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高祖頭巾
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こそずきん
ふりがな文庫
“
高祖頭巾
(
こそずきん
)” の例文
と、一
木
(
ぼく
)
の柳の木の陰から、お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
をかぶった一人の女が、不意に姿をあらわしまして、わたしの方へ歩いてまいりましたが
犬神娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
最後に寝るから起きるまでかぶり通しのお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
を、やはり男のかぶる山岡頭巾というものにかぶり直して、眼ばかりを現わしました。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ふたりともにすっぽりと、お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
でおもてをかくしていたが、前を行くやせ型のすらりとした影こそは、まさしくあの娘の
千萩
(
ちはぎ
)
でした。
右門捕物帖:37 血の降るへや
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
を
被
(
かむ
)
り、庭下駄を履いたなりで家を抜け出し、上野の
三橋
(
さんはし
)
の側まで来ると、
夜明
(
よあか
)
しの茶飯屋が出ていたから、お梅はそれへ来て
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それから
半刻
(
はんとき
)
ばかりの後、春の夜風の薄寒さを、お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
に
凌
(
しの
)
いで、お静はたった一人路地の外へ出て行きました。
銭形平次捕物控:088 不死の霊薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
優しい
跫音
(
あしおと
)
が背後から近づいて来たのも、かれはちゃんと知っていた。
縮緬
(
ちりめん
)
のお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
を眼深に冠って小豆色の被布を裾長に着た御殿風のお女中だった。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
冬の日、紫のお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
を
被
(
かぶ
)
って、
畳紙
(
たとうがみ
)
や筆の
簾巻
(
すだれまき
)
にしたのを持って通ってゆく姿が今でも眼に残っている。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
それは君子の母と同じ年頃の三十七、八歳かと思われたが、この女は鼠色のお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
ですっぽりと顔まで包んで、出ているところといっては目だけであった。
抱茗荷の説
(新字新仮名)
/
山本禾太郎
(著)
ハッとして見返ると、なんと、そこに、紫いろの、お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
、滝じまの小袖、小脇に何やら
角
(
かく
)
い包をかかえるようにして、
佇
(
たたず
)
んでいたのが、軽わざのお初だ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
いつだったか、
先斗町
(
ぽんとちょう
)
で有名な美人の
吉弥
(
きちや
)
と一緒に何彼と話していた時、お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
の話が出ました。
好きな髷のことなど
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
陶は濃紫のお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
をかぶり、同じ色の吾妻コートを着て、やはり俺のほうを瞶めている。しかし生きた人間でない証拠に、顔の輪廓が薄れたり朦朧となったりする。
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ちょうど後世のお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
のように首の全部を
覆
(
おゝ
)
い隠して、肩の上まで垂れているので、顔はこゝからは分らないけれども、しょんぼり
彳
(
たゝず
)
んで空の方を仰いでいるのは
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
初めて私がランプを見たのは、六つの時、雪の降る夜、紫色の
縮緬
(
ちりめん
)
のお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
を
冠
(
かぶ
)
った母につれられて、東京から伊賀の山中の
柘植
(
つげ
)
という田舎町へ帰ったときであった。
洋灯
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
を冠って、
養生
(
ようじょう
)
眼鏡をかけますとチョットしたお金持ちの
後家
(
ごけ
)
さん位に見えましたそうで、興行中でも何か気に入らぬ事がありますと、そんな風にして姿を隠して
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その頃流行っていたお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
を被り、
白粉
(
おしろい
)
をつけ、女の着物、女下駄で出てゆくのを、母も女中も笑い囃しながら見ていたが、やがて何時間もたってから澄まして帰って来た。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ほう。……女人だ!」それは紛れもなく、お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
に
面
(
おもて
)
を隠した若い女性だった。
くろがね天狗
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして
加之
(
しかのみならず
)
、事実を興味深く粉飾するために、何の小説にも一様に、
護謨
(
ゴム
)
靴の刑事と、お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
の賊とが現れ、色悪と当時称せられた姦淫が事件の裏に
秘
(
ひそ
)
んでいるのに極まっていた。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
その時の母親は藤ねずみのお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
に顔をつつんで、人目を避けていた。冬の頃かと思う。その姿を、鶴見はまざまざと、いつであろうとも、
眼
(
ま
)
のあたりに思い浮べることが出来る。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
芸者その頃冬の夜道を向嶋あたりへ
遠出
(
とおで
)
に行く時、お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
をかぶるもありき。四角なる
縮緬
(
ちりめん
)
の角に糸を輪にして付け、それを
耳朶
(
じだ
)
にかけてかぶるなり。
小袖
(
こそで
)
には糸織縞に意気な柄多くありたり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
をかぶっている。私は立ちどまって待った。
チャンス
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ここでめぐり会った米友をおかしいと思うと共に、それと相合傘をしていたお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
の女の人を、お角は不審に思わないわけにはゆきません。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
常夜燈の蔭から現われた、女役者の荻野八重梅、町家の女房という
風采
(
みなり
)
である。お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
を冠っている。二人の
行衛
(
ゆくえ
)
を見送ったが、さすがに気持ちが悪いらしい。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
を冠り、ふッくりと綿の這入りし深川鼠三ツ紋の羽織に、
藍
(
あい
)
の子もち縞の小袖の
両褄
(
りょうづま
)
を高く取って長襦袢を出し、其の頃ゆえ麻裏草履を
結
(
ゆわ
)
い附けに致しまして
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ちくしょうッ、あれだ、あいつだ。たしかに、あのお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
の女ですぜ」
右門捕物帖:34 首つり五人男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
それからチュッチュッと鳴る
紅絹裏
(
もみうら
)
の袂、———私の肉体は、凡べて普通の女の皮膚が味わうと同等の触感を与えられ、襟足から
手頸
(
てくび
)
まで白く塗って、
銀杏返
(
いちょうがえ
)
しの
鬘
(
かつら
)
の上にお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
を
冠
(
かぶ
)
り
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そんな風に、心につぶやいた雪之丞は、
大喜利
(
おおぎり
)
をつとめてしまうと、ふじいろのお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
もしっとりと、迎えのかごに身を揺られて、長崎屋から示された、根岸の料亭をさして急ぐのだった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
市十郎は、初めて、お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
の顔を見つめて
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
またその二人が、一方が男であり、一方が女であることも同じだが、あちらのは、女の人がお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
で覆面をしているのに、男の方は
素面
(
すめん
)
です。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
此方
(
こちら
)
は幸兵衞夫婦丁度霜月九日の晩で、宵から
陰
(
くも
)
る雪催しに、
正北風
(
またらい
)
の強い請地の
堤
(
どて
)
を、男は山岡頭巾をかぶり、女はお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
に顔を包んで柳島へ帰る途中、左右を見返り、小声で
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
で顔をかくした品のよいお屋敷者らしい美人でござりましてな。
右門捕物帖:34 首つり五人男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
世にも小意気な歩みぶり——水いろ
縮緬
(
ちりめん
)
のお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
、滝縞の小袖の裾も長目に、
黒繻子
(
くろじゅす
)
と紫
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
の
昼夜帯
(
はらあわせ
)
を引ッかけにして、町家の
伊達
(
だて
)
女房の、夜歩きとしか、どこから見ても見えないのだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
見れば品のよい令嬢姿の女が、顔にはお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
をかぶったままでの、しとやかな挨拶です。二人は一議にも及ばず
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と云いながらお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
をとるを見て
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
か!」
右門捕物帖:34 首つり五人男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
お銀様の覆面は、一時流行したお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
といったあれなのです。黒縮緬を釣合いよく切らせて、上手に巻いている。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ほどなくお角の前へ姿を現わしたのは、ねまきに羽織を引っかけた女の姿に違いはないけれど、どうしたものか、頭からすっぽりとお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
をかぶったままです。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
金助は、全く怖る怖る二階の間へ通り、キチンと
跪
(
かしこ
)
まって、恐れ入った形をしていると、いつもの通りお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
をすっぽりとかぶったお銀様は、
行燈
(
あんどん
)
の光に
面
(
おもて
)
をそむけて
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その女は、男のような風をして、お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
をすっぽりと
被
(
かぶ
)
っておりました。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お
高祖頭巾
(
こそずきん
)
をかぶっているということも一目でわかるが、お高祖頭巾をかぶっているという婦人は、世間にいくらもあることですから、お高祖頭巾に向って特別注意を払ったのではありません。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
高
常用漢字
小2
部首:⾼
10画
祖
常用漢字
小5
部首:⽰
9画
頭
常用漢字
小2
部首:⾴
16画
巾
常用漢字
中学
部首:⼱
3画
“高祖”で始まる語句
高祖
高祖遺文録