薄情はくじやう)” の例文
此女このをんなくにかられてたのではない、江戸えどつたをんなか知れない、それは判然はつきりわからないが、なにしろ薄情はくじやうをんなだから亭主ていしゆおもてき出す。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
わしもときかゝあなれた當座たうざなもんだからさう薄情はくじやうなことも出來できねえとおもつて、そんでも一ばんめて、わしもこまつちやたがこくもちつたあつたのせ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それではなんにもならないでせう。ほんとに其處そこではたすけることもたすけられることもできない。まつたく薄情はくじやうのやうだが自分々々じぶん/″\です。自分じぶんだけです。それほかいのさ、ね
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
薄情はくじやうもの義理ぎりしらずとおしくるめてのおことば道理だうりなれど御無理ごむりなり此身このみひとつにとががあらばたれもせんかれもせんひざともといふ談合相手だんがふあひてあそばしてよとなみだながらひかへるたもと
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「どうです。かう云ふ薄情はくじやう女です。」
二黒の巳 (新字旧仮名) / 平出修(著)
ほんにの、薄情はくじやうな牡丹がちりかかる。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
聞敢きゝあへず今更小兒の事など言たればとて詮方せんかたなしすてた氣に成て斷念あきらめよといかにも薄情はくじやうなる吾助の言葉にお兼はわすれんとすれども忘れられず心ならずも歩み行に此時後の方より日來ひごろうらみ思ひ知やとこゑかけたれやらん拔討ぬきうちにお兼がかたより乳のしたかけ切下きりさげければお兼は堪らずアツと云てたふれたり吾助は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あんま生地いくぢすぎる、そんな生地いくぢのない人と連添つれそつてゐるのはいやだ、此子このこはおまへさんのだからお前さんが育てるがい、わたしはもつと気丈きぢやうな人のところへ縁付かたづくから、といふ薄情はくじやうぶん
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
にくいあん畜生が薄情はくじやうな眼つき
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)