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膠
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にかは
ふりがな文庫
“
膠
(
にかは
)” の例文
しかしもう隅々には薄汚いカンヴアスを
露
(
あらは
)
してゐた。僕は
膠
(
にかは
)
臭いココアを飲みながら、人げのないカツフエの中を見まはした。
歯車
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
八五郎が持つて來たのは、
紺糸
(
こんいと
)
で
柄卷
(
つかまき
)
をした、手頃の脇差が一と
口
(
ふり
)
。血だらけの
拔刄
(
ぬきみ
)
のまゝで、その血が
膠
(
にかは
)
のやうに
粘
(
ねば
)
り附いてゐるのも無氣味です。
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其処
(
そこ
)
で
彫像
(
てうざう
)
の
脇
(
わき
)
を
抱
(
だ
)
いて、
傘
(
からかさ
)
の
柄
(
え
)
に
腰
(
こし
)
を
据
(
す
)
えると、
不思議
(
ふしぎ
)
や、
裾
(
すそ
)
も
開
(
ひら
)
かず、
肩
(
かた
)
も
反
(
そ
)
らず……
膠
(
にかは
)
で
着
(
つ
)
けたやうに
整然
(
ちやん
)
と
乗
(
の
)
つた、
同時
(
どうじ
)
にくる/\と
傘
(
からかさ
)
が
廻
(
まは
)
つて、さつさと
行
(
ゆ
)
く……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
貫一は唯不思議の
為体
(
ていたらく
)
に
呆
(
あき
)
れ惑ひて
言
(
ことば
)
も
出
(
い
)
でず、
漸
(
やうや
)
く泣ゐる彼を
推斥
(
おしの
)
けんと為たれど、
膠
(
にかは
)
の附きたるやうに取縋りつつ、益す泣いて泣いて止まず。涙の
湿
(
うるほひ
)
は
単衣
(
ひとへ
)
を
透
(
とほ
)
して、この
難面
(
つれな
)
き人の
膚
(
はだへ
)
に
沁
(
し
)
みぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
膠
(
にかは
)
煮て
銀泥
(
ぎんでい
)
溶
(
と
)
かす日の真昼何かしかひそむ
暗
(
くら
)
きけはひはも
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
▼ もっと見る
琴柱
(
ことぢ
)
に
膠
(
にかは
)
して音を求むるの陋を免れぬのである。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
中から選り出したのは、枝のない竹が一本、長さ六尺ほど、
尖端
(
さき
)
は泥に塗れて、黒ずんだ
膠
(
にかは
)
のやうに見えるのは、紛れもない血の古くなつたものです。
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
現
(
げん
)
に
其處
(
そこ
)
を
漕
(
こ
)
いだ
我
(
わ
)
が
友
(
とも
)
の
語
(
かた
)
れるは、
水深
(
すゐしん
)
、
實
(
じつ
)
に
一千二百尺
(
いつせんにひやくしやく
)
といふとともに、
青黒
(
あをぐろ
)
き
水
(
みづ
)
は
漆
(
うるし
)
と
成
(
な
)
つて、
梶
(
かぢ
)
は
辷
(
すべ
)
り
櫓
(
ろ
)
は
膠
(
にかは
)
し、ねば/\と
捲
(
ま
)
かるゝ
心地
(
こゝち
)
して、
船
(
ふね
)
は
其
(
そ
)
のまゝに
人
(
ひと
)
の
生
(
は
)
えた
巖
(
いは
)
に
化
(
くわ
)
しさうで
十和田の夏霧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「あのお樂と來た日には大變さ。唯もうネツトリして、
膠
(
にかは
)
でねつて、
鳥黐
(
とりもち
)
でこねて、味噌で味を付けたやうだよ」
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
引出して見ると、血に染んで黒ずんだ眞田紐が、
膠
(
にかは
)
が中から引上げたやうに、ベツトリ疊の上へ這ひます。
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
剃刀は二梃ともよく使ひ込んだもので、背と背を合せて、
元結
(
もとゆひ
)
でキリキリと縛つてありますが、
斑々
(
はん/\
)
たる
碧血
(
へきけつ
)
が、
膠
(
にかは
)
のやうに附いて見るからに無氣味なものです。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「額にはめた夜光石の、はめ込んだ根のあたりは、ひどく荒されて、
膠
(
にかは
)
か
塗
(
ぬり
)
か知らないが、珠を留めたものが、——この通り、粉のやうに床の上にこぼれて居ます」
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
土藏の土臺石には、大した血の跡のなかつたのは、多い髮を浸して、
膠
(
にかは
)
のやうになつたためでせう。
銭形平次捕物控:230 艶妻伝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
膠
(
にかは
)
のやうに乾きかけて居ましたよ」
銭形平次捕物控:107 梅吉殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“膠”の意味
《名詞》
(にかわ)動物の皮膚や骨、腱などの結合組織の主成分であるコラーゲンに熱を加え、抽出したもののうち純度の低いもの。
(にべ、通常は鮸膠/鰾膠と表記)主にスズキ目ニベ科に属する魚の浮き袋から作る粘りけのつよいにかわ。
(出典:Wiktionary)
膠
漢検1級
部首:⾁
15画
“膠”を含む語句
膠着
膠質
白膠木
漆膠
白膠
魚膠
膠々
膠質体
鰾膠
膠鍋
膠泥
膠着状態
膠皮
膠西王卬
膠質物
膠質状
膠質現象
膠質的
膠質粒
膠質粒子
...