雜然ざつぜん)” の例文
新字:雑然
みづ汲上くみあぐる釣瓶つるべおとはたおとかねこゑ神樂かぐらひゞき騷然さうぜん雜然ざつぜんげふこゑありてもくするはく、しよくおとありてきこえざるはきにいたれり。
鉄槌の音 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
折角せつかくうめさけでえなしにして可惜物あつたらもんだな、らこんで餘程よつぽどえゝさけだぞ」などといふこゑ雜然ざつぜんとしてきこえた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
何しろ退屈たいくつ仕方しかたが無い。そこで少し體を起して廣くもない庭を見𢌞して見る。庭の植込うゑこみ雜然ざつぜんとしてこれと目にく程の物も無い。それでゐて青葉がしげりにしげツてゐるせいか庭が薄暗い。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
雜然ざつぜんたるこゑなみごとしづんでおこつた。太鼓たいこばちつよかるち、さらあかつたどうをそつとつて、さうしてまただらり/\とつよかるつことを反覆はんぷくした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
にはさわぎはんで疾風しつぷうおそうたごとれううちまた雜然ざつぜんとして卯平うへいかこんだ沈鬱ちんうつ空氣くうき攪亂かくらんした。やが老人等としよりらたがひ懷錢ふところせんうた二升樽しやうだるはこばれてさけまたわかされた。さけ圍爐裏ゐろりちかかたちづくられた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)