さし)” の例文
その間、何やらしたためていた検事は、法水をさし招いて、卓上の紙片を示した。それには次のような箇条書で、検事の質問が記されてあった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
取て夫婦二人を無理むりに一つ駕籠にのせ是でよしとて半四郎はむか鉢卷はちまき片肌かたはだぎ何の苦もなく引擔ひつかつぎすた/\道をかけながら酒屋をさして急ぎけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これよりして「プラト」は深くその道理をし、宗教をさして政権の保障、性法のママ鎖なりとえり。〈三百二十二葉〉
夢にも逢いたい母様おっかさんと、取詰めて手も足も震う身を、その婆さんと別仕立の乗合腕車のりあいぐるま。小石川さしちょうの貧乏長屋へ駈着かけつけて、我にもあらず縋りついた。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其の頃は流行はやりました麦藁細工で角兵衛獅子をこしらえ、又竹にさした柿などが弁慶にしてあります。
ほうのあたりのしはにもしるく、これくだされ、なんではいか、このまああかことさしつけられて、今更いまさらながらまご/\とうれしく、をさしいだすもいさゝかはづかしければ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何程才覚アリテ甲斐/\しくトモ義理ヲ知ラヌ誠ノ無者ヲ人ノ後見トハ成スベカラズト、皆人沙汰シアヘリ、隼人正ハ力ナク唯二人ノ小姓ト手ヲトリくん徒膚足かちはだしニナリ阿部野ヲさしテタドリ行
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
明後九月九日に御名代の御參拜と共に傳通院まで持參することに相成り、拙者主人島五六郎殿は、御役目柄千兩の金子と御奉納の品々を御預かり申上げたのだが、さし町では如何にも足場が惡く
調とゝのさふらひ兩人に提灯持鎗持草履取三人越前守主從しゆじう四人都合十人にて小石川こいしかは御屋形を立出たちいで數寄屋橋御門内なる町奉行御役宅をさしいそゆくはやこく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
早々そこ/\にして立出れば家主も夫は/\氣の毒千萬と心配しながら諸共に芝札の辻をさして急ぎゆくやがて檢使の前へ呼出よびいだされ長庵に一通り尋ねありて彼の十兵衞の死骸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)