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菜園
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さいゑん
けれども
先生は
其家を
圍む
幾畝かの
空地を
自から
耕して
菜園とし
種々の
野菜を
植ゑて
居ます。
又五六羽の
鷄を
飼ふて、一
家で
用ゆるだけの
卵を
採つて
居ます。
宗助は
濡れた
頭を
冷たい
空氣に
曝して、わざと
菜園迄下りて
行つた。さうして、
其所に
崖を
横に
掘つた
大きな
穴を
見出した。
宗助は
少時其前に
立つて、
暗い
奧の
方を
眺めてゐた。
今朝わが庭にふりつみぬ。
籬枯生はた
菜園のうへに
宜道が
竈の
火を
消して
飯をむらしてゐる
間に、
宗助は
臺所から
下りて
庭の
井戸端へ
出て
顏を
洗つた。
鼻の
先にはすぐ
雜木山が
見へた。
其裾の
少し
平な
所を
拓いて、
菜園が
拵えてあつた。
彼は
自分の
室で
獨り
考へた。
疲れると、
臺所から
下りて、
裏の
菜園へ
出た。さうして
崖の
下に
掘つた
横穴の
中へ
這入つて、
凝つと
動かずにゐた。
宜道は
氣が
散る
樣では
駄目だと
云つた。