巻煙草を一本抜きだして口にくわえると、シュッと燐寸マッチを擦って火を点けた。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
燃え尽して赤い棒になった早附木マッチを棄てて、お兼を草花の中に残して、滝太郎は暗中に放れて去る。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「じゃあね、言いますけれど、銑さん、私がね、今、早附木マッチを買いに入ると、誰も居ないのよ。」
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「はい、」と潤んだ含声の優しいのが聞えると、ぱッ摺附木マッチる。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
手探りで摺附木マッチだけは探り当てたが、洋燈ランプが見附らない。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
カーネーション、フリージヤの陰へ、ひしゃげた煙管きせるを出してけようとしていたが、火燧マッチをパッとさし寄せられると、かかる騎士に対して、脂下やにさがる次第にはかない。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
火燧マッチ々々、と女どもが云う内に、
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かれはその一本を抽出ぬきいだして、燐枝マッチたもとさぐりつつ、
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
通りがかりに、ちょいとほんの燐枝マッチを買いに入ったばかりで、あんな、恐ろしい、いまわしい不気味なものを、しかも昼間見ようとは、それこそ夢にも知らなかった。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
遣らねえものは燧木マッチ賭博かけ椋鳥むくどりを引っかける事ばかり。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
盲探めくらさぐりに燧木マッチを探りって、慌てて座敷の瓦斯ガスに火をとぼし、室内昼の如くにてらさせて四辺あたりくまなく穿索したがもとより何物を見出そう筈もなく
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その晩、また昨夜ゆうべのように、燧火マッチだけは枕頭まくらもとへ置いて火の用心にあかりは消して寝たんですが。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「何、この方が勝手です、燧火マッチを一つ置いといて頂けば沢山で。」
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その後青山英和学校も仕合マッチ出掛でかけたることありしかど年代は忘れたり。
ベースボール (新字新仮名) / 正岡子規(著)
○ベースボール に至りてはこれを行う者極めて少くこれを知る人の区域もはなはせまかりしが近時第一高等学校と在横浜米人との間に仕合マッチありしより以来ベースボールという語ははしなく世人の耳に入りたり。
ベースボール (新字新仮名) / 正岡子規(著)
寸燐マッチは短かい草のなかで、しばらく雨竜あまりょうのような細い煙りを吐いて、すぐ寂滅じゃくめつした。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たもとから煙草たばこを出して、寸燐マッチをシュッとる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
中天に冴え渡る月をそぞろに仰いだり、または、あわてて憐寸マッチをくわえて煙草をこすろうとしたり—— in a word
と七兵衛が、それを聞いてそらうそぶきました。しかし、何とも二の句をつぐ気にならないで、テレ隠しに摺付木マッチをすりました。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それを目の子勘定のように食卓の上に置き並べ、次に取り出したのが新しい摺付木マッチであります。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
極めて小さな穴だが月野博士は注意してその中を覗いていたが、何を思ったか洋寸マッチを出して火を点ずるとパッと火が付いた。
月世界跋渉記 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
静にしたりし貫一は忽ち起きて鞄を開き、先づかの文をいだし、焠児マッチさぐりて、封のままなるそのはしに火を移しつつ、火鉢ひばちの上に差翳さしかざせり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
佐「甘糟、焠児マッチを持つてゐるか」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
燧寸マッチの箱のようなこんな家に居るにゃあ似合わねえが過日こねえだまでぜいをやってた名残なごりを見せて、今の今まで締めてたのが無くなっているうしろつきのさみしさが
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と黒門の年若な逗留とうりゅう客は、火のない煙草たばこ盆の、はるかに上の方で、燧灯マッチって、しずかいつけた煙草の火が、その色の白い頬に映って、長い眉を黒く見せるほどの内は薄暗い。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうして蘭法附木マッチで袂に火を放って走りまわりましたならば、そこここから火事になりましょう。火薬庫も破裂しましょう。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)