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早鐘
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はやがね
ふりがな文庫
“
早鐘
(
はやがね
)” の例文
と、「逃げたら
猶
(
なお
)
悪い」と、心の奥に何かが力ある命令を発して彼を留まらせた。
動悸
(
どうき
)
が
早鐘
(
はやがね
)
の様に打って頭の上まで響いて行った。
偽刑事
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
三郎兵衛のいう半分も耳に入らないような
眸
(
ひとみ
)
のうごきである。
恟々
(
きょうきょう
)
と
早鐘
(
はやがね
)
をつくような胸が、じっと、黙っていられないように
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを見たとき、神谷青年はある予感にうちのめされて、心臓は
早鐘
(
はやがね
)
をつくように騒ぎはじめたのだが、といって、見ないわけにはいかぬ。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
些細
(
ささい
)
なことにも直ぐに心臓どきッと
早鐘
(
はやがね
)
打つようになってましたのんに、夫に帰って来られてはその
折角
(
せっかく
)
の幸福へヒビが入るように感じたのんです。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
嬉しいのだか悲しいのだか恥しいのだか心臓は
早鐘
(
はやがね
)
を打つごとく息は荒かった。何んでもその時の状態は三分間も彼の記憶に
止
(
とど
)
まらなかったのである。
愛か
(新字新仮名)
/
李光洙
(著)
▼ もっと見る
と、我知らず
早鐘
(
はやがね
)
を打ちだした胸を押えて、露っぽい草を
掻
(
か
)
きわけながら、近寄ってみると
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
前
(
まへ
)
に、
身體
(
からだ
)
の
一大事
(
いちだいじ
)
と
云
(
い
)
つた
時
(
とき
)
に、あの
鉦
(
かね
)
を
聞
(
き
)
かされましたのが
耳
(
みゝ
)
に
附
(
つ
)
いて……
蟲
(
むし
)
の
中
(
なか
)
でも、あれが、
鉦
(
かね
)
たゝきと
思
(
おも
)
ふばかりで、
早鐘
(
はやがね
)
を
撞
(
つ
)
きますやうな
血
(
ち
)
が
胸
(
むね
)
へ
躍
(
をど
)
つたんです……
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ただもう自分が糺明を受けているような気がして、胸は
早鐘
(
はやがね
)
を
撞
(
つ
)
くように
動悸
(
どうき
)
を打った。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
自分の軽い足音が、わたしを
当惑
(
とうわく
)
させもすれば、
励
(
はげ
)
ましてもくれた。わたしは時々立ち止って、何ものかを待ち受けながら、自分の心臓が
早鐘
(
はやがね
)
のように高鳴るのに耳をすました。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
「これほど
拙
(
つた
)
ないとは思わなかった、印刷して見ると我ながら拙なくて読むに堪えない」と、読終った時は心が
早鐘
(
はやがね
)
を突く如くワクワクして容易に沈着いていられなかったとある。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
竹の
藪蔭
(
やぶかげ
)
から高くあがる火竜の勢いと、その火の子をながめて、ホッと吐息をついた時、弁信の耳には、それが
早鐘
(
はやがね
)
のように聞え、その口が、耳までさけているように見えましたものですから
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
房枝の胸は、それを考えついたとき、まるで
早鐘
(
はやがね
)
のように鳴りだした。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
まだ、
自分
(
じぶん
)
の
子
(
こ
)
だけが、
帰
(
かえ
)
ってきませんでした。お
母
(
かあ
)
さんの
胸
(
むね
)
は、
早鐘
(
はやがね
)
を
打
(
う
)
つように、どきどきとしました。そして、
改札口
(
かいさつぐち
)
のところまできて、
階段
(
かいだん
)
を
見上
(
みあ
)
げて、いまか、いまかと
待
(
ま
)
っていました。
夕焼けがうすれて
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
どうしたわけか胸が
早鐘
(
はやがね
)
をうつてゐました。もつともそれは、ほとんど絶え間なしに本堂のあたりから吹きおろしてくる風に傘をうばはれまいとする、その努力のせゐも手伝つてゐたかも知れません。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
なが胸を
焦
(
こが
)
す
早鐘
(
はやがね
)
、陰々と、とよもす
音
(
おと
)
も
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
乱撃
(
らんげき
)
よ、
早鐘
(
はやがね
)
急に
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
早鐘
(
はやがね
)
だ
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
小泉君の心臓は、
早鐘
(
はやがね
)
をつくように、ドキドキしてきました。ああ、ぼくはどうなるのだろう。今にどんなおそろしいことがおこるのだろうと思うと、もうじっとしてはいられません。
妖怪博士
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そこには十分な
要害
(
ようがい
)
もあるし、
宿直
(
とのい
)
の備えもあるので、万が一にも、まだ不吉なことはない筈とは思うのであったが、もう胸は
早鐘
(
はやがね
)
を
撞
(
つ
)
いている。何としても、大殿と嫡子の安否が気づかわれる。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを思い出すごとにお浜の胸の中で
早鐘
(
はやがね
)
が鳴ります。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
なが胸を焦す
早鐘
(
はやがね
)
、陰々と、とよもす
音
(
おと
)
も
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
房枝の胸は、
早鐘
(
はやがね
)
のようになりだした。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
早鐘
(
はやがね
)
だ
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
鎧櫃
(
よろいびつ
)
の上に、ドッカと腰かけた形に飾ってある、中味はがらんどうの陳列品だ。黄金仮面の小雪は、その鎧櫃に倒れる様に凭れかかっていた。
早鐘
(
はやがね
)
の動悸は静めようとて静まるものではない。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と、さり
気
(
げ
)
なく聞いていたものの、
竹童
(
ちくどう
)
の
胸
(
むね
)
は
早鐘
(
はやがね
)
をついている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
早鐘
(
はやがね
)
だ
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
そして、にわかに早まった
動悸
(
どうき
)
が、耳許で
早鐘
(
はやがね
)
の様に鳴り響きました。その算盤には彼のと同じ暗号で「ゆきます」とおかれてあったのです。S子が彼に残して行った返事でなくてなんでしょう。
算盤が恋を語る話
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
早
常用漢字
小1
部首:⽇
6画
鐘
常用漢字
中学
部首:⾦
20画
“早”で始まる語句
早
早速
早々
早業
早晩
早稲田
早熟
早合点
早苗
早稲