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蛹
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さなぎ
ふりがな文庫
“
蛹
(
さなぎ
)” の例文
天井の真中には、
麻布
(
あさ
)
の袋でおおったシャンデリアがさがっているが、ひどい埃のために、まるで
蛹
(
さなぎ
)
の入っている
繭
(
まゆ
)
そっくりだ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
蛹
(
さなぎ
)
を用ゐて機械油を作る計画に与つたり(明治二十三年)、さうだと思ふと羽田の穴守に稲荷を祭ることなど率先してゐる。
「いろは」の五色ガラスについて
(新字旧仮名)
/
木村荘八
(著)
「
構
(
かま
)
いませんよ。それよりまああの
梨
(
なし
)
の木どもをご
覧
(
らん
)
なさい。
枝
(
えだ
)
が
剪
(
き
)
られたばかりなので
身体
(
からだ
)
が
一向
(
いっこう
)
釣
(
つ
)
り合いません。まるで
蛹
(
さなぎ
)
の
踊
(
おど
)
りです。」
チュウリップの幻術
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
しかし、殻から出た
蛹
(
さなぎ
)
は、新らしい外皮の中に喜んで手足を伸して、自分の新しい
牢獄
(
ろうごく
)
の境界をまだ認めるの
隙
(
ひま
)
がなかった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それから繭をつくって、
蛹
(
さなぎ
)
になったのも居た。僕はそれ等をあつめ、重曹の明瓶などに飼っていたことがある。無論蚤の成虫もつかまえて飼って居た。
蚤
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
▼ もっと見る
そこで苦し紛れに信州から養殖のはやを取り寄せ、利根で釣れたのですといって
誤魔化
(
ごまか
)
したところ、
蛹
(
さなぎ
)
臭いので直ぐ化けの皮が現われたという話である。
水と骨
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
信州で
蛹
(
さなぎ
)
を喰う鯉を見た時には、何だか
厭
(
いや
)
な気がしたのであるが、今度は余り意外なので全く驚いてしまった。
由布院行
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「あんなのは、本當に
蛹
(
さなぎ
)
から出たばかりの蝶々のやうなもので、人間附き合ひをさせて置くのは勿體ない位」
銭形平次捕物控:276 釣針の鯉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
『では、
未
(
ま
)
だお
前
(
まへ
)
はそれを
知
(
し
)
らないんだわ』と
云
(
い
)
つて
愛
(
あい
)
ちやんは、『でも、お
前
(
まへ
)
が
蛹
(
さなぎ
)
に
化
(
な
)
つてから——
何時
(
いつ
)
かしら
屹度
(
きつと
)
解
(
わか
)
るわ——それから
更
(
ま
)
た
蝶
(
てふ
)
になる
時
(
とき
)
に、 ...
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「こおろぎでも蛇でも蛙でも、川底の石の下にいるじゃじゃ虫でも、源五郎でも、栗の樹の虫でも蚕の
蛹
(
さなぎ
)
でもなんでも、……源五郎虫なんかとても香ばしくって」
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
蛹
(
さなぎ
)
が蛾となって飛廻るためには、今迄自分の織成した美しい繭を無残に喰破らねばならぬのである。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
蚕が
蛹
(
さなぎ
)
となる前にまず繭を造ってそのうちに隠れるごときはすなわち本能の働きであるが、これらは一生涯にただ一回よりせぬことゆえ、前もって
稽古
(
けいこ
)
するわけでもなく
脳髄の進化
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
幼虫時代は、醜い青虫の時代であり、成長のための準備として、
食気
(
くいけ
)
一方に専念している。そして飽満の極に達した時、繭を作って
蛹
(
さなぎ
)
となり、仮死の状態に入って
昏睡
(
こんすい
)
する。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
蚯蚓
(
みみず
)
が
蜈蚣
(
むかで
)
になったと載せ、『和漢三才図会』に、蛇海に入って
石距
(
てながだこ
)
に化すとあり、播州でスクチてふ魚
海豹
(
あざらし
)
に化すというなど変な説だが、
蛆
(
うじ
)
が蠅、
蛹
(
さなぎ
)
が
蛾
(
が
)
となるなどより推して
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
毛虫は木の芽や草の葉ばかり食べて、それから
蛹
(
さなぎ
)
になり、も一度生れ変つてきれいな蝶や蛾になりますけれど、少しも人の益になることをしません。だから殺してもいいと思ひます。
原つぱの子供会
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
ぢぢむさい
蛹
(
さなぎ
)
が化けて羽の
黄
(
きい
)
ろい足長蜂となると、尻つ尾の先に剣をつけるやうに、中村雄次郎
男
(
だん
)
は、満鉄総裁から関東都督に職業替へをしたばつかりに、一旦
予備役
(
よびえき
)
になつた身で
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その間繭は、誰れかゞ糸を引つぱつた時の毛糸の玉のやうに熱い湯の中で跳ねてゐる。糸の薄くなつた繭の真中には、火で焙り殺された
蛹
(
さなぎ
)
がゐる。その後で絹はいろ/\な作業に遭ふ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
繭
(
まゆ
)
に籠っていた
蛹
(
さなぎ
)
が
蛾
(
が
)
と
化
(
かわ
)
り、不随意に見えた世界を破って、随意自在の世界に出現する。考えてみればこの急激な変貌の
畏
(
おそろ
)
しさがよく分る。受身であった過去は既に破り棄てられた。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
真綿は
繭
(
まゆ
)
を
曹達
(
ソーダ
)
でくたくた煮て
緒
(
いとぐち
)
を
撈
(
さぐ
)
り、水に
晒
(
さら
)
して
蛹
(
さなぎ
)
を取り
棄
(
す
)
てたものを、板に
熨
(
の
)
して
拡
(
ひろ
)
げるのだったが、彼女は
唄
(
うた
)
一つ歌わず青春の甘い夢もなく、
脇目
(
わきめ
)
もふらず働いているうちに
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
蛹
(
さなぎ
)
でも食って生きているような感じだ。
妖怪
(
ようかい
)
じみている。ああ、胸がわるい。
愛と美について
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
一匹の、まだ
蛹
(
さなぎ
)
から出たばかりであるらしい蠅が、摺ガラスに
打
(
ぶ
)
つかっては、弱い羽音を立てて
居
(
お
)
りました。その時私は女の黒髪を掻き分けて、耳から耳に、頭上を横断してメスを入れました。
三つの痣
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
剥がれて、剥がれて釜の底に沈んで行く
蛹
(
さなぎ
)
を見ると
工女の歌
(新字新仮名)
/
丹沢明
(著)
毛虫や
蛹
(
さなぎ
)
の時から分かる。若々しい6730
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
蛹
(
さなぎ
)
から蝶への大飛躍を
遂
(
と
)
げたのは、実に三十二歳の時で、その年彼の歌劇「王と坑夫」が国民劇場で上演され、さらに国民的な要素を持つ交響曲が発表されて彼の名は次第に高められ
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
窮屈な
蛹
(
さなぎ
)
の中から、すばやく羽を広げて
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
蛹
(
さなぎ
)
のようになってお
出
(
いで
)
なさるこの
方
(
かた
)
を
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
“蛹”の解説
蛹(さなぎ)は、昆虫のうち完全変態をする仲間(完全変態亜節に分類される種類)が成虫になる寸前にとる、成虫に似た形で、ほとんど動かない一時期をさす。
(出典:Wikipedia)
蛹
漢検1級
部首:⾍
13画
“蛹”を含む語句
蛹虫
蚕蛾蛹
蛹踊