絶対ぜったい)” の例文
旧字:絶對
もぐりの流行神はやりがみなららぬこと、いやしくもただしいかみとしてんな祈願きがんみみかたむけるものは絶対ぜったいいとおもえばよろしいかとぞんじます。
しかしわれわれのおさなごにとって——もちろんすべての人間にとって——何よりも大切な最後のものは、その絶対ぜったい独自どくじの人格的立場です。
おさなご (新字新仮名) / 羽仁もと子(著)
大宮山院長がかけつけて、博士を担架たんかでしずかに病室へ移すよう命じた。そして当分のうち絶対ぜったい面会謝絶めんかいしゃぜつを申しわたした。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いく日かのあいだかれはその手に絶対ぜったい安静あんせいをあたえなければならなかった。ガスパールおじさんはがっかりしていた。
われわれは問題の大小を識別しきべつして、いつでも小問題をごまかしているが、花前は問題の大小などいう考えがはじめからなくて、なにごともごまかすことが絶対ぜったいにできない。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
その成長ぶりを、にやにやしながらながめている私の親馬鹿は今やまったく堂に入ったというべきであるかも知れぬ。私は真の愛情こそ、絶対ぜったいの批判の上に成立つものだと思っている。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
第一、どうあっても負けられない。日本のはじになる。柔道の力というものをばかにされる。だが、正面と正面に向き合って、拳闘選手けんとうせんしゅのものすごい打撃だげきを受け留めることは絶対ぜったいにできない。
柔道と拳闘の転がり試合 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
いぬたちのあいだにも、たたかってよわいものは、つよいものに絶対ぜったい服従ふくじゅうするというおきてがあって、よるになると、どこかのいぬが、畜犬票ちくけんひょうをチャラチャラとらしながら、うしほねや、パンくずなどをくわえて
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
死は絶対ぜったいであり永遠である。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
覚者の善は絶対ぜったいです。
マグノリアの木 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そのように花前は、絶対ぜったいにほかに交渉こうしょうしえないけれど、周囲しゅういはしだいにその変人へんじんをのみこみ、変人になれて、石塊せっかい綿わたにつつんだごとく、無交渉むこうしょうなりに交渉こうしょうができている。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
竜神りゅうじん分霊ぶんれい直接ちょくせつ人体じんたい宿やどって、人間にんげんとしてうまれるということは絶対ぜったいにないとってよい……。
いまや鉱坑こうこうの中には絶対ぜったい沈黙ちんもく支配しはいしていた。わたしたちの足もとにある水はごくしずかに、さざ波も立てなかった。さらさらいう音もしなかった。鉱坑は水があふれていた。
入口いりぐちには注連縄しめなわってあるので、悪魔あくま外道げどうたぐい絶対ぜったいはいることはできぬ。またたとえ何事なにごとおこっても、かみまなこはいつも見張みはっているから、すこしも不安ふあんかんずるにはおよばぬ……。
前後左右ぜんごさゆう係累者けいるいしゃはまといついてる。なにをひとつするにも、自分のみを標準ひょうじゅんとして動くことはできぬ。とうてい社会組織しゃかいそしき上の一分子ぶんしであるから、いかなる場合ばあいにも絶対ぜったい単独たんどく行動こうどうはゆるされない。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)