見境みさかひ)” の例文
ところで、一刻いつこくはや仕上しあげにしやうとおもふから、めし手掴てづかみで、みづ嚥下のみおろいきほひえてはたらくので、時間じかんも、ほとんど昼夜ちうや見境みさかひはない。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
喫驚びツくりしてひと見境みさかひもないんだわ!だけど、扇子せんす手套てぶくろつててやつたはういわ——さうよ、つたら』をはると同時どうじ小綺麗こぎれいちひさなうちました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「へエー、親分が乘出すんですか。——三輪みのわの親分が氣をんで、見境みさかひもなく人を縛りますぜ」
いゝえ御婦人ごふじんかぎつたことはありますまいとも。……げんわたくし迷惑めいわくをしたんですから……だれだつて見境みさかひはないんでせう。其奴そいつ砂利じやりつかんで滅茶々々めちや/\擲附ぶツつけるんです。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さらはれたのは、美しい女の子か、丈夫さうな男の子で、武家も町人も見境みさかひはありませんが、一致した點は、いづれも嫌がるのを力づくで、無理に連れて行つた形跡のあることです。
して通るんだよ。犬だつて見境みさかひがあらア、平常ふだん亂暴なことをするから、お前の顏を
けん山家やまがまへたのには、まで難儀なんぎかんじなかつた、なつのことで戸障子としやうじしまりもせず、ことに一軒家けんや、あけひらいたなりもんといふでもない、突然いきなり破椽やぶれえんになつてをとこ一人ひとりわしはもうなん見境みさかひもなく
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)