日陰ひかげ)” の例文
樹木じゆもくには、それ/″\日陰地ひかげちにもよくそだや、また日陰ひかげ日陽ひなた中間ちゆうかんのところをこのなど種類しゆるいによつて、土地とちてき不適ふてきがあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
それを思うても眠られぬし、また、日陰ひかげてきのいましめをうけておわす、大殿おおとののご心中しんちゅうを思うても、なかなか安閑あんかんとねている場合ではございませぬ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんな問答をしてゐる時、もうかげりかけた日陰ひかげを拾ふやうに、濡手拭ぬれてぬぐひをさげて、兄の清次郎が歸つて來ました。
位置ゐちがさういふひやられたやうなかたちつてうへに、生活せいくわつ状態じやうたいから自然しぜんある程度ていどまでは注意ちういかられて日陰ひかげるとひとしいものがあつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
花鳥もなかなかいい女でしたが、何分にも日陰ひかげの身の上ですから、自分が表立って働くことは出来ないので、お節を玉に使ってひと仕事することに相談を決めたんです。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ほがらかなこゑねんじながら、つゑおろさず、團子だんごつたなりにひたひにかざして、背後うしろ日陰ひかげむかつて日向ひなたへ、相坂あひざかかたへ、……ひやめし草履ざうりを、づるりといて、白木綿しろもめん脚絆きやはんつけたあし
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
されど五重の塔の屋根には日向ひなた日陰ひかげといろいろにある故に、一処ひとところより解けむると思へば次第々々に此処彼処ここかしこと解けて、果てはどこもかも雫が落つるやうになりたりといふ意なり。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
南に面したよくかわくひら小麦藁こむぎわら日陰ひかげになるほうはかやとか、ていの字形の屋根の谷になる部分には木や瓦を当てるとか、場所によって使うものをちがえ、または始めから材料を混合して
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
このがけは急でとても下りられない。下にりよう。松林だ。みちらしくまれたところもある。下りて行こう。やぶだ。日陰ひかげだ。山吹やまぶきの青いえだや何かもじゃもじゃしている。さきに行くのは大内おおうちだ。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
日おもてに黄葉もみぢはららく声するは日陰ひかげの雑木風か吹き越す
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さけぶは苦痛の日陰ひかげの鳥……
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
そして真っ先に、列から脱け出し、道の傍らにある小さい馬頭観音の日陰ひかげへ大股に立ち寄った。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのなかで、日陰ひかげにもよくそだを『陰樹いんじゆ』とよび、日陽地ひなたちこのを『陽樹ようじゆ』といひます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
日向ひなた日陰ひかげをみだれ歩く
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
大きなくすのき日陰ひかげへみんなかたまり合った。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日陰ひかげの鳥は『からす』ですよ
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)