色鳥いろどり)” の例文
だが、かかる場合、逃げれば逃げるほど、お十夜の執念は増すばかり、お綱を傷ついた色鳥いろどりと見れば、彼は情炎の猟犬に等しい。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
海岸の庭にも時々色鳥いろどりが来ます。色鳥というのは秋になると渡って来る毛色の美しい多くの小鳥のことであります。目白もその一つであります。
俳句の作りよう (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
あゝ、一翳いちえいの雲もないのに、みどりむらさきくれないの旗の影が、ぱつと空をおおふまで、はなやかに目にひるがえつた、見るとさっと近づいて、まゆに近い樹々の枝に色鳥いろどり種々いろいろの影に映つた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
在木ありきえだ色鳥いろどりながごゑするながさを
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
かの色鳥いろどりあそぶけはひ。……
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ひと半鉦ばんとほあかり、それゆめえて、あかつきしもきかさぬる灰色はひいろくもあたらしき障子しやうじあつす。ひとり南天なんてん色鳥いろどり音信おとづれを、まどるゝよ、とれば、ちら/\と薄雪うすゆき淡雪あはゆき
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
在木ありきの枝に色鳥いろどりながめ聲する日ながさを
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
よ、朝凪あさなぎうらなぎさいさぎよ素絹そけんきて、山姫やまひめきたゑがくをところ——えだすきたるやなぎなかより、まつつたこずゑより、いだ秀嶽しうがく第一峯だいいつぽう山颪やまおろしさときたれば、色鳥いろどりれてたきわたる。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
色鳥いろどりはさしぐむみちおくぶかに
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
人形にんぎやうのやうな女達をんなたちこゑきたい、錦葉もみぢうた色鳥いろどりであらう。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)