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空頼
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そらだの
ふりがな文庫
“
空頼
(
そらだの
)” の例文
このぶんで今年の冬を
無事
(
ぶじ
)
に経過し得ればたしかなものだと、人もそう思い自分もそう思うた。けれどもこれは
空頼
(
そらだの
)
みであった。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
彼が全く架空の人物であってくれればという
空頼
(
そらだの
)
みの
甲斐
(
かい
)
もなく、今は行方不明の平田一郎なる人物があったことを報じて来た。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
任
(
まか
)
して
朝暮
(
あさゆふ
)
仕へんと思ひし事も
空頼
(
そらだの
)
み仇し
縁
(
えにし
)
に成ることゝ知ば年頃貧苦の中にも失ひ給はで
吾儕
(
わたし
)
の爲に
祕置
(
ひめおか
)
れたる用意金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
三年ほど前に、男の
亡
(
な
)
くなったことが、お増の耳へ伝わった時、それがにわかに
空頼
(
そらだの
)
めとなったのに、力を落した。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
全く詰らない骨頂さ、だがね、生きてると何か役に立てないこともあるまい。いつか何かの折があるだろう、と云う
空頼
(
そらだの
)
みが俺たちを引っ張っているんだよ
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
▼ もっと見る
そしてそんな思い附きでも何かの機縁になって、他日良果を結ぶことでもあればなんぞと、
当
(
あて
)
にもならぬ先の先を見越して
空頼
(
そらだの
)
みしていることもあるのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
思
(
おも
)
つたのは
空頼
(
そらだの
)
みで「あゝ、
惡
(
わる
)
いな、あれが
不可
(
いけね
)
え。……
火
(
ひ
)
の
中
(
なか
)
へふすぶつた
煙
(
けむり
)
の
立
(
た
)
つのは
新
(
あたら
)
しく
燃
(
も
)
えついたんで……」と
通
(
とほ
)
りかゝりの
消防夫
(
しごとし
)
が
言
(
い
)
つて
通
(
とほ
)
つた——
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
自分だけの力で為し得ない事を、人にたよってしようと云うのは、おおかた
空頼
(
そらだの
)
めになるものと見える。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
病人や、病家の人達に、此人の態度は好影響を及ぼす。新しい希望を生ぜしむる。勿論その希望は
空頼
(
そらだの
)
めなこともあるが、こんな人達のためには、それが必要なのである。
板ばさみ
(新字旧仮名)
/
オイゲン・チリコフ
(著)
ただ
蔵
(
しま
)
ってあるのは着物だけであるけれど、それとても、今宵の間に合うのではなし、ああ、こんな時にあの七兵衛のおじさんが来てくれたならと、あてのない人を
空頼
(
そらだの
)
みにして
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
汝が啼かんよすがの雨は竹に降る
空頼
(
そらだの
)
めすな山ほととぎす
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
したりしと
空頼
(
そらだの
)
みに心を
慰
(
なぐ
)
さめ終に娘お文が孝心を立る事に
兩親
(
ふたおや
)
とも得心なせばお文は
悦
(
よろこ
)
び一
先
(
まづ
)
安堵
(
あんど
)
はしたものゝ元より
堅氣
(
かたぎ
)
一
遍
(
ぺん
)
の十兵衞なれば子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
又その娘が観音様の境内を通りかかることもあろうかと悲しい
空頼
(
そらだの
)
みから、毎日毎日、勤めの様に、十二階に昇っては、眼鏡を覗いていた訳でございます。
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
婦人
(
おんな
)
は
唯
(
ただ
)
御新姐
(
ごしんぞ
)
一人、それを取巻く如くにして、どやどやと
些
(
ち
)
と
急足
(
いそぎあし
)
で、
浪打際
(
なみうちぎわ
)
の方へ通ったが、その
人数
(
にんず
)
じゃ、
空頼
(
そらだの
)
めの、
余所
(
よそ
)
ながら目礼
処
(
どころ
)
の騒ぎかい、
貴下
(
あなた
)
、その五人の男というのが。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
やっぱりあいつは、浅草公園のどこかの隅に身を
潜
(
ひそ
)
めていたのだ。もしかしたら別の方面に逃げ出してしまったのではないかという
空頼
(
そらだの
)
みも
仇
(
あだ
)
となった。地元の人々は警察の無能を叫び出した。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それが
離
(
はな
)
れも
離
(
はな
)
れた、まつすぐに
十四五町
(
じふしごちやう
)
遠
(
とほ
)
い、
丁
(
ちやう
)
ど
傳通院前
(
でんづうゐんまへ
)
あたりと
思
(
おも
)
ふ
處
(
ところ
)
に
聞
(
きこ
)
えては、
波
(
なみ
)
の
寄
(
よ
)
るやうに
響
(
ひゞ
)
いて、
颯
(
さつ
)
と
又
(
また
)
汐
(
しほ
)
のひくやうに
消
(
き
)
えると、
空頼
(
そらだの
)
みの
胸
(
むね
)
の
汐
(
しほ
)
も
寂
(
さび
)
しく
泡
(
あわ
)
に
消
(
き
)
える
時
(
とき
)
、それを
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
空
常用漢字
小1
部首:⽳
8画
頼
常用漢字
中学
部首:⾴
16画
“空”で始まる語句
空
空地
空虚
空想
空洞
空腹
空家
空気
空嘯
空手