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紛擾
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ふんじょう
ふりがな文庫
“
紛擾
(
ふんじょう
)” の例文
産業上の諸階級間の不平、政党各派の
紛擾
(
ふんじょう
)
、
輿論
(
よろん
)
の神経過敏、経済上の諸調査の専心に行なわれつつあること等はすなわちそれである。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
岡君は人にもらし得ない家庭内の
紛擾
(
ふんじょう
)
や周囲から受ける誤解を、岡君らしく過敏に考え過ぎて弱い体質をますます弱くしているようです。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
石ころ同然の手遊人形一つを証拠証拠と、左様のものを楯にとって、家中に
紛擾
(
ふんじょう
)
を起して、それが、心得ある家来の所作か——
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
磯五は、お駒ちゃんの蒼い顔と、おろおろと開かれた両眼に見入って、そこに避けられない近い将来の
紛擾
(
ふんじょう
)
を読み取っていた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
市九郎は、この
紛擾
(
ふんじょう
)
が無事に解決が付くと、それによって徒費した時間がいかにも惜しまれるように、にじりながら洞窟の中へ入っていった。
恩讐の彼方に
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
草山口論ということを
約
(
つづ
)
めて、「
山論
(
さんろん
)
」という言葉で通って来たほど、これまでとてもその
紛擾
(
ふんじょう
)
は木曾山に絶えなかった。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そしていま迄、
下手
(
したで
)
に
謙遜
(
けんそん
)
に学び取っていた仕方は今度からは、争い食ってかかる
紛擾
(
ふんじょう
)
の間に相手から
捥
(
も
)
ぎ取る仕方に方法を替えたに過ぎなかった。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
大隈
(
おおくま
)
伯が高等商業の
紛擾
(
ふんじょう
)
に関して、大いに騒動しつつある生徒側の味方をしている。それが中々強い言葉で出ている。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もし下稽古があまり進んでいなかったら、そして
紛擾
(
ふんじょう
)
の起こる恐れで制せられていなかったら、クリストフはすべてを
放
(
ほう
)
り出したかもしれなかった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「石狩ハ全道ノ中央ニアリ、四方ヲ控制スルニ便ナルヲ以テ、鎮府ヲココニ建テ、分散
紛擾
(
ふんじょう
)
ノ弊ナク、北虜
駸々
(
しんしん
)
日ニ進ムノ勢ヲ抑ヘテ北門ノ
鎖鑰
(
さやく
)
ハジメテ固カラン」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
現代社会の
紛擾
(
ふんじょう
)
からその身を遠ざけ、
骨董
(
こっとう
)
の鑑賞と読書とに独善の生涯を送っていたのである。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
各種の
紛擾
(
ふんじょう
)
の絶え間のない両者の間に、また一つの紛擾の種を
蒔
(
ま
)
いたようなものであったが、外に適当な場所もなく、浄化装置の市立汲棄場が間もなく出来ることになって居り
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
然
(
しか
)
るに一方においては、かくの如く国論沸騰、廟議
紛擾
(
ふんじょう
)
その統一を失うたるに際して、他方においては、宿約たる安政五年三月五日調印の期日を失し、遂に
遷延
(
せんえん
)
五月二日に至り
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
家中の動揺と混乱はひじょうなものだったが、幸い世を騒がすような
紛擾
(
ふんじょう
)
も起こらず、多くの者が或いは志す
寄辺
(
よるべ
)
を頼り、また他家へ仕官したりして、思い思いに城下を離散した。
日本婦道記:二十三年
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
八百長
紛擾
(
ふんじょう
)
、焼打、そうかと思うと女子競輪などゝ殺気の中に色気まであり、百聞は一見に
如
(
し
)
かずと食指をうごかしていたが、伊豆の辺地に住んで汽車旅行がキライときているから
安吾巷談:04 今日われ競輪す
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
始まってしかもなかなか終りそうもないこの
紛擾
(
ふんじょう
)
の時代においては、ことにいつにもましてクリストフが、ぜひとも生きそして愛するの喜びを鼓吹する強い忠実な友であらんことを!
ジャン・クリストフ:02 改訳について
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
、
ロマン・ロラン
(著)
そうした地盤の事や何かで弟子仲間に
紛擾
(
ふんじょう
)
が起れば、無論家元が裁判せねばならぬ。
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
前者は出づることを得ず、後者は急に出でんとす。営中
紛擾
(
ふんじょう
)
し、人馬
滾転
(
こんてん
)
す。燕兵急に之を撃って、遂に営を破り、衝撃と包囲と共に
敏捷
(
びんしょう
)
を極む。南軍こゝに至って大敗収む
可
(
べ
)
からず。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
紛擾
(
ふんじょう
)
をきわめている一方では、
徳川方
(
とくがわがた
)
のそんな
奸計
(
かんけい
)
を、
夢
(
ゆめ
)
にも知ろうはずがない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すでに名義の
如何
(
いかん
)
にかかわらず、人を殺すことは罪悪である以上、人を殺すの戦争は一日も早くこれを廃し、他の方法に依って国際間の
紛擾
(
ふんじょう
)
を解決せねばならぬ。これが即ち理想である。
余が平和主義の立脚点
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
家中の違和に非理をたてようとすると、かえって
禍
(
わざわい
)
を大きくするということを、これまでの例で身に
染
(
し
)
みて承知した。争うことは内輪の
紛擾
(
ふんじょう
)
を外部に発表する愚を招くだけでしかない。対立は禁物だ。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
彼が心中ひそかに、そうした家庭の
紛擾
(
ふんじょう
)
に、なんとかしてけりがついてくれればと、ひたすらそれを気づかっていたのは疑いもないことである。とはいえ、彼のおもなる懸念は長老の身の上であった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
ただ政治に関する事柄は例外だった——というのは、その
辛辣
(
しんらつ
)
な自由の振る舞いが、町の当局者と他国の代表者らとの間に、何度も
紛擾
(
ふんじょう
)
の原因となったからである。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
紛擾
(
ふんじょう
)
の事、
一
(
ひと
)
つ
所
(
ところ
)
に長く
留
(
とま
)
つてゐられぬ事、学科以外に柔術の教師をした事、ある教師は、下駄の
台
(
だい
)
を買つて、鼻緒は
古
(
ふる
)
いのを、
着
(
す
)
げ
更
(
か
)
へて、用ひられる丈用ひる位にしてゐる事
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
母親は内縁の若い後妻で入籍して無かったし、寺には寺で法縁上の
紛擾
(
ふんじょう
)
があり、寺の
後董
(
ごとう
)
は思いがけない
他所
(
よそ
)
の方から来てしまった。親子のものはほとんど裸同様で寺を追出される形となった。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
家庭内の
紛擾
(
ふんじょう
)
をもらしていた。
渠
(
かれ
)
も苦しんでいる。一緒に今井から葛西の方を三時間ほど歩いた。余が
挫
(
くじ
)
けていると思って見舞って呉れたのだ。ああ、妻君の心尽しとかで水餅を持って来て呉れた。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「家中に、
紛擾
(
ふんじょう
)
が起きている」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
その荘麗な混乱と正確な
紛擾
(
ふんじょう
)
とは、今は誠実を欠いてるかのように彼の気色を害した。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
紛擾
(
ふんじょう
)
の事、一つ所に長くとまっていられぬ事、学科以外に柔術の教師をした事、ある教師は、
下駄
(
げた
)
の台を買って、
鼻緒
(
はなお
)
は古いのを、すげかえて、用いられるだけ用いるぐらいにしている事
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「へえ……ひどく
紛擾
(
ふんじょう
)
しそうな話だの」
無頼は討たず
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“紛擾”の意味
《名詞》
揉めること。
(出典:Wiktionary)
紛
常用漢字
中学
部首:⽷
10画
擾
漢検準1級
部首:⼿
18画
“紛”で始まる語句
紛
紛失
紛々
紛糾
紛紜
紛乱
紛失物
紛雑
紛争
紛雜