権力けんりょく)” の例文
旧字:權力
あには、会社かいしゃで、うえのものが権力けんりょくによって、したのものをおさえつけようとするのをて、なにより不愉快ふゆかいおもったらしいのでした。
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがてはしらはね族にもそむき、ついに、極悪ごくあくこのうえもない、大どろぼうのアラシに権力けんりょくをあたえてしまったのです。
権力けんりょくを代表せられる令名れいめい高き閣下かっかは、わたくしの一座いちざ俳優はいゆうどもに、口輪くちわをはめろというご命令めいれいでございますか」
それは気力きりょくと、権力けんりょくにおける自信じしんとがりぬので。命令めいれい主張しゅちょう禁止きんし、こううことはすべかれには出来できぬ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
或は権力けんりょくと不正に極端な抵抗ていこう意識をもって俗習ぞくしゅう断乎だんこ拒否せんとする態度もどこかに残っているようだ。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
権力けんりょくや栄花に妄執もうしゅうした貴族心理は、われら庶民の理解には、遠すぎて、えんなきもののようですが、次に、地下ちげから擡頭たいとうした新興勢力の平家一門も、また源氏の野人も、次々に
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「正三は承知さえすれば、忠義にも孝行にもなると同時に、自分の身も立ちます。けれども親や兄貴あにき権力けんりょく圧迫あっぱくしたんじゃなんにもなりません。自発的のところに値打ねうちがあるんです」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「ちがいます。先生は権力けんりょくの迫害にあわれたんです。」
次郎物語:04 第四部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そう、そう、まえからだれにも、人間にんげん平等びょうどう権利けんりはあったのさ。それを無智むち卑屈ひくつのため、みずか放棄ほうきして、権力けんりょくや、金銭きんせんまえに、奴隷どれいとなってきたのだ。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このさるは『権力けんりょくが代表せられる令名れいめい高き閣下かっか』の真後まうしろにをかまえてこっけいなしかめっ面をして見せていた。
ところが、ノロ公の生まれるだいぶまえから、この権力けんりょくが白はね族の手をはなれて、アラシという、ざんにんな野ガラスにうばわれてしまっていたのです。
けれどまた、その眼には頼朝もない鎌倉幕府の権力けんりょくもない。
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
気のどくな親方はこんなふうにして、いかめしい権力けんりょく命令めいれいぎゃく喜劇きげきたね利用りようしようとしていたのである。
日々ひびそこでいとなまれる生活せいかつこそ、どんなにか、たのしかろうじゃないか。そこには、暴力ぼうりょくや、権力けんりょくをもつ人間にんげんもなく、すべてが理解りかい同情どうじょうとで、協力きょうりょくしあうのだからね。
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いいかげんな約束やくそくをして、民衆みんしゅうだいにし、ただ当選とうせんすれば、いいとしたのだ。そして、いよいよ権力けんりょくつと、自分じぶんたちの都合つごうばかりかんがえて、大衆たいしゅうてられてきたのだ。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ある美貌びぼう声楽家せいがくかは、ゆび宝石ほうせきをかがやかせ、すましこんで、ステージにち、たとえ聴衆ちょうしゅう睥睨へいげいしながらうたっても、かげでは、権力けんりょくのあるものや、金力きんりょくあるもののめかけであったり、おとこどもには
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)