すま)” の例文
遥々はるばる我を頼みて来し、その心さえ浅からぬに、蝦夷えぞ、松前はともかくも、箱根以東にその様なる怪物ばけものすませ置きては、我が職務の恥辱なり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
地獄ぢごく夜叉やしゃ肉體からだには何者なにものませうとや? あんな内容なかみにあのやうな表紙へうしけたほんがあらうか? あんな華麗りっぱ宮殿きゅうでん虚僞うそ譎詐いつはりすまはうとは!
邸内にすまわせてある長尾の一家いっけにも、折々多少の風波ふうはが起る。そうすると必ず五百いおが調停にかなくてはならなかった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
われらのご先祖と、一緒におすまひなされたお方ぢゃ。今でも爾迦夷上人しゃうにんと申しあげて、毎月十三日がご命日ぢゃ。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「狐か狸でもすまってそうな家だねえ」耕吉はつくづくそう思って、思わず弱音を吐いた。
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
立退たちのとりすまぬ山のおくとら野邊のべいとひなく御連添下され度夫のみ念じ上參らせ候右に付九助事江戸にて百八十兩たくはへたる金子島田宿じゆく中町の旅籠屋はたごやにて水田屋藤八と申方へ預け置割符の曼陀羅まんだら持歸り申候
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
われらのご先祖と、一緒におすまいなされたお方じゃ。今でも爾迦夷上人しょうにんと申しあげて、毎月十三日がご命日じゃ。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
はなかほひそまむしこゝろ! あんな奇麗きれい洞穴ほらあなにも毒龍どくりうすまふものか? かほ天使てんし
渋江氏が亀沢町に来る時、五百はまた長尾一族のために、もと小家こいえを新しい邸にうつして、そこへ一族をすまわせた。年月ねんげつつまびらかにせぬが、長尾氏の二女の人に嫁したのは、亀沢町に来てからの事である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
彼是と勘考かんかうするに今度の儀も篤實とくじつすぎ汝が身の難儀なんぎに成しかも量り難し水清ければうをすまず人明らかならばまじはり少なしとは汝が事ならん扨々憫然あはれ至極しごくしばらく默止もくして居られしかば白洲しらすしんしづまりたりやゝ有りて大岡殿再び九助に向はれ番人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)