つき)” の例文
お名札をと申しますと、生憎あいにく所持せぬ、とかようにおっしゃいまする、もっともな、あなた様おつきおそうござりましたで、かれこれ十二時。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
女兒むすめやさしき介抱にこゝろゆるみし武左衞門まくらつきてすや/\と眠りし容子にお光は長息といき夜具打掛てそつ退のきかたへに在し硯箱を出して墨を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そういう御難儀を遊ばしていらッしゃるんでげすから、港々におつき遊ばしたときはちっとは浩然こうぜんの気もお養いなさらずばお身体が続きますまい。
一旦いったん帰京かえって二度目にまた丁度ちょうど行きつきたる田原がきい狼狽ろうばいし、わが書捨かきすてて室香に紀念かたみのこせし歌、多分そなたがしって居るならんと手紙の末にかき頓智とんちいだ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
御客様は金銭上おかねの御相談が主で、御来遊おいでになりましたような御様子。御つきになって四日目のこと、旦那様と御一緒に長野へ御出掛になりました。奥様は御留守居です。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「只今歸京致しまして、おもて書きの」と書いたのを、そのおもて書きのだけ塗り消して、「上野停車場前の○○と云ふ宿屋にをります。待つてますから、この手紙つき次第直ぐ來て下さい」
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
いろはなりと云しにたがはずだん/\危うくせず京あたりの難所も首尾よく飛せ越えて奈良井へつきしは晝前なり是よりすぐに鳥居峠なれば馬車を下りしに馬丁べつたうは意氣揚々としてドウですお客樣一番鳥居峠を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
大膳は聞濟きゝすまし夫は近頃不了簡ふれうけんの女なりなどいひほどなくまくらにはつきたり已に其夜も追々おひ/\ふけわたり丑滿頃うしみつころとなりければ大膳はひそかに起出おきいであひふすま忍明しのびあけぬき足に彼女を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
このまだ陽があがりません、霜のしらしらあけが一番よく取れますって、それで、いま時分おつきになります。
鷭狩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これは主人おやかた左様そう申しました、今日こんにちつきの事でございますから、折角世帯を持って是彼これあれとお取り遊ばしても、もう好いお肴もございませんから、今晩だけはこれで御辛抱なすって
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
木曾路きそじに入りて日照山ひでりやま桟橋かけはし寝覚ねざめ後になし須原すはら宿しゅくつきにけり。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
陸路より漸々大坂迄つきければまづ此所にて暫く休足すべしとてある旅籠屋に逗留して住吉天王寺を始め所々を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「お早いおつき。」
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)