貫之つらゆき)” の例文
これを要するに曙覧の歌は『万葉』に実朝に及ばざること遠しといえども、貫之つらゆき以下今日に至る幾百の歌人を圧倒し尽せり。
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
この竹取の絵は巨勢こせ相覧おうみの筆で、ことば書きは貫之つらゆきがしている。紙屋紙かんやがみ唐錦からにしきの縁が付けられてあって、赤紫の表紙、紫檀したんの軸で穏健な体裁である。
源氏物語:17 絵合 (新字新仮名) / 紫式部(著)
貫之つらゆきの哥に「しほのぼるこしみづうみちかければはまぐりもまたゆられにけり」又俊成卿としなりきやうに「うらみてもなにゝかはせんあはでのみこしみづうみみるめなければ」又為兼卿ためかねきやうとしを ...
『題知らず……躬恒みつね……貫之つらゆき……つかわしける……女のもとへ……天津あまつかりがね……』おおわれ知らず読んだか。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
貫之つらゆき和泉式部いずみしきぶ・西行・式子内親王を同数としたことは、定家の評価の良さを今からでも見ることが出来て、歌人としての力量の鋭さはおおうべくもない。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
我が朝の貫之つらゆきもその古今集の序に於て「やまと歌は人の心をたねとしてよろずこととぞなれりける」と説き
婦人問題解決の急務 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
「それは御同様ですよ。また思うように和歌うたが出来た日には、人麿ひとまろや、貫之つらゆきが泣きますからね」
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
貫之つらゆきの歌に汐越ゆる越の水海とあるのはこれかと言った人もある(遊嚢賸記ゆうのうしょうき巻二十四)。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
翁曰、貫之つらゆきの好める言葉と見えたり。かやうの事は今の人の嫌ふべきを、昔は嫌はずと見えたり。もろこしの詩にも左様のためしあるにや。いつぞや丈艸の物語に杜子美としびに専ら其事あり。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
生命いのちもなにかは、と歌い寄せる恋歌こいかは、貫之つらゆき道風とうふうをまなんだいとうるわしい万葉仮名まんようがなで書かれるが、その愛が、文字のごとく美しかった例は、星屑ほしくずほども多かった殿上人の恋のうちにも
「見る人もなくてちりぬる奥山の」と云う貫之つらゆきの歌は紅葉を詠じたものだけれども、かゝる時、かゝる谷あいに、人知れず春を誇っている花もまた、「夜の錦」であることに変りはない。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「逢坂の関の清水にかげ見えて今や引くらむ望月の駒」(拾遺・貫之つらゆき)、「春ふかみ神なび川に影見えてうつろひにけり山吹の花」(金葉集)等の如くに、その歌調なり内容なりが伝播でんぱしている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
貫之つらゆき邸址の句碑を見、要法寺に於ける玉藻句会に列席。
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
貫之つらゆきは貫之時代の歌の上手とするも前後の歌よみを比較して貫之より上手の者ほかに沢山有之たくさんこれありと思わば、貫之を下手と評することまた至当に候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
貫之つらゆきの哥に「しほのぼるこしみづうみちかければはまぐりもまたゆられにけり」又俊成卿としなりきやうに「うらみてもなにゝかはせんあはでのみこしみづうみみるめなければ」又為兼卿ためかねきやうとしを ...
玄宗げんそう皇帝と楊貴妃ようきひの恋を題材にした白楽天の長恨歌ちょうごんかを、亭子院ていしいんが絵にあそばして、伊勢いせ貫之つらゆきに歌をおませになった巻き物で、そのほか日本文学でも、支那しなのでも
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
あなが人丸ひとまろ赤人あかひと余唾よだねぶるでもなく、もとより貫之つらゆき定家ていか糟粕そうはくをしやぶるでもなく、自己の本領屹然きつぜんとして山岳さんがくと高きを争ひ日月と光を競ふ処、実におそるべく尊むべく
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
席上でできた詩歌の数は多かったが、こんな時のまじめでない態度の作をたくさんつらねておくことのむだであることを貫之つらゆきも警告しているのであるからここには書かないでおく。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
心のうちでは貫之つらゆき朝臣あそんが「糸にるものならなくに別れは心細くも思ほゆるかな」
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
香もなきに「香ににおふ」と詠み、恋しくもなきに「恋にあこがれ」と詠み、見もせぬに遠き名所を詠み、しこうして自然の美のおのが鼻のさきにぶらさがりたるをも知らぬ貫之つらゆき以下の歌よみが
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
あながち人丸ひとまろ赤人あかひと余唾よだねぶるでもなく、もとより貫之つらゆき
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
貫之つらゆきは下手な歌よみにて『古今集』はくだらぬ集に有之候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
貫之つらゆきは下手な歌よみにて『古今集』はくだらぬ集に有之これあり候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)