トップ
>
黥
>
いれずみ
ふりがな文庫
“
黥
(
いれずみ
)” の例文
黥
(
いれずみ
)
をした、たるんだ皮膚が、搖れ動く焔にチラ/\と赤く映える。手眞似で食を求めると、老婆は直ぐに前の鍋の蓋を取つて覗いた。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
かくて山城のカリハヰにおいでになつて、
乾飯
(
ほしい
)
をおあがりになる時に、顏に
黥
(
いれずみ
)
をした老人が來てその乾飯を奪い取りました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
なんのために、
黥
(
いれずみ
)
することが、さうした
目的
(
もくてき
)
に
適
(
かな
)
ふのかわからないが、
歌
(
うた
)
の
意味
(
いみ
)
はともかく、さうに
違
(
ちが
)
ひありません。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
ムッチリした大きな
身体
(
からだ
)
に、薄光りする青地の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
を巻き付けているのが、ちょうど全身に
黥
(
いれずみ
)
をしているようで、気味のわるいほど
蠱惑
(
こわく
)
的に見えた。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
見るもいぶせき掘立小舎から弓矢を携えて出入りする、
裘
(
かわごろも
)
を着けた極南の
矮小
(
こびと
)
民族か、物凄い
黥
(
いれずみ
)
をした南海の
獰猛
(
どうもう
)
な土人の姿でも御想像なさるかも知れません。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
腕
(
うで
)
へ
來
(
く
)
る、
乳
(
ちゝ
)
へ
來
(
く
)
る。
拂
(
はら
)
へば
馳
(
はし
)
つて、
又
(
また
)
スツと
寄
(
よ
)
る。あゝ、
女
(
をんな
)
の
雪
(
ゆき
)
の
二
(
に
)
の
腕
(
うで
)
だと、
松葉
(
まつば
)
が
命
(
いのち
)
の
黥
(
いれずみ
)
をしよう、
指
(
ゆび
)
には
青
(
あを
)
い
玉
(
たま
)
と
成
(
な
)
らう。
私
(
わたし
)
は
酒
(
さけ
)
を
思
(
おも
)
つて、たゞ
杉
(
すぎ
)
の
葉
(
は
)
の
刺青
(
ほりもの
)
した。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お富は勢州山田の産故その言
拠
(
よりどこ
)
ろありと惟わる。婦女不毛の事など長々書き立つるを変に思う人も多かろうが、南洋の諸島に婦女秘処の毛を抜き去り三角形を
黥
(
いれずみ
)
するとあり。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
女は
衣類
(
きもの
)
を着て仕舞い、番台の前へ立ちましたが、女の癖に
黥
(
いれずみ
)
があります。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
無理に大きく引伸ばした
耳朶
(
みみたぶ
)
に黒光りのする椰子殼製の輪をぶら下げ、首から肩・胸へかけて波状の
黥
(
いれずみ
)
をした・純然たるトラック風俗である。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
ここにオホクメの命が、天皇の仰せをそのイスケヨリ姫に傳えました時に、姫はオホクメの命の眼の
裂目
(
さけめ
)
に
黥
(
いれずみ
)
をしているのを見て不思議に思つて
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
早くも起き出でし寺男と
思
(
おぼ
)
しく、骨格逞ましく、全身に
黥
(
いれずみ
)
したる中老人が竹箒を
荷
(
かつ
)
ぎて本堂の前を浄め居り。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
目
(
め
)
をさくとは、
眦
(
めじり
)
を、
刺
(
とげ
)
のようなもので
割
(
さ
)
いて、
墨
(
すみ
)
を
入
(
い
)
れて、
黥
(
いれずみ
)
をすることをいふ、
古
(
ふる
)
い
言葉
(
ことば
)
であります。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
無理に大きく引伸ばした
耳朶
(
みみたぶ
)
に黒光りのする椰子殻製の輪をぶら下げ、首から肩・胸へかけて波状の
黥
(
いれずみ
)
をした・純然たるトラック風俗である。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
お
前
(
まへ
)
の
目
(
め
)
は、なぜそんなに
黥
(
いれずみ
)
がしてあるのか、といふ
以上
(
いじよう
)
に、
確
(
たし
)
かな
説明
(
せつめい
)
の
出來
(
でき
)
た
人
(
ひと
)
がないのです。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
どんなに泣いておいでになっても私が背中の
黥
(
いれずみ
)
を出してお眼にかけると直ぐにお泣き止みになる位なんで、ツイずるずるベッタリになりましたようなわけで……ヘイ。
S岬西洋婦人絞殺事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
天地間
(
てんちかん
)
の千
人
(
にん
)
勝
(
まさ
)
りの
勇士
(
ゆうし
)
だというに、どうして
目
(
め
)
に
黥
(
いれずみ
)
をしているのです。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
何処にも
黥
(
いれずみ
)
の見えないのは、其の女がまだ若くて、日本の公学校教育を受けて来たためであらう。
夾竹桃の家の女
(新字旧仮名)
/
中島敦
(著)
主人は
藤六
(
とうろく
)
といった六十がらみの独身者の
老爺
(
おやじ
)
で、相当
無頼
(
なぐれ
)
たらしい。
黥
(
いれずみ
)
を背負っていた。色白のデップリと肥った
禿頭
(
はげあたま
)
で、この辺の人間の扱い方を知っていたのであろう。
骸骨の黒穂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
何處にも
黥
(
いれずみ
)
の見えないのは、其の女がまだ若くて、日本の公學校教育を受けて來たためであらう。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
一気に扉を押し破りて
窖
(
あなぐら
)
の中に躍り入り、
呀
(
あ
)
つと逃げ迷ふ奈美女の白き胴体を、横なぐりに両断し、総身の
黥
(
いれずみ
)
を躍らせて掴みかゝる馬十の両腕を水も堪まらず左右に斬り落す。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
何処にも
黥
(
いれずみ
)
の見えないのは、その女がまだ若くて、日本の公学校教育を受けて来たためであろう。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
人体の
黥
(
いれずみ
)
、その他何でも、芸術作品というものは、その盛り込まれる相手の形状、用途、環境、対象等の各条件によって、それらしいノンセンス味を加味して行かれねばならぬ。
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
甲州生れの大工上りとかいう全身に
黥
(
いれずみ
)
をした大入道で、
三多羅和尚
(
さんたらおしょう
)
という豪傑坊主が、人々の噂を聞いて、一番俺がその
妖怪
(
ばけもの
)
を
退治
(
たいじ
)
てくれようというのでその寺に
住
(
すま
)
い込み、自分でそこ
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
まだ
黥
(
いれずみ
)
はしていない。大切にされているとは言っても、フランペシヤだけは出来ると見える。腕や脚一面に
糜爛
(
びらん
)
した
腫物
(
はれもの
)
がはびこっていた。自然は私ほどにロマンティストではないらしい。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
黥
漢検1級
部首:⿊
20画