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しょけん
ふりがな文庫
“
書見
(
しょけん
)” の例文
鴎外が
芝居
(
しばい
)
を見に行ったら、ちょうど舞台では、色のあくまでも白い
侍
(
さむらい
)
が、部屋の中央に
端坐
(
たんざ
)
し、「どれ、
書見
(
しょけん
)
なと、いたそうか。」
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
独身で暮す
鰥
(
やもお
)
に似ず、
極
(
ごく
)
内気でございますから、
外出
(
そとで
)
も致さず
閉籠
(
とじこも
)
り、
鬱々
(
うつ/\
)
と
書見
(
しょけん
)
のみして居ります
処
(
ところ
)
へ、
或日
(
あるひ
)
志丈が尋ねて参り
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
或日のこと、鶴見は
書見
(
しょけん
)
をしていた。机の上には開かれた一冊の書物が載っている。鶴見はその本の中で、南欧の美しい風景を心ゆくばかり眺めている。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
彼
(
かれ
)
の
書見
(
しょけん
)
は、イワン、デミトリチのように
神経的
(
しんけいてき
)
に、
迅速
(
じんそく
)
に
読
(
よ
)
むのではなく、
徐
(
しずか
)
に
眼
(
め
)
を
通
(
とお
)
して、
気
(
き
)
に
入
(
い
)
った
所
(
ところ
)
、
了解
(
りょうかい
)
し
得
(
え
)
ぬ
所
(
ところ
)
は、
留
(
とどま
)
り
留
(
とどま
)
りしながら
読
(
よ
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
一
室
(
ま
)
しかない
庵
(
あん
)
の中には、三十前後の小柄な男が
書見
(
しょけん
)
していたが、人の
跫音
(
あしおと
)
を聞いて顔をあげた。
切支丹転び
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
書見
(
しょけん
)
をしているか、書き物をしているか、彼は彼で日記をつけているか、それともボンヤリ考えごとをしているか等々のことは、おおよそ私に察知できるような気がするのだが
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
自分はまだ一度も行った事がないが病後の事であるからと思うて座敷で
書見
(
しょけん
)
をしている父上に行ってもよう御座いましょかと聞くと行くはよいが傘をさして行けとの事であったから
鴫つき
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
私はしばらくそこに
坐
(
すわ
)
ったまま
書見
(
しょけん
)
をしました。宅の中がしんと静まって、
誰
(
だれ
)
の話し声も聞こえないうちに、
初冬
(
はつふゆ
)
の寒さと
佗
(
わ
)
びしさとが、私の
身体
(
からだ
)
に食い込むような感じがしました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
約束はしたが、こんなに雨が降っちゃ
奴
(
やつ
)
も出て来ないだろうと、その人は
家
(
うち
)
にいて、しょうことなしの
書見
(
しょけん
)
などしていると、昼近くなった時分に吉はやって来た。庭口からまわらせる。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
幸いそこに先祖から伝わった古い書物が
沢山
(
たくさん
)
積んでありましたので、薄暗い所で、夜などは昔ながらの
雪洞
(
ぼんぼり
)
をともして、一人ぼっちで
書見
(
しょけん
)
をするのが、あの人の、もっと若い時分からの
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
書見
(
しょけん
)
にでも飽きたか、同じく御書院番の一人で浅香慶之助、三十四、五のちょいとした男ぶりだ。縁側にちかい部屋の
敷居
(
しきい
)
ぎわまで出て来て、思い出したように、しきりに爪を切っているところ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
三児は遊びに飽きると時々自分の
書見
(
しょけん
)
の室に襲うてくる。
奈々子
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
検事は
書見
(
しょけん
)
をやめて、大きな机の陰から顔をあげた。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「こりゃ、ご
書見
(
しょけん
)
のところを……」
顎十郎捕物帳:06 三人目
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
君のような
書見
(
しょけん
)
ばかりして
鬱々
(
うつ/\
)
としてはいけませんよ、
先刻
(
さっき
)
の
残酒
(
ざんしゅ
)
が
此処
(
こゝ
)
にあるから一杯あがれよ…
何
(
な
)
んですね、
厭
(
いや
)
です…それでは
独
(
ひと
)
りで頂戴いたします
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この
上
(
うえ
)
なき
満足
(
まんぞく
)
を
以
(
もっ
)
て
書見
(
しょけん
)
に
耽
(
ふけ
)
るのである、
彼
(
かれ
)
は
月給
(
げっきゅう
)
を
受取
(
うけと
)
ると
直
(
す
)
ぐ
半分
(
はんぶん
)
は
書物
(
しょもつ
)
を
買
(
か
)
うのに
費
(
つい
)
やす、その六
間
(
ま
)
借
(
か
)
りている
室
(
へや
)
の三つには、
書物
(
しょもつ
)
と
古雑誌
(
ふるざっし
)
とで
殆
(
ほとんど
)
埋
(
うずま
)
っている。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
長時間坐っているのには、あぐらを組むよりも正坐が好ましい。合理的でもある。鶴見はそう思って、机に向うときはいつも正坐をする。
書見
(
しょけん
)
をするにも体が引締められて、まともに本が読める。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
すると春が過ぎて、夏になって、この青年の事もいつか忘れるようになった或日、——その日は日に遠い座敷の真中に、
単衣
(
ひとえ
)
を
唯
(
ただ
)
一枚つけて、じっと
書見
(
しょけん
)
をしていてさえ
堪
(
た
)
えがたいほどに暑かった。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
家
(
いえ
)
にいる
時
(
とき
)
もいつも
横
(
よこ
)
になっては、やはり、
書見
(
しょけん
)
に
耽
(
ふ
)
けっている。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
中に
囲炉裏
(
いろり
)
を切って、
鉄瓶
(
てつびん
)
が鳴る。和尚は向側に
書見
(
しょけん
)
をしていた。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
書
常用漢字
小2
部首:⽈
10画
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
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