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都鄙
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とひ
ふりがな文庫
“
都鄙
(
とひ
)” の例文
天王寺の前から曲れば、この
三崎北町
(
さんさききたまち
)
あたりもまだ店が締めずにある。公園一つを中に隔てて、
都鄙
(
とひ
)
それぞれの
歳暮
(
さいぼ
)
の
賑
(
にぎわ
)
いが見える。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
都鄙
(
とひ
)
到る所の住宅、公共の建築物、生産設備、工場、倉庫、あらゆる種類の建設物(いうまでもなく、それを支える土地を含ませない)
純粋経済学要論:01 上巻
(新字新仮名)
/
マリー・エスプリ・レオン・ワルラス
(著)
近年、我が日本において、
都鄙
(
とひ
)
上下の別なく、学問の流行すること、古来、未だその比を見ず。実に文運降盛の
秋
(
とき
)
と称すべし。
学問の独立
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
馬鹿囃子
(
ばかばやし
)
の一隊を狩集め、なお有志の大連を差加えて小金ヶ原へ乗込み、
都鄙
(
とひ
)
の道俗をアッと言わせようとして、明日あたりはその下検分に
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
『明治史要』戊辰二月の記事に、「徴士ハ定員ナシ諸藩ノ士及
都鄙
(
とひ
)
有才ノ者公儀ニ執リ抜擢セラル
則
(
すなわち
)
徴士ト命ズ。参与職各局ノ判事ニ任ズ。」
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
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小は
古
(
ふる
)
郵便券、マッチの貼紙の蒐集家まで、骨董畠が世界各国
都鄙
(
とひ
)
到るところに開かれて存在しているようになっている。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
鎌倉期の初頭あたりを一つの
堺
(
さかい
)
として、その鬼がまた天狗にその地位を委譲したのは、東国武士の実力増加、
都鄙
(
とひ
)
盛衰の事情を考え合わせても
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
日常食としても万人貴賤
都鄙
(
とひ
)
みな愛好するもの、
蒟蒻
(
こんにゃく
)
をつくりあげた作家は、中国人にしても、日本人にしても、驚くべき創作家的料理人である。
味を知るもの鮮し
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
論ずる者、或は
都鄙
(
とひ
)
政談の
囂々
(
ごうごう
)
たるを憂い、天下子弟の法律・政治の学に流れて、理学を修めざるを
咎
(
とが
)
むと
雖
(
いえど
)
も、これ
未
(
いま
)
だ今日の実情を究めざるの罪なり。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
都鄙
(
とひ
)
の別なくロシアの津々浦々でやるようにいろんな塩物や或る種の刺戟性の珍味で口直しをすると、一同はぞろぞろと食堂へ向ったが、先頭に立った主婦は
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
その今日まで、地方の書信の机上に
堆積
(
たいせき
)
せるもの幾百通なるを知らずといえども、そのうち昨今、
都鄙
(
とひ
)
の別なく、上下ともに
喋々
(
ちょうちょう
)
するものは
狐狗狸
(
こっくり
)
の一怪事なり。
妖怪玄談
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
全くこのような見っともない状態が、
都鄙
(
とひ
)
いたる所にあればこそ、このような協会も出来たのである。汽車に乗って東京へ近づくと、長い防海壁のある入江を横切る。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
追い/\
都鄙
(
とひ
)
が騒がしくなって来るので、父子の間にとかくの浮説が出来ると云うのも
直談
(
じきだん
)
がないからである、急ぎ秀次是へ参られ候え、
結
(
むすぼ
)
れぬる氷を春風の解くように
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
我来也の名は
都鄙
(
とひ
)
に
喧伝
(
けんでん
)
して、賊を捉えるとはいわず、我来也を捉えるというようになった。
中国怪奇小説集:11 異聞総録・其他(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
都鄙
(
とひ
)
両方に往来する人は両方を少しずつ知っている。その結果はどちらもわからない前の二者よりも悪いかもしれない。性格が分裂して徹底した没分暁漢になれなくなるから。
田園雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
オモロに
鄙
(
ひな
)
も都もということを
京鎌倉
(
きやかまくら
)
といったり、勝連城を
日本
(
やまと
)
の
鎌倉
(
かまくら
)
に
譬
(
たと
)
えたりした所などを見ると、当時京都と鎌倉との関係が琉球の
都鄙
(
とひ
)
に知れ渡っていたことが知れる。
土塊石片録
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
いわんや一紙半銭の寄進においてをや。願わくは建立の大願成就して、皇居安泰の願満たされ、
都鄙
(
とひ
)
遠近ともに、僧俗ともに
尭舜
(
ぎょうしゅん
)
の世の平和を謳歌し、長き太平の世を喜ばん。
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
今や我が国
都鄙
(
とひ
)
到
(
いた
)
る処として
庠序
(
しょうじょ
)
の設けあらざるはなく、
寒村
(
かんそん
)
僻地
(
へきち
)
といえどもなお
咿唔
(
いご
)
の声を聴くことを
得
(
う
)
、
特
(
こと
)
に女子教育の如きも近来
長足
(
ちょうそく
)
の進歩をなし、女子の品位を高め
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
これらも実に善く
都鄙
(
とひ
)
の特色をあらはして居る。東京の子は活溌でおてんばで陽気な事を好み田舎の子は陰気でおとなしくてはでな事をはづかしがるといふ反対の性質が既に
萌芽
(
ほうが
)
を発して居る。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
この国は今言うような趣味の材料には、最も豊富な国と言っていい、
都鄙
(
とひ
)
おしなべて、何か
古城趾
(
こじょうし
)
があるとすれば
殊
(
こと
)
に妙であるが、
其処
(
そこ
)
には
何等
(
なにら
)
かの意味に於いて、
何等
(
なにら
)
かの
怪
(
かい
)
が必ず潜んでいる。
不吉の音と学士会院の鐘
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
現に結婚難は
都鄙
(
とひ
)
の別なく年を追うて我国にも増大して行きます。
「女らしさ」とは何か
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
氏
(
うじ
)
の上下は作法 によって知らるるなり、
都鄙
(
とひ
)
の人々はその言葉によって知らるるなり、ということがありますように、華族は特別に容貌も高尚なる姿があって、その作法もすべて風雅で
静粛
(
せいしゅく
)
である。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
また、これを大にして
都鄙
(
とひ
)
の道路橋梁、公共の建築等に、時としては実用のほかに外見を飾るものなきにあらず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
校長君は開校の詞を述べて
曰
(
い
)
えらく、天下更始、新主義の学起る、
都鄙
(
とひ
)
の子弟争てこれを講じ、早くこれを実際に応用せんと欲す、速成の教授今日に切なるが如しと。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
文学の
都鄙
(
とひ
)
優劣が強く現われるようになってから、たまたま相手の武器を借りて争おうとした者は、たちまち『清悦物語』のごとく敗北したが、そういう世の進みには頓着せぬ人々が
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
都鄙
(
とひ
)
一般に流行して、その流行の
極
(
きわみ
)
、しきりに新奇を好み、山村水落に女子英語学校ありて、生徒の数、常に幾十人ありなどいえるは毎度伝聞するところにして
文明教育論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それゆえに
都鄙
(
とひ
)
雅俗
(
がぞく
)
というがごとき理由もない差別標準を、みずから進んで承認する者がますます多く、その結果として国民の趣味統一はやすやすと行われ、今でも新年の勅題には南北の果から
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
外国人の見る目
如何
(
いかん
)
などとて、その来訪のときに家内の体裁を取り繕い、あるいは外にして
都鄙
(
とひ
)
の外観を飾り、または交際の法に華美を装うが如き、誠に無益の沙汰にして
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
節会はすなわち節日の会食で、この日は集まって大いに飲みかつ食べることは、古今
都鄙
(
とひ
)
を一貫した行事の中心であった。これが時世によって盛衰し、どちらかというとだんだんと淋しくなった。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
然らば即ち今日の女大学は小説に非ず、戯作に非ず、女子教育の宝書として、
都鄙
(
とひ
)
の或る部分には今尚お崇拝せらるゝものにてありながら、宝書中に記す所は明かに現行法律に
反
(
そむ
)
くもの多し。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
“都鄙”の意味
《名詞》
都(都市)と田舎。
(出典:Wiktionary)
都
常用漢字
小3
部首:⾢
11画
鄙
漢検1級
部首:⾢
14画
“都”で始まる語句
都
都合
都度
都会
都々逸
都人
都會
都大路
都市
都風