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捩
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よじ
ふりがな文庫
“
捩
(
よじ
)” の例文
その片隅に、もう消えかかったガラ焼の焔と煙が、ヌラヌラメラメラと古綿のように、または腐った花びらのように
捩
(
よじ
)
れ合っているのであった。
女坑主
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
腹を
捩
(
よじ
)
つたり、
仰反
(
のけぞ
)
つたりしてゐたが、笑ひ疲れて眼をショボショボと凋ませ乍ら、漸く笑ひを収めたら「メエンメエン」と言つて口を尖らせ
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
彼等二人は、上半身を斜に
捩
(
よじ
)
って、ようやく通れるぐらいの路地を
潜
(
くぐ
)
り抜け、余り広くもないその裏の広場へ出た。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
ヒュウと悲しい音を立てて、
空風
(
からかぜ
)
が吹いて通る。跡からカラカラに乾いた往来の
中央
(
まんなか
)
を、
砂烟
(
すなけぶり
)
が
濛
(
ぼっ
)
と力のない渦を巻いて、
捩
(
よじ
)
れてひょろひょろと行く。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その職員室
真中
(
まんなか
)
の
大卓子
(
おおテエブル
)
、向側の
椅子
(
いす
)
に
凭
(
かか
)
った先生は、
縞
(
しま
)
の
布子
(
ぬのこ
)
、
小倉
(
こくら
)
の
袴
(
はかま
)
、羽織は
袖
(
そで
)
に白墨
摺
(
ずれ
)
のあるのを
背後
(
うしろ
)
の壁に
遣放
(
やりぱな
)
しに
更紗
(
さらさ
)
の裏を
捩
(
よじ
)
ってぶらり。
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
此の谷の内側は漏斗形になつてゐて、その底はどれ程の深さがあるか分らない
捩
(
よじ
)
れた管になつてゐる。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
戞然
(
かつぜん
)
と火の匂いを発して五合六合——二つの木剣が縄に
捩
(
よじ
)
れて見えるばかり激しく打ち合った間髪、エヤッと五体を絞った重蔵の気合い鋭く
横薙
(
よこなぎ
)
に捨てた真蔭の玄妙。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さすがに、それには極く軽い
媚
(
こ
)
びが声に
捩
(
よじ
)
れて消える。客は
仄
(
ほの
)
かな明るいものを自分の気持ちのなかに点じられて笑う。ともよは、その程度の福ずしの看板娘であった。
鮨
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
今までは処々に
捩
(
よじ
)
れて垂れて居て、泥などで汚れて居た毛が綺麗になって、
玻璃
(
はり
)
のように光って来た。この頃は別荘を離れて、街道へ出て見ても、誰も冷かすものはない。
犬
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
両膝をもろに床の上にドサリとつくと、ブラリと下った二本の裸腕で支えようともせず、上体をクルリと右へ
捩
(
よじ
)
ると、そのままパッタリ、電車の床にうつ
伏
(
ぶ
)
せになって倒れた。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
面倒くさくなって私は振り向き女の
捩
(
よじ
)
れた上半身を抱きあげ、脣を合わせる。女は鼻腔であらい呼吸になり、小さな竜巻のように舌をまるめ、せいいっぱい私の舌を吸おうとする。
愛のごとく
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
のの字を描き、しの字を描いて、風に
捩
(
よじ
)
れ束になった焔が、
蟒
(
おろち
)
のように蜓って来る。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
風が
止
(
や
)
んでいる間は母の袂をシッカリと
捩
(
よじ
)
れるように
捉
(
とら
)
えながら耳を澄ましてい、やがて遠くからごうと云う呻りが聞えて来ると、
慌
(
あわ
)
てて袂を放し、「恐いようッ」———と、非常に低い
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
あまり腹の皮を
捩
(
よじ
)
ったので、ヨットのことなど忘れてしまう。
キャラコさん:07 海の刷画
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
半纏
(
はんてん
)
、
股引
(
ももひき
)
、
腹掛
(
はらがけ
)
、
溝
(
どぶ
)
から引揚げたようなのを、ぐにゃぐにゃと
捩
(
よじ
)
ッつ、巻いつ、
洋燈
(
ランプ
)
もやっと
三分
(
さんぶ
)
心
(
しん
)
が
黒燻
(
くろくすぶ
)
りの影に、よぼよぼした
媼
(
ばあ
)
さんが、頭からやがて
膝
(
ひざ
)
の上まで
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、いった途端に、
背後
(
うしろ
)
へかくしていた大刀が、チカッと、
暗
(
やみ
)
の中に螢のような光を
捩
(
よじ
)
らせる。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中継ぎに一つ
捩
(
よじ
)
れて、あゝ揺れる。コリーンとコリーン・クリーム。揺れるなよ。中継ぎに捩れて海潮音に酔うて、うつゝなき形に、三稜の弁の形のビスケットが八枚と八枚を積み重ねる。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
いずれも日蔭を
便
(
たよ
)
るので、
捩
(
よじ
)
れた洗濯もののように、その濡れるほどの汗に、
裾
(
すそ
)
も
振
(
ふり
)
もよれよれになりながら、妙に一列に列を造った
体
(
てい
)
は、率いるものがあって、一からげに
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
紅
(
あか
)
いのが映りそうなのに、藤色の緒の重い厚ぼったい
駒下駄
(
こまげた
)
、泥まみれなのを、弱々と内輪に揃えて、
股
(
また
)
を一つ
捩
(
よじ
)
った姿で、
降
(
ふり
)
しきる雨の待合所の片隅に、腰を掛けていたのである。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と見ると、蒼白く
透
(
とお
)
った、その背筋を
捩
(
よじ
)
って、貴婦人の膝へ伸し
上
(
あが
)
りざまに、
半月形
(
はんげつなり
)
の乳房をなぞえに、脇腹を反らしながら、ぐいと上げた手を、貴婦人の
頸
(
うなじ
)
へ巻いて、その肩へ顔を附ける……
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
捩
漢検1級
部首:⼿
10画
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捩上
逆捩
捩込
捩向
捩子
引捩
捩放
捩伏
捩取
捩斷
觀世捩
豆捩
観世捩
襞襀捩
紙捩
棒捩
一捩
関捩
捩螺
捩曲
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