持合もちあは)” の例文
殊勝しゆしようらしくきこえて如何いかゞですけれども、道中だうちうみややしろほこらのあるところへは、きつ持合もちあはせたくすりなかの、何種なにしゆのか、一包ひとつゝみづゝをそなへました。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だが、入院にふゐんするとしても、誰一人たれひとり入院料にふゐんれうなどを持合もちあはしてゐるはずがないので、施療せれう患者くわんじやあつか病院びやうゐんれるより仕方しかたがなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
いま持合もちあはしてゐませんけど、それくらいでよろしいのならいつでもおはらひしますから、どうぞ石屋いしやへ、御面倒ごめんだうでもおはなししてくださいませんか。おねがいたします。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
なし漸く金一兩一分ときまり直八は道具屋に向ひは付たが金子の持合もちあはせは少々せう/\不足ふそくだがやうやして是を手付として置て行ませうと金一取出し翌日あすあさのこりの金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
拾ひ取眞向まつかうより唐竹割からたけわり切下きりさげたれば何かは以てたまるべき宅兵衞は聲をも立ず死したりけり吾助は一いきついあたりを見廻し宅兵衞が懷中ふところ掻探かきさぐ持合もちあはせたる金子五兩二分を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
空腹すきばらへ、秋刀魚さんまやきいものごときは、第一だいいちにきくのである。折角せつかく結構けつこうなる體臭たいしうをお持合もちあはせの御婦人方ごふじんがたには、あひすまぬ。が……したがつて、はらひもしないで、かせまをした。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つかはし外に廿兩持合もちあはせ有れども七十兩たり申さず候間五六日の處七八十兩借用申度と隱居いんきよへ申込候處當金百兩有れども門跡樣もんぜきさまへ納るゆゑ用立難ようだちがたしと是非なく相斷あひことわり候に付外にて手段せんと暇乞いとまごひいたせし時質物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)