トップ
>
睦言
>
むつごと
ふりがな文庫
“
睦言
(
むつごと
)” の例文
初恋に
酔
(
よ
)
う少年少女のたわいのない
睦言
(
むつごと
)
の
遣
(
や
)
り
取
(
と
)
りに過ぎないけれども、
互
(
たがい
)
に人目を
忍
(
しの
)
んでは首尾していたらしい様子合いも見え
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
他愛のない
睦言
(
むつごと
)
に過ごす半日の二人の仲には、どんな恋の飽満が
醸
(
かも
)
されたかと思われるのですが、そうしつつ、恋は一歩もすすみません。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
積
(
つも
)
る思いのありたけを語り
尽
(
つく
)
そうと
急
(
あせ
)
れば、
一時
(
ひとしきり
)
鳴く
音
(
ね
)
を
止
(
とど
)
めた虫さえも今は二人が
睦言
(
むつごと
)
を外へは
漏
(
もら
)
さじと
庇
(
かば
)
うがように庭一面に鳴きしきる。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
で水夫たちは、西沢が全力をあげて混ぜっかえすにもかかわらず、三上をおだて上げて、その
睦言
(
むつごと
)
の全部を繰り返させた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
そして、そこで、夫達の様々の
睦言
(
むつごと
)
を立聞きしては、どの様に、身も世もあらぬ思いをいたしたことでございましょう。
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
小藤次は、深雪の処置を心配するよりも、一度の
睦言
(
むつごと
)
も交えずに、別れなくてはならなくなった自分の恋に、悲しい失望と、怒りとが起って来た。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「御免
蒙
(
かうむ
)
りやせう。夜中にフラフラ浮出した首が、
屏風
(
びやうぶ
)
の上なんかに載かつて居た日にや、
睦言
(
むつごと
)
の見當が付かねえ」
銭形平次捕物控:167 毒酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
人形とホソボソ
睦言
(
むつごと
)
を囁き、あげくの果は、美しい夫人を残して、その人形と情死するという筋を描かれた。
人造物語
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あゝ、それがいか許り
昨夜
(
よべ
)
の八つ橋との
逢瀬
(
あふせ
)
を、
睦言
(
むつごと
)
を、絢爛多彩な絵巻物として、無言のうちに悩ましく聴くものゝ心の中に想像させて呉れたらうことよ。
吉原百人斬り
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
木の葉の下を吹く風のままに、煙のように吹き去られ散らさるるそれらの
睦言
(
むつごと
)
は、書物の中で読んだばかりでは、その魔術的な力を感ずることは難いだろう。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
と、まだ寝ないで、そこに、羽二重の
厚衾
(
あつぶすま
)
、枕を四つ、頭あわせに、身のうき事を問い、とわれ、
睦言
(
むつごと
)
のように語り合う、小春と、
雛妓
(
おしゃく
)
、爺さん、
小児
(
こども
)
たちに見せびらかした。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
最も悲しき
睦言
(
むつごと
)
を語れり、一生の悲哀と快楽を短か夜の尽しもあえず鶏は鳴きぬ、佐太郎は二度の旅衣を着て未明より誘い来たれり、間もなく父老
朋友
(
ほうゆう
)
を初め、老媼女房阿園が友皆訪い
集
(
つど
)
い
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
豕
(
いのこ
)
同然の
彼奴
(
あいつ
)
と
睦言
(
むつごと
)
……(訳注 おなじく。ただしこのくだり、チェーホフはかなり上品に言い直されたロシア訳を踏襲している。いま訳者は、シェイクスピアの原意に近い逍遥訳を採った)
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
爾来
(
じらい
)
ことにおとよに同情を寄せたお千代は、実は相談などいうことは第二で、あまり農事の忙しくならないうちに、玉の緒かけての
恋中
(
こいなか
)
に、
長閑
(
のどか
)
な一夜の
睦言
(
むつごと
)
を遂げさせたい親切にほかならぬ。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「なあにネ、そいつがついこないだ、
羽州
(
うしゅう
)
羽黒山のふもとから出て来たというんでしてネ。ねやの
睦言
(
むつごと
)
って奴も、なかなか呑み込めねえんで——おみいさまあ、また、ずくに来てくんろよ——と、来やがらあ——へ、へ、へ、へ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
二人は本当の新婚者の様に、恥かし相に顔を赤らめながら、お互の肌と肌とを触れ合って、さもむつまじく、尽きぬ
睦言
(
むつごと
)
を語り合ったものでございますよ。
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「そうよ、屋根舟の中の
睦言
(
むつごと
)
なら、こッちも
避
(
よ
)
けて通るけれど、どうやら女が逃げ廻っているらしいぜ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二人は親同士の決めた
許嫁
(
いいなずけ
)
で、子供のうちからの知り合いでもあり、この婚礼はどちらから言っても芽出度い限りで、初夜の
睦言
(
むつごと
)
も蜜の如く
濃
(
こま
)
やかでしたが、朝起きて見ると
新奇談クラブ:01 第一夜 初夜を盗む
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ツイゾシンミリトシタ
睦言
(
むつごと
)
ヲ取リ交ソウトシナイノハ、ソレデモ夫婦トイエルデアロウカ。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
心得
(
こゝろえ
)
たか、と
語
(
かた
)
らせ
給
(
たま
)
へば、
羅漢
(
らかん
)
の
末席
(
まつせき
)
に
侍
(
さぶら
)
ひて、
悟顏
(
さとりがほ
)
の
周梨槃特
(
しゆりはんどく
)
、
好
(
この
)
もしげなる
目色
(
めつき
)
にて、わが
佛
(
ほとけ
)
、わが
佛殿
(
ほとけどの
)
と
道人
(
だうじん
)
の
問答
(
もんだふ
)
より、
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
を
衾
(
ふすま
)
の
男女
(
なんによ
)
の
睦言
(
むつごと
)
、もそつとお
説
(
と
)
きなされと
言
(
い
)
ふ。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
わしは森の中に行って
睦言
(
むつごと
)
を聞きたいくらいだ。麗しく幸福である道を心得てるそれらの若者どもは、わしの心を酔わしてくれる。もしだれか見たいというなら、すてきな結婚をしてみせてもいい。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
私は妄想の中で、その人と手をとり合って、甘い恋の
睦言
(
むつごと
)
を、
囁
(
ささや
)
き
交
(
かわ
)
しさえするのでございます。
人間椅子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
松雪院をそゝのかしてその右の耳に穴を
穿
(
うが
)
たせ、夫婦が蚊帳の中にあってそれを眺めながら
睦言
(
むつごと
)
を交したと云う夜の戯れこそは、彼が初めから抱いていた終極の目的だったであろう。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
障子に
棧
(
さん
)
をおろしたり、お妾との
睦言
(
むつごと
)
にまで、見張りの
宿直
(
とのゐ
)
が、屏風の蔭で耳を濟まして頑張つてゐるといふぢやありませんか、さうなつた日にや、色事だつて身につきませんね、親分
銭形平次捕物控:246 万両分限
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そうして不二子さんとこの様な
睦言
(
むつごと
)
を囁き交わす男性は、ルパンの外にある筈がない。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
睦
常用漢字
中学
部首:⽬
13画
言
常用漢字
小2
部首:⾔
7画
“睦”で始まる語句
睦
睦魂
睦月
睦敷
睦仁
睦合
睦子
睦気
睦会
睦田