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楼
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たかどの
ふりがな文庫
“
楼
(
たかどの
)” の例文
旧字:
樓
夕
(
ゆふ
)
つかた娘の風の心地に、いと寒しと云へば、
楼
(
たかどの
)
へ往きて
衾
(
ふすま
)
被
(
かづ
)
きて寝よと云ひしかど、一人往かむはさうざうし、誰にまれ共に往きてよと云ふ。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
紅
(
くれない
)
の
曙
(
あけぼの
)
、緑の暮、花の
楼
(
たかどの
)
、柳の
小家
(
こいえ
)
に
出入
(
ではいり
)
して、遊里に
馴
(
な
)
れていたのであるが、
可懐
(
なつか
)
しく尋ね寄り、用あって
音信
(
おとず
)
れた、
往
(
ゆ
)
くさきざきは、残らず
抱
(
かかえ
)
であり、
分
(
わけ
)
であり
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蓮華夫人はそれを聞くと、城の上の
楼
(
たかどの
)
に登って、「
私
(
わたし
)
はお前たち五百人の母だ。その証拠はここにある。」と云う。そうして乳を出しながら、美しい手に
絞
(
しぼ
)
って見せる。
捨児
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして水のほとりの
楼
(
たかどの
)
のうえからかまたはお庭をそぞろあるきなさりながらか川上の方を御覧になって「やまもとかすむみなせ川」の感興をおもらしになったのであろう。
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その建物には二層の
楼
(
たかどの
)
があって、楼上から、晴れた日には富士が見えるという。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
楼
(
たかどの
)
を下りてここに来たるは
僅少
(
わづか
)
の
間
(
ひま
)
なれば、よもかの人は
未
(
いま
)
だ帰らざるべし、若しここに出で
来
(
きた
)
らば
如何
(
いか
)
にすべきなど、さすがに
可恐
(
おそろし
)
きやうにも覚えて、
歩
(
あゆみ
)
は運べど地を踏める心地も無く
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
余は手袋をはめ、少し汚れたる外套を背に
被
(
おほ
)
ひて手をば通さず帽を取りてエリスに接吻して
楼
(
たかどの
)
を下りつ。彼は凍れる窻を明け、乱れし髪を
朔風
(
さくふう
)
に吹かせて余が乗りし車を見送りぬ。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
紫玉は、中高な顔に、深く月影に透かして
差覗
(
さしのぞ
)
いて、
千尋
(
ちひろ
)
の
淵
(
ふち
)
の
水底
(
みなそこ
)
に、いま落ちた玉の緑に似た、門と柱と、欄干と、あれ、森の
梢
(
こずえ
)
の
白鷺
(
しらさぎ
)
の影さえ宿る、
櫓
(
やぐら
)
と、窓と、
楼
(
たかどの
)
と、美しい
住家
(
すみか
)
を
視
(
み
)
た。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
余は手袋をはめ、少しよごれたる
外套
(
がいとう
)
を背に
被
(
おお
)
いて手をば通さず帽を取りてエリスに
接吻
(
せっぷん
)
して
楼
(
たかどの
)
をくだりつ。彼は凍れる窓をあけ、乱れし髪を
朔風
(
さくふう
)
に吹かせて余が乗りし車を見送りぬ。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
紫玉は、
中高
(
なかだか
)
な顔に、深く月影に透かして
差覗
(
さしのぞ
)
いて、
千尋
(
ちひろ
)
の
淵
(
ふち
)
の
水底
(
みなそこ
)
に、いま落ちた玉の緑に似た、門と柱と、
欄干
(
らんかん
)
と、あれ、森の
梢
(
こずえ
)
の
白鷺
(
しらさぎ
)
の影さへ宿る、
櫓
(
やぐら
)
と、窓と、
楼
(
たかどの
)
と、美しい
住家
(
すみか
)
を
視
(
み
)
た。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
余は彼の
燈火
(
ともしび
)
の海を渡り来て、この狭く薄暗き
巷
(
こうぢ
)
に入り、楼上の
木欄
(
おばしま
)
に干したる敷布、
襦袢
(
はだぎ
)
などまだ取入れぬ人家、頬髭長き
猶太
(
ユダヤ
)
教徒の
翁
(
おきな
)
が
戸前
(
こぜん
)
に
佇
(
たゝず
)
みたる居酒屋、一つの
梯
(
はしご
)
は直ちに
楼
(
たかどの
)
に達し
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
日が
経
(
た
)
って医王山へ花を採りに、私の手を
曳
(
ひ
)
いて、
楼
(
たかどの
)
に朱の
欄干
(
てすり
)
のある、温泉宿を忍んで裏口から
朝月夜
(
あさづきよ
)
に、
田圃道
(
たんぼみち
)
へ出た時は、
中形
(
ちゅうがた
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
に
襦子
(
しゅす
)
の帯をしめて、鎌を一挺、
手拭
(
てぬぐい
)
にくるんでいたです。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
余はかの
燈火
(
ともしび
)
の海を渡り来て、この狭く薄暗き
巷
(
こうじ
)
に
入
(
い
)
り、楼上の
木欄
(
おばしま
)
に
干
(
ほ
)
したる敷布、
襦袢
(
はだぎ
)
などまだ取り入れぬ人家、
頬髭
(
ほおひげ
)
長き
猶太
(
ユダヤ
)
教徒の
翁
(
おきな
)
が
戸前
(
こぜん
)
に
佇
(
たたず
)
みたる居酒屋、一つの
梯
(
はしご
)
はただちに
楼
(
たかどの
)
に達し
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
“楼”の意味
《名詞》
(ロウ)高い建物。
《名詞》
(たかどの)高い建物。
(出典:Wiktionary)
楼
常用漢字
中学
部首:⽊
13画
“楼”を含む語句
青楼
蜃気楼
鐘楼
楼上
酒楼
妓楼
高楼
望楼
登楼
楼主
此楼
楼婢
当楼
城楼
楼門
楼台
殿楼
観潮楼
金瓶楼
亀清楼
...