豆粒まめつぶ)” の例文
そしていちばんはじめに手拭てぬぐひすゝんだ鹿しかから、一口ひとくちづつ団子だんごをたべました。六ぴきめの鹿しかは、やつと豆粒まめつぶのくらゐをたべただけです。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
季節きせつあきにはいると、どこからともなく、わたどりがあかねいろ夕空ゆうぞらを、やまうえたかく、豆粒まめつぶのように、ちらばりながら、んでいくのがえました。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さうしてうまいてたな、あせ豆粒まめつぶぐれえなのぼろ/\れつけがそんでも到頭たうとう我慢がまんしつちやつた、なんでもちからおとしせえしなけりやなほんなすぐだから
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さやなかには豆粒まめつぶが五つありました。そしてなかかつたのです。けふもけふとて、むつまじくはなしてゐました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
寒い話では、鍬の刃先はさきにはさまった豆粒まめつぶを噛みに来た鼠の舌が鍬に氷りついたまゝ死に、鼠をげると重たい開墾かいこんぐわがぶらり下ってもはなれなかった話。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それが這っているのを見つけたのは、大分おおいた空港を発って、やがてであった。豆粒まめつぶのような楕円形だえんけいのものが、エンジンから翼の方に、すこしずつ動いていた。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
ふしぎにおもってそこらをお見回みまわしになりますと、くつぬぎにそろえてある足駄あしだかげに、豆粒まめつぶのようなおとこ一人ひとりになってつっっていました。宰相殿さいしょうどのはびっくりして
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しかしこわがることがあるものか、と思いなおしました。見ると、自分が今までにわ城外じょうがいの町などはずっと、下の方に見おろされました。してる人間が、豆粒まめつぶのように小さく見えました。
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
博士の目の前のテレビジョン装置には、研究所や三角岳の建物が豆粒まめつぶのように小さくうつったが、それもたちまち見えなくなって、関東平野がまるで地図のように、浮かびあがって来たのだった。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
豆粒まめつぶを敷居の溝に置いて、夜中に人が出入りすれば豆は独りでに動くという話である、その敷居の上の豆をわざわざ動かして、反証を作ったと書いたこともある、これも比事物から得た材料である。
銭形平次打明け話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
人道じんどうには、豆粒まめつぶのような人が、ゾロゾロと歩いています。
電人M (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そのうちに西にしそらが、あかくなりました。ひょっこりと前方ぜんぽうへ、くろ小舟こぶねなみのうちからかびがりました。あちらにも一つ、ずっととおくのほうにも、豆粒まめつぶのようなのがえています。
海へ帰るおじさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぴきめの鹿は、やっと豆粒まめつぶのくらいをたべただけです。
鹿踊りのはじまり (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)