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そぞろ
ふりがな文庫
“
漫
(
そぞろ
)” の例文
湖龍斎が全盛期の豊艶なる美人と
下
(
くだ
)
つて清長の肉付よき実感的なる美人の浴後裸体図等に至つては
漫
(
そぞろ
)
に
富本
(
とみもと
)
の曲調を忍ばしむる処あり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と小宮山は、金の脈を掘当てましたな、かねての話が事実となったのでありますから、
漫
(
そぞろ
)
に勇んだので乗出しようが
尋常事
(
ただごと
)
でありませんから
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「島が見えるぞう! おおい、みんな出て見ろ! 陸地に着いたぞう!」そしてバタバタと甲板を駆け廻って、心も
漫
(
そぞろ
)
に躍り狂うような靴音!
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
蒲田が一切を引受けて見事に
埒
(
らち
)
開けんといふに励されて、さては一生の
怨敵
(
おんてき
)
退散の
賀
(
いはひ
)
と、
各
(
おのおの
)
漫
(
そぞろ
)
に
前
(
すす
)
む膝を
聚
(
あつ
)
めて、
長夜
(
ちようや
)
の宴を催さんとぞ
犇
(
ひしめ
)
いたる。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
君よ、青簾の中なる美しき人の姿を見んとて朝な夕なの
漫
(
そぞろ
)
歩きに、その門をさまよいたもうな。
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
▼ もっと見る
漫
(
そぞろ
)
に洋学が公然日本に入りかけた時代の、白熱した一般の読書慾、知識慾を思いやられる。
蠹魚
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
宝村から追い立てられた其翌日の出来事であるが、昨日までの教員が、今日は青々と髪を剃った
納所
(
なっしょ
)
坊主と一変し、名も
拳龍
(
けんりゅう
)
と改めたのは、有為転変の世の中とは云え
漫
(
そぞろ
)
に
憐
(
あわれ
)
を催させる。
国事犯の行方:―破獄の志士赤井景韶―
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「こは
漫
(
そぞろ
)
なり鷲郎ぬし、わがために主を
棄
(
すつ
)
る、その志は
感謝
(
かたじけな
)
けれど、これ義に似て義にあらず、かへつて不忠の犬とならん。この儀は思ひ止まり給へ」「いやとよ、その
心配
(
こころづかい
)
は無用なり。 ...
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
漫
(
そぞろ
)
にわれわれの過ぎ去った学生時代を意味深く回想させ、ゴンクウル兄弟が En 18… の篇中に書いた
月夜
(
げつや
)
ムウドンの
麗
(
うるわ
)
しい叙景は
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そして、旅宿に二人附添った、玉野、玉江という女弟子も連れないで、一人で
密
(
そっ
)
と、……
日盛
(
ひざかり
)
もこうした身には苦にならず、
町中
(
まちなか
)
を見つつ
漫
(
そぞろ
)
に来た。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今は心も
漫
(
そぞろ
)
に足を
疾
(
はや
)
むれば、土蔵の
角
(
かど
)
も間近になりて
其処
(
そこ
)
をだに無事に過ぎなば、と
切
(
しきり
)
に急がるる折しも、人の影は
突
(
とつ
)
としてその角より
顕
(
あらは
)
れつ。宮は
眩
(
めくるめ
)
きぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そして、
旅宿
(
りょしゅく
)
に二人
附添
(
つきそ
)
つた、
玉野
(
たまの
)
、
玉江
(
たまえ
)
と云ふ女弟子も連れないで、一人で
密
(
そっ
)
と、……
日盛
(
ひざかり
)
も
恁
(
こ
)
うした身には苦にならず、
町中
(
まちなか
)
を見つゝ
漫
(
そぞろ
)
に来た。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
得も
謂
(
い
)
はれぬその
仇無
(
あどな
)
さの身に
浸遍
(
しみわた
)
るに
堪
(
た
)
へざる思は、
漫
(
そぞろ
)
に唯継の目の
中
(
うち
)
に
顕
(
あらは
)
れて
異
(
あやし
)
き
独笑
(
ひとりゑみ
)
となりぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
一度
(
ひとたび
)
その秘戯画に現はれたる裸体画を検するものはその骨格の形状正確にして繊巧を極めし線の感情の
能
(
よ
)
く
敗頽
(
はいたい
)
的気風に富める
漫
(
そぞろ
)
に歌麿を思はしむる所あるを知るべし。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
手足皆鉄、腕力想うべしと、へいげん
漫
(
そぞろ
)
に舌を
捲
(
ま
)
き、すなわち執事をして大助を遠ざけしめむとしたるなり。
金時計
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それさえ
頼母
(
たのも
)
しい気がするまで、
溝板
(
どぶいた
)
を
辿
(
たど
)
れば斧の柄の朽ちるばかり、
漫
(
そぞろ
)
に露地が寂しいのである。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
語るを聞いて泰助は心の
中
(
うち
)
に思うよう、いかさま得三に
苛責
(
かしゃく
)
されて、下枝かあるいは妹か、さることもあらむかし。
活命
(
ながらえ
)
てだにあるならば、おッつけ救い得させむずと、
漫
(
そぞろ
)
に
憐
(
あわれ
)
を催しぬ。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
玄関の下駄を
引抓
(
ひッつま
)
んで、
晩方
(
ばんがた
)
背戸へ出て、柿の
梢
(
こずえ
)
の一つ星を見ながら、「あの雀はどうしたろう。」ありたけの飛石——と言っても五つばかり——を
漫
(
そぞろ
)
に渡ると、
湿
(
し
)
けた
窪地
(
くぼち
)
で、すぐ上が
荵
(
しのぶ
)
や
苔
(
こけ
)
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
幾多の
艱難
(
かんなん
)
の無功に属したるを追想して、老夫は
漫
(
そぞろ
)
に涙ぐみぬ。
金時計
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まあ、この手を放して、ねえ、手を放して、」と
漫
(
そぞろ
)
である。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
漫
(
そぞろ
)
に手に取って、相性の処を開けたのであった。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
漫
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
“漫”を含む語句
浪漫的
漫歩
浪漫
漫然
緩漫
浪漫主義
漫画
浪漫派
天真爛漫
漫々
冗漫
彌漫
淼漫
妄漫
漫火
放漫
漫語
浪漫趣味
漫遊中
瀰漫
...