母君はゝぎみ)” の例文
ひながらいましもなつかしき母君はゝぎみうわさでたるに、にしことどもおもおこして、愁然しゆうぜんたる日出雄少年ひでをせうねん頭髮かしらでつゝ
母君はゝぎみにキスしてき給ふ愛らしさ、傍目わきめにも子を持たぬ人の覚えあたはぬ快さを覚え申しさふらふ巴里パリイとははや三時間も時の違ひさふらふらん。味気あぢきなくさふらふかな。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
まよひし邪正じやしやうがたし、鑑定かんてい一重ひとへ御眼鏡おめがねまかさんのみと、はじたるいろもなくべらるゝに、母君はゝぎみ一トたびあきれもしつおどろきもせしものゝ、くまで熱心ねんしんきはまりには
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おくれたまへる母君はゝぎみ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
いま此世このよひととのみおもつてつたかれつま——松島大佐まつしまたいさ令妹れいまい——日出雄少年ひでをせうねん母君はゝぎみなる春枝夫人はるえふじんであつた。
さりとて今更いまさらはんもうしろめたかるべしなんど、まよひには智惠ちゑかゞみくもりはてゝや、五夢中むちう彷徨さまよひしが、流石さすがさだむるところありけん、慈愛じあひ二となき母君はゝぎみに、一日あるひしか/″\と打明うちあけられぬ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『あら、あら、あのおとは——。』と日出雄少年ひでをせうねんをまんまるにして母君はゝぎみやさしきかほあふぐと、春枝夫人はるえふじん默然もくねんとして、その良君をつとる。濱島武文はまじまたけぶみしづかに立上たちあがつて