しき)” の例文
ゆめうつつの境の——第七しきのはたらきが、彼をして、突然、何ということもなく、枕もとのよろいを、手早く身につけさせていた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
したがって、この第六識はぜんしきの主人公です。この主人公がシッカリしておればこそ、眼、耳、鼻、舌、身の五識は命じられるままに、よく働くわけです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
劉秉忠はがく内外を兼ね、しき三才をぶ、釈氏しゃくしよりおこって元主を助け、九州を混一こんいつし、四海を併合す。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
西洋諸国たえて鄙野ひやの教門なし。ここをもって人の好むところにまかするもまた可ならん。かつ人々しき高く、学ひろし。あに木石虫獣を拝する者あらんや。わが邦はすなわちしからず。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
はたと行き逢ひたる二人の一人は目から鼻へぬける様な通人の林田翰長かんちやう、半面のしきもあればと一礼するに、何しに来たと云ふ様な冷瞥れいべつを頭からあびせられ、そこ/\に退陣しつ。
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
しこうしてその利益はすなわち木村軍艦奉行ぐんかんぶぎょう知遇ちぐうたまものにして、ついわするべからざるところのものなり。芥舟先生は少小より文思ぶんしみ、また経世けいせいしきあり。常に筆硯ひっけんを友としておいの到るを知らず。
無明薫習むみょうくんじゅうニ依ッテ起ス所ノしきトハ、凡夫ノク知ルトコロニあらズ、また、二乗ノ智恵ノ覚スル所ニ非ズ、いわク、菩薩ニ依ッテ初ノ正信ヨリ発心観察シ、シ法身ヲ証スレバ少分知ルコトヲ得
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
何人なんびと何用なにようありてひたしといふにや親戚しんせき朋友ほういう間柄あひだがらにてさへおもてそむけるわれたいして一面いちめんしきなく一語いちごまじはりなきかも婦人ふじん所用しよようとは何事なにごとあひたしとは何故なにゆゑ人違ひとちがひとおもへばわけもなければ彼處かしこといひ此處こゝといひまはりし方角はうがく不審いぶかしさそれすらこと不思議ふしぎなるにたのみたきことありあし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
元来、仏教ではわれわれ凡夫の智慧をば仏の智慧と区別して、単にしきといっております。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)