本箱ほんばこ)” の例文
いままで、たのしかった、いえなかは、たちまちわらいがえてしまって、あには、自分じぶん本箱ほんばこや、つくえのひきだしを、かたづけはじめました。
たましいは生きている (新字新仮名) / 小川未明(著)
祖母おばあさんがおよめにときふる長持ながもちから、お前達まへたち祖父おぢいさんのあつめた澤山たくさん本箱ほんばこまで、そのくらの二かいにしまつてりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
森や畑はむろんのこと、物置でも、戸棚とだなでも、押し入れでも、本箱ほんばこでも、どしどし探検してもらいたい。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
本箱ほんばこをさがして、むらさきのおん姉君あねぎみの、第七帖だいしちでふすのも仰々ぎやう/\しからう。……炬燵こたつすべつてあるきさうな、膝栗毛ひざくりげぞく木曾街道きそかいだう寢覺ねざめのあたりに、一寸ちよつとはさんで。……
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
壁には三味線さみせん三棹みさほかゝツてゐる、其の下にはきり本箱ほんばこも二つと並べてある。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
三四郎はだまつて本箱ほんばこを眺めてゐた。すると座敷から美禰子の声が聞えた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
本箱ほんばこうえに、平和へいわで、あめや、かぜからのがれて、まったく安心あんしんしていられた時分じぶんのことをおもして、なつかしくてなりませんでした。
風の寒い世の中へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
『これは大事だいじにしてくがいゝ。東京とうきやうつたら、おまへ本箱ほんばこのひきだしにでもれてくがいゝ。』
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
……本箱ほんばこいつなゝツがいへ五丁目ごちやうめ七丁目なゝちやうめで、縱横じうわうつうずるので。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あるばんのことです。おじょうさんは、ふと、いままで本箱ほんばこうえいた、お人形にんぎょうのことをおもしていました。そして、下女げじょんで
風の寒い世の中へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
これをきくと、しょうちゃんは、だまっていましたが、本箱ほんばこなかから、幾冊いくさつかの雑誌ざっししてきて、おきくのまえいて
おきくと弟 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、おじょうさんは、そのお人形にんぎょううつくしい着物きものをきせて、本箱ほんばこうえにのせておきました。かわいらしいかおつきをしたお人形にんぎょうは、いつでもにこやかにわらっていました。
風の寒い世の中へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
いえのものは、そののちも、あにがいるときとおなじように、そうじはするけれど、だれも、をつけようとしなかったので、本箱ほんばこのなかも、たなのかざりも、あにていったときのままとなっていて
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)