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曳摺
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ひきず
ふりがな文庫
“
曳摺
(
ひきず
)” の例文
近頃日和下駄を
曳摺
(
ひきず
)
って散歩する
中
(
うち
)
、私の目についた崖は
芝二本榎
(
しばにほんえのき
)
なる
高野山
(
こうやさん
)
の裏手または
伊皿子台
(
いさらごだい
)
から海を見るあたり一帯の崖である。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と
黒斜子
(
くろなゝこ
)
の
五所紋
(
いつところもん
)
の上へ
行儀霰
(
ぎょうぎあられ
)
の
上下
(
かみしも
)
を着け、
病耄
(
やみほう
)
けて居る伊之助を、
褥
(
とこ
)
へ寄掛りを
拵
(
こしら
)
えて、それなりズル/\座敷へ
曳摺
(
ひきず
)
り出しますと
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
呼吸
(
いき
)
を殺して従い
行
(
ゆ
)
くに、
阿房
(
あほう
)
はさりとも知らざる
状
(
さま
)
にて、
殆
(
ほとん
)
ど足を
曳摺
(
ひきず
)
る如く杖に
縋
(
すが
)
りて
歩行
(
あゆ
)
み
行
(
ゆ
)
けり。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夢心地に
曳摺
(
ひきず
)
っていって、ひょいと
突離
(
つきはな
)
す。突はなされた魂が痛まぬほどの、コツのある
手荒
(
てあら
)
さである。
豊竹呂昇
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
助十 えゝ、おめえのやうな
曳摺
(
ひきず
)
り
嚊
(
かゝあ
)
がによろによろしてゐたつて何の役に立つものか。よし原の
煤掃
(
すゝは
)
きとは譯が違はあ。早く亭主をひき摺り出せといふのに……。
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
二種
(
ふたいろ
)
の靴跡は、或は強く、或は弱く、曲ったり踏込んだり、爪先を
曳摺
(
ひきず
)
る様につけられたかと思うとコジ曲げた様になったりしながら、激しく入り乱れて崖の縁迄続いている。
花束の虫
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
裾
(
すそ
)
曳摺
(
ひきず
)
りて
奥様
(
おくさま
)
といへど、女は
竟
(
つい
)
に女
也
(
なり
)
当世
(
たうせい
)
の
臍繰
(
へそくり
)
要訣
(
えうけつ
)
に
曰
(
いわ
)
く出るに
酒入
(
さけい
)
つても
酒
(
さけ
)
、つく/\
良人
(
やど
)
が
酒浸
(
さけびた
)
して
愛想
(
あいそう
)
の
尽
(
つ
)
きる事もございますれど、
其代
(
そのかは
)
りの一
徳
(
とく
)
には
月々
(
つき/\
)
の
遣払
(
つかひはら
)
ひに
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
鬢髪
(
びんぱつ
)
いまだ
幸
(
さいわい
)
にして霜を戴かざれど精魂漸く衰え聖代の世に男一匹の身を持てあぐみ為す事もなき苦しさに、江戸絵図を
懐中
(
ふところ
)
に
日和下駄
(
ひよりげた
)
曳摺
(
ひきず
)
って
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
扱帯
(
しごきおび
)
がずるずると
曳摺
(
ひきず
)
っていたり、羽織がふうわり
廂
(
ひさし
)
へかかっておりますな、下駄、
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
、
提灯
(
ちょうちん
)
、
正
(
まさ
)
しく手前方の前なんぞは、何がどう間違ったものでござりますか
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
を杖に
日和下駄
(
ひよりげた
)
を
曳摺
(
ひきず
)
りながら
市中
(
しちゅう
)
を歩む時、私はいつも携帯に便なる
嘉永板
(
かえいばん
)
の
江戸切図
(
えどきりず
)
を
懐中
(
ふところ
)
にする。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一膳めし屋で腹を
拵
(
こさ
)
えて、夜通し、旦那、がらがら石ころの上を二台、
曳摺
(
ひきず
)
って、
夜一夜
(
よっぴて
)
山越しに遣って来やしてね。明け方ちょうどここン
処
(
とこ
)
まで参りやすと、それ、旦那。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
足を
曳摺
(
ひきず
)
りながら、石の門柱についている
灯
(
あかり
)
の下に歩み寄り、塀外へ枝を伸した
椎
(
しい
)
の葉かげをせめての雨やどりに、君江はまず泥と雨とに
濡
(
ぬ
)
れくずれた髪の毛を束ね直そうと
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
草履
穿
(
ばき
)
で
駈
(
かけ
)
ずり歩かねばならないのみならず、煮るも、炊くも、水を
汲
(
く
)
むのも、雑巾がけも、かよわい人の一人
手業
(
てわざ
)
で、朝は暗い内に起きねばならず、夜になるまで、足を
曳摺
(
ひきず
)
って
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お丹は勝手次第に綾子の
箪笥
(
たんす
)
より
曠着
(
はれぎ
)
を
取出
(
とりいだ
)
し、
上下
(
うえした
)
すっかり脱替えて、帯は窮屈と
下〆
(
したじめ
)
ばかり、
裳
(
もすそ
)
を
曳摺
(
ひきず
)
り、座蒲団二三枚積重ねて、しだらなき
押立膝
(
おったてひざ
)
、
烟草
(
たばこ
)
と茶とを当分に飲み分けて
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それを避けようと思って
何方
(
どちら
)
かの軒下へ立寄ればいきなり屋根の上から積った雪が滑り落ちて来ないともわからぬので、兼太郎は手拭を頭の上に載せ、昨日歯を割った足駄を
曳摺
(
ひきず
)
りながら
表通
(
おもてどおり
)
へ出た。
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
半ば
串戯
(
じょうだん
)
だったのに——しかし、停車場を出ると、見通しの細い道を、いま教授がのせたなりに、ただ袖に手を掛けたばかり、長い外套の裾をずるずると地に
曳摺
(
ひきず
)
るのを、そのままで、不思議に
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
曳
漢検準1級
部首:⽈
6画
摺
漢検準1級
部首:⼿
14画
“曳”で始まる語句
曳
曳出
曳船
曳舟
曳舟通
曳込
曳々
曳航
曳手
曳子